嵐の音楽 | れぽれろのブログ

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昨日の台風は温帯低気圧に変わったようですが、
九州方面は大雨・土砂災害が大変だったみたいですね。
自分の住む大阪でも、昨日は結構風が強く、一時的に雨も降りました。

ということで、嵐と音楽です。
激しい風雨を描写した音楽もたくさんありますので、
思いつくものを並べてみます。

・交響曲6番「田園」より4楽章/ベートーヴェン

有名な音楽で「嵐」といえば、まずこの曲の4楽章を思い出します。
穏やかな田園の自然描写が続く美しい音楽の中、唯一激しい4楽章。
後半、嵐のあとの穏やかさから、アタッカで有名な5楽章に入るのも良いですね。
ベートーヴェンの交響曲6番は自然描写が有名ですが、
音楽の構造的には交響詩風でも幻想曲風でもなく、
あくまで形式・構築性を重視した交響曲です。
美しさと構築性を兼ね備えた音楽で、
個人的にはベートーヴェンの中で好きな曲です。
とくに2楽章がよいですね。
(←4楽章を取り上げておいてこんなことを書くのもなんですが・・・笑)
演奏は、ティーレマン&ウィーンフィルです。


・歌劇「セビリアの理髪師」2幕より/ロッシーニ

「セビリアの理髪師」2幕の後半。
4分あたりからから、嵐のシーンです。
この嵐ですが、ベートーヴェンのような描写的な嵐ではなく、
なんとなく感覚的な音楽というか、何やら妙に楽しげな嵐になっています(笑)。
(調性的にも比較的長調が支配的ですし・・・。)
嵐の中で伏せている女の子、ロジーナを演じているのは、
歌手バルトリのようです。


・楽劇「ワルキューレ」1幕前奏曲/ワーグナー

続いてはワーグナー。
1幕の前奏曲は、嵐の描写、及び戦いから逃げてきたジークムントの
逃走の描写になっています。
ティンパニの雷鳴、金管楽器の落雷。
ロッシーニに比べると、より激しく、そして不気味な嵐になっています。
そしてこの音楽、これからオペラが始まるというワクワク感も
醸し出していますね。


・アルプス交響曲/リヒャルト・シュトラウス

描写音楽が大好きなリヒャルト・シュトラウス。
この音楽は、アルプスに登り、頂上にたどり着き、下山の途中に嵐に遭い、
そして家にたどり着くという、山登りの一日を描写した音楽です。
この「アルプス交響曲」から、やや後半部分の抜粋です。
7分50秒あたりからが嵐の始まり。
バックで鳴っている風の音は「ウインドマシーン」という特殊楽器。
雷ゴロゴロのティンパニ。風を現わす低弦。
下山を急ぐ様を描写する弦の下降音型。咆哮する金管。
いかにも嵐の描写という感じですね。
11分あたりでは「サンダーマシーン」という雷を描写する楽器も使われています。
個人的にこの「アルプス交響曲」はすごく好きな音楽で、
シュトラウスらしい楽しさと美しさを兼ね備えた音楽だと思います。
演奏はケンペ&シュターツカペレ・ドレスデンです。


・エチュードop.25-11「木枯らし」/ショパン

最後はショパンです。
これは厳密には嵐ではなく、木枯らしというサブタイトルが付いており、
いかにも「冬の冷たくてきつい風」といった感じの音楽になっています。
やたらと難しそうで、そして例によって手の動きを見るのが楽しい音楽ですね。
演奏はヴァレンティーナ・リシッツァです。


ということで、嵐の描写音楽でした。
台風が発生しやすい季節、皆様に置かれても、風雨にはお気をつけください。