マーラーの6番 (アルミンク&PAC) | れぽれろのブログ

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12日の土曜日、PAC(兵庫県立芸術文化センター管弦楽団)の演奏を聴きに、
西宮まで行ってきました。

曲目はマーラーの交響曲6番「悲劇的」。
自分はマーラーの交響曲が好きなので、マーラーの演奏会があると
すぐチケットを取ってしまいます。
しかも6番は、5月の関西グスタフ・マーラー交響楽団の演奏に続き、
今年2回目です。
年に2回も6番が聴けるのは珍しい。今年はマーラー6番の当たり年です。
指揮はクリスティアン・アルミンク、過去何度かテレビで見たことのある方です。


マーラーがメインなので、前半のプログラムが何だったかは
実は忘れておりましたが(笑)、ベルクのヴァイオリン協奏曲でした。
この曲、CDは確か持ってたと思いますが、あんまり聴いておらず、
印象に残っておりませんでした。

ヴァイオリン独奏はルノー・カプソン。
ルノー・カプソンの弟ゴーティエ・カプソンも演奏家で、こちらはチェロ奏者。
演奏を聴きながら、そういえばゴーティエ・カプソンもテレビで見たことあるなと
思い出し、そしてそういえばテレビでゴーティエ・カプソンを見たときの指揮も
アルミンクではなかったかと不意に思い出しました。
帰宅後調べてみると、やはり新日本フィルとグルダの協奏曲を演奏したとき、
指揮がアルミンクでした。
ということで、アルミンクと弟との共演をテレビで、
兄との共演を生で見たことになります。

ベルクの協奏曲ですが、いきなりスケールの練習のような(笑)開始の仕方、
12音で作曲された曲とのことで、無調っぽい響きですが、
美しく曲が進んで行きます。
ラストは独奏ヴァイオリンの高音を美しく響かせて〆。うっとりと鑑賞。


実はこの日は頭痛の予感がし(頭痛はなんとなく前兆がある)、
来るかなと思ってると、ベルクの協奏曲の途中で頭痛がひどくなってきました。
これはやばいということで、休憩時間にバファリン君をドーピングし、後半戦、
マーラー6番に挑みます。
鑑賞するだけなのに「挑む」とは大げさだとお思いかもしれませんが、
この曲、鑑賞するだけでも結構なパワーがいる(気がする)巨大な曲なのです。
頭痛+お薬でボケーっとした頭でのんびり鑑賞・・・できるような曲ではなく、
終始テンションが高い曲なのですが、オクスリ頭では仕方なし、
すこしぼんやりとした頭で聴きはじめます。

演奏はインテンポであまり表情過多にならず、堅実に進んで行く感じです。
マーラーはあまり表情を付けなくても面白いのです(付けても面白いですが)。
お薬のせいもあるため(?)、弱音部分に注意して聴きます。

マーラーは壮大なオケをじゃんじゃか鳴らす部分もありますが、
意外と楽しいのが弱音部分。
1楽章展開部後半のゆったりした弱音部分、
ここいいなあ、改めて生で聴くと心地よいです。
2楽章(スケルツォ)のA-B-A-B-AのBの部分、ここも面白いあな、
音楽の表情がくるくる変わって楽しいことこの上なし。
生演奏はいろんな音が聞こえてきて、楽しさ倍増です。

打楽器奏者がバンダでカウベルやら鐘やらを鳴らすため、
扉を出たり入ったりと忙しい。
ぼけっと眺めるのも楽しいです。

そして3楽章(アンダンテ・モデラート)、これが良い。
かなりゆったりのテンポで、余り表情を付けずに淡々と音楽が進んで行きます。
オケがテンポアップしようとするのをアルミンクが押さえてるような印象も受けます。
そしてこのゆっくりさ加減がすごくいい。
3楽章の後半は感激・感動的です。
来て良かった・・・と思う瞬間。

4楽章になると、お薬がだいぶ回ってきたのか、
頭痛がかなりマシになってきました。
なんだかんだいって、この曲はやっぱり4楽章です
やたらとテンションが上がり、元気が出てきます。
明→暗への移行、強→弱への移行というネガティブな曲なのですが(笑)、
なぜか不思議と元気が出る。
この高揚感、やっぱり生で聴くといつもすごいと思います。
長い4楽章(約30分間)、終始興奮しっぱなしです。

4楽章のハンマーですが、だいたい生で聴くとすごく異質な音
(演奏会場で決してなってはいけないような音)がするのですが、
この日は何だか「ドスン♪」といった感じで、あんまり不気味な音はしません。
何だか不思議とオケと調和している感じがしました。
ハンマーは「不調和な音」が面白いところなのですが、
不思議と調和してる感じがしたのも逆に面白い。

