麗子登場! | れぽれろのブログ

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岸田劉生は主に大正期に活躍した洋画家。
時代によって結構画風が変わる画家で、近代日本の洋画家の中では
個人的に好きな画家です。
初期のころはポスト印象派やフォービスムに近い絵などを描いていましたが
やがて北方ルネサンス風の細密画を描くようになり、
晩年には日本画も描いていました。
肖像画をやたらと描いていた時期もあります。
その他、面白い静物画や風景画も残しています。
「切通之写生」の絵など有名ですね。

岸田劉生といえば、一般的に有名なのが、実の娘を描いた麗子像です。
基本的に写実的ではなく、何だか怖い顔で(笑)描かれている絵が多いので、
苦手な人もおられるかもしれませんが
この麗子像も実は時代により様々。
いろんな描かれ方をしています。

ということで、麗子ちゃんの像をいくつか並べてみます。



・麗子微笑

麗子微笑

おそらく一番有な麗子像だと思います。
インパクトのあるお顔ですね・・・笑。
この絵、実物を見たことがありますが、肩掛けの毛糸の描き方が細密で、
面白いです。
顔もインパクトありですが、服の方が何だか印象的です。


・麗子五歳之像

麗子五歳之像

北方ルネサンス風の細密画をたくさん描いていた頃の作品。
なんとなくデューラー風。
麗子像の中では一番「ちゃんとした」肖像画です(笑)。
個人的にも好きな作品。
「切通之写生」と共に、東京国立近代美術館に所蔵されています。


・麗子立像

麗子立像

「麗子微笑」よりさらにインパクトが強いです。
劉生自身はこの作品が一番優れているとの自己認識だったとか。
手・体・顔のバランスの怪しさが気になります。
(劉生は意外とバランスを崩して描く場合が多いです。とくに肖像画。)
例によって服の描き込みは細密です。


・二人麗子図

二人麗子図

なんと、麗子ちゃんが分身しました(笑)。
仲良し姉妹といった感じになっています。


・麗子弾絃図

麗子弾弦図

楽器を弾く麗子ちゃん。
基本的に麗子像は赤い服が多いですね。
京都国立近代美術館で鑑賞できる絵です。


・寒山風麗子

寒山風麗子像

日本画として描かれた麗子像。
しかしなぜか「寒山拾得図」の寒山風に描かれています。
寒山拾得は伝説上の奇怪な僧。
不気味な笑みを浮かべた姿で描かれますが、
このような像と実の娘を重ねて描くなんて、何とも面白い感性ですね(笑)。


ちなみにこれらの麗子像は、岸田劉生の生前から有名でした。
なので、劉生の家に行くと「こんな風貌の子が現れるのではないか・・・」と
劉生宅へ行く人は皆身構えていたとの話も聞いたことがあります(笑)。
しかし写真で見る限り、実物の麗子ちゃんは普通の美人さんです。

劉生なりの不思議な美学で描かれた麗子像いろいろ、面白いですね。



おまけ。

麗子ちゃんのお友達、於松という名前の村娘を描いた作品も、
劉生はいくつか残しています。
どちらかというと、おまっちゃんは麗子ちゃんより
真っ当に描かれている場合が多いようです。

ということで最後におまっちゃんの像をペタっと。

於松

麗子像に比べると、割と普通な感じ・・・笑。