関西弁あれこれ | れぽれろのブログ

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自分は関西弁話者です。
大阪で生まれ、大阪で育ち、今も大阪に住んでいます。
前にも少し書きましたが、自分はいわゆる郊外の生まれ、
大阪だけでなく京都や神戸や奈良や和歌山から集まってきた人たちが住むような
町で育ったので、関西弁と言っても、いろんな地域の言葉のハイブリッドなのだと
思います。
ですが、一つ確かなのは、イントネーションが関西式だということ。
なので、多言語ハイブリッドでも、自己認識はしっかり関西弁なのです。

しかし他の地方(とくに関東)の人と喋っていると時々指摘されるのですが、
自分の喋り方はぜんぜん関西弁っぽくないのだそうです。
「大阪人だとは思わなかった」という人もいます。
自分の認識では、自分の言葉は間違いなく関西弁です。
細かい端々の言葉や語彙はどうあれ、イントネーションは関西式なので、
バリバリの関西弁話者だと認識しています。

それでもそう聞こえないのは、ひょっとしたら、あまり感情を込めたりすることの
少ない、淡々とした喋り方だからなのかもしれません。
関東の人と喋るのは主に仕事の取引先の人なので、
基本的に敬語(ですます調)なのも関西弁っぽくない理由なのかもしれません。


関西弁話者として、関西弁と標準語の違いで一番重要なのは、
やはりイントネーションだと思います。
断定の助動詞「だ」が「や」になるとか、「いい(良い)」が「ええ」になるだとか、
語彙・文法レベルでの違いもありますが、それ以上に決定的に重要なのは、
やはりイントネーションです。

アクセントの位置。
例えば、一般的な関西イントネーションでは、「はし」の場合、
 「橋」は「は」にアクセント
 「箸」は「し」にアクセント
 「端」は平板アクセント
「橋の端を箸を持って走る」をどう読むかで、アクセントが関西式か東京式かが
分かるなどとよく言われますね。

同じ「南」でも、関西イントネーションの場合、
 方角の「南」の場合は「みな」にアクセント
 人名の「南さん」の場合は「な」にアクセント
 地名の「難波」を現わす「ミナミ」の場合は、前側の「ミ」にアクセント
これもなぜだか分りませんがこうなります。謎です。

関西弁では、一文字の言葉でも抑揚があります。
 歯は、「はあ」と読み、前側の「は」にアクセント
 目は、「めえ」と読み、後側の「え」にアクセント
 蚊は、「かあ」と読み、平板アクセント
この辺りの差異も面白いですね。

これも有名かもしれませんが、1~10まで数えるとき、関西では抑揚が付き、
メロディのように聞こえます。
「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」を
「ラソ ミソ ララ ソー ラー ラソ ラソ ラソ ラー ソー♪」
と歌ってしまうあなたはきっと関西イントネーションの持ち主です。

とにかく、関西弁話者からして一番標準語と異なると感じるのが、
このアクセント、イントネーションなのです。
逆に関東の人などは、イントネーションの差異はひょっとしたら
あまり感じてないのかもしれません。
だから自分の関西弁は関西弁ぽく聞こえないのかもしれません。

しかし、自分の場合、このイントネーションは絶対で、例えば本を読んでいても、
このブログのように文章を書いていても、活字を脳内で発話に変換する場合、
そのイントネーションは、関西式なのです。


この他、自分が感じる標準語/関西語の差異を並べてみると

標準語・・・固い、冷静、冷たい、子音重視
関西弁・・・やわらかい、のんびりしていている、暖かい、母音重視

こんな印象があります。

標準語話者は、「~です」の場合、「des」と発音する人が多い気がします。
関西弁話者は、「~です」の場合、「desu」と母音をはっきり発音する人が
多いように思います。

母音をきっちり発音したり(関西弁では「ん」もきっちり発音する感じです)、
語尾を伸ばしたりする傾向があるため、なんとなく標準語に比べて関西弁は
間の抜けた感じに聞こえます。

仕事を通していろんな人と喋っていると、もちろん個人差はありますが、
総じて標準語話者は落ち着いていて、話がまとまっている。
逆に関西弁話者は話し方も散漫で、なんとなくのんびりな感じがします。

大正~昭和期の作家、谷崎潤一郎(関東大震災を期に東京→関西に
引っ越した人です)の小説なんかを読んでいると、
「彼は上方風に気の長い性格なので」だとか、
関西人=のんびり屋のイメージで捉えられていることが分かります。
大阪人はせっかちだとか言われることもありますが、
あまり適切な捉え方ではないように思います。
ちなみに自分も自己認識はのんびり屋さんです。


関西弁が怖いという人もいるかもしれません。
それはある種の任侠映画とか、関西系お笑い芸人などにより、
マスメディアによって広げられた影響だと思います。
関西弁話者でも怖い人もいますが、標準語でも怖い人は怖いです。
大きい声で怒鳴られたりすると、方言に関わらず、どんな言葉でも怖いです。

関西弁が怖いと感じる理由の一つに、声の大きさがあるのかもしれません。
確かに関西弁話者はどういうわけか声は大きい気がします。
これは母音重視だからなのかもしれませんが、よく分りません。


東京に住むと、関西人でもイントネーションが変わると言います。
自分の周りでも、普段は関西弁なのに、関東の人と喋るときは
標準語っぽくなる人もいます。
標準語が移るのでしょうか・・・。
自分も関東に住むと、イントネーションが変わるのかな・・・。

なんとなく、変わりたくない気がします・・・。