実は自分は2007年のPACのマーラー6番の演奏(指揮は佐渡裕さん)も
聴いています。
このときのハンマーはもっと「ドガンッ!」っていう感じ、
会場に大ダメージを与えそうな気色の悪い音だった記憶があります。
自分の記憶が正しければ、使用しているハンマーも台も見た目は前回と同じ。
前回は自分は1階席で鑑賞しましたが、今回は3階席での鑑賞です。席の差・・・?
前回はハンマーの台が舞台右袖のもっと高い位置にありました。
(奏者が階段を登って「ドーン!」)
今回は舞台左袖の低い位置、この差なのかな・・・?
あるいは単なる自分の記憶違いなのかもしれませんが・・・。

ということで、マーラー6番は面白い!
ちなみにこのマーラー6番に関する"能書き"(笑)は、
前回の演奏会の感想に合わせて少し書きましたので、
ご興味ある方はこちらの記事をご覧ください。 → 

さてさて、次回のマーラー鑑賞は来年3月。
シャイー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の
交響曲7番のチケットを奮発して買いました。
楽しみ楽しみ・・・♪


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<おまけ>

自分は生演奏で6番を過去4回聴いてます。
マーラーの6番は、いろいろと演奏により異なる部分がありますので、
このあたりの「実演での差異」についてまとめてみます。
(記憶とメモを頼りにしたまとめ、たぶん間違いはないと思いますが、
誤りあればすみません。)


・1楽章提示部の繰り返し

1楽章提示部は、繰り返す演奏とそうでない演奏があります。
過去4回中、繰り返しありの演奏が3回。なしの演奏が1回。
今回のアルミンクの演奏が、繰り返しなしでした。
ちなみに、自分は繰り返しがある方が好きです。
1楽章単一で見た場合、提示部を繰り返したあと、展開部→再現部の方が、
楽章の長さのバランスが良い気がします。
しかし、マーラー6番は80分を越える長い曲なので、
全体で見ると「繰り返しはいらない」という気持ちも理解できます。
トランペットに負担と緊張が増えそうですし・・・笑。


・2楽章・3楽章の順序

スケルツォ→アンダンテの順が3回、
アンダンテ→スケルツォの順が1回。
国際マーラー協会なる団体によると、アンダンテ→スケルツォが正とのことですが、
スケルツォ→アンダンテが優勢です。
この曲を古典交響曲の壮大な拡張と見るならアンダンテ→スケルツォですが、
スケルツォ→アンダンテの方がロマン派音楽としての座りがいい
(と、前回の記事でも書きました)気がします。
今回のアルミンクもスケルツォ→アンダンテでした。
自分もスケルツォ→アンダンテの方が好きです。


・ハンマーの回数

「ハンマー2発」が2回。
「ハンマー3発」が2回。
ドローです。
こちらは楽譜の指示では2発(3発目はマーラー自身が削除した)ですが、
調子に乗って(笑)3発たたく演奏が意外に多いようです。
これはどちらが好きかと言われると難しい・・・。
3発たたいても楽しいし、2発で十分という気もしますし・・・。
今回のアルミンクは、楽譜どおりの2発でした。


・4楽章再現部終盤のシンバル

4楽章の725小節め(練習番号161番の3小節前)に
「複数のシンバルで」の指示があります。
過去の演奏では・・・。
「シンバル2人」が1回。
「シンバル3人」が2回。
「シンバル4人」が1回。
今回のアルミンクは残念ながら(?)2人でした。
ここは個人的に音色は無視してでも(笑)
もうちょっと派手にやってほしい気がします。
さらに言うと、このシンバルは奏者を舞台上に左右対称に配置してほしいです。
そして、鳴らすポーズも統一してほしい気がします(笑)。
3人やら4人のシンバルが左右対称に、舞台上で一斉に「シャーン!」と鳴るのは、
見た目にも爽快なのです(笑)


・4楽章提示部第2主題の指揮

最後は比較ではなく反省(?)です。
4楽章の193小節め(練習番号117番あたり)に
「指揮者への注意。徐々に(4/4拍子から)2/2拍子に移る。
しかしテンポは変えずに。」というよく分らない指示があります。
ここ、どのように振り方を変えるのか注意してみよう・・・と毎回思うのですが、
この部分、曲テンションが高いので、毎回注意するのを忘れてしまうのです・・・。
今回も忘れてました(笑)。
次回の演奏は注意してみてみよう!(・・・と思いつつまた忘れそうですが)


以上、おまけでした。