目玉がひとつ | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

絵画作品や写真の中に、目玉がひとつ。
大きな眼が描かれ、その眼がこっちを見ている・・・。
絵画を見ているのに、見られている・・・。
何やら怖いですが、そんな「眼」の登場する作品を集めてみました。


・眼のある風景/靉光

眼のある風景

靉光(あいみつ)は20世紀前半の日本の洋画家。
おもに戦間期に活躍した画家で、シュルレアリスム風の絵画などで有名ですね。
非常に濃い描写の植物画なんかも面白くて好きです。
そんな靉光の代表作品がこれ。東京国立近代美術館が所蔵している絵です。
画面の真ん中にひとつの眼が描かれ、こっちを見ている。
岩のかたまりが並んでいるような、荒涼たる風景にみえますが、
岩に見えるのは、仰向けになったライオンを描写したとも言われています。
とにかくこの作品は、目が怖い・・・。作品に見つめられているようです。


・偽りの鏡/マグリット

偽りの鏡

お馴染み、マグリットさん。
ベルギーのシュルレアリスム画家です。
(シュルレアリスムと目玉というのは、相性が良いのでしょうか・・・?)
黒目の向こうに青空が・・・。不思議な絵です。
マグリットは白い雲が浮かぶ青空の絵が好きで、様々なパターンの空を
描いていますが、この絵もそんな青空シリーズの中の一枚。
この「偽りの鏡」ですが、マグリットお気に入りの主題だったのか、
何種類もの作品が残されています。


・ガラスの涙/マン・レイ

ガラスの涙

マン・レイはシュルレアリスム&ダダイズムの画家・写真家。
アメリカ人で、いわゆる「ニューヨーク・ダダ」に参加された方です。
マン・レイはいろんな実験的な写真を残しており、これはその中の一枚。
人体を部分的にクローズアップした写真がいくつかあるのですが、
その中で個人的にこの眼が一番好きです。
ちなみにこの眼、右目と思うか左目と思うかで、
ずいぶん作品の印象が変わってきます。
自分は初めてこの写真を見たとき、なぜか右目と思ってしまい、
吊り目で怖いなという印象があったのですが、
実際は左目で、八の字眉の方のようです。


・淀橋浄水場破壊現場/内藤正敏

淀橋浄水場破壊現場

内藤正敏さんは現代日本の写真家。
昭和期の民衆の写真、フォークロア的な写真を残された方です。
地方のお婆ちゃんを撮影したシリーズなど、有名かもしれません。
この方の写真の印象は「闇」。
東京などの都市の闇や、東北などの地方の闇に紛れる人々の写真が
印象的です。
これはそんな内藤正敏さんの初期作品で、
後期作品ではあまり見られないようなフォトコラージュ作品となっています。
浄水場を破壊しようとする(?)巨大な目玉から触手が伸びる・・・。
こ、怖い・・・。


さて、「目玉ひとつ」といって忘れてはならないのが、
19世紀末~20世紀初頭にかけて活躍した象徴派の画家ルドンです。
ルドンはなぜかやたらと一つ目にこだわった画家で、
たくさんの目玉の絵(とくに版画作品)を残しています。
その中からいくつかを貼ってみます。


・キュクロプス/ルドン

キュクロプス

一つ目の巨人がこっちを見ています。
怖いなあ。


・眼の気球(版画集「エドガー・ポーに」より/ルドン

眼の気球

おっきな目玉が優雅に空を行く・・・。
上目づかいなので、どんどん上へ昇っていくような印象を感じます。


・幻視(版画集「夢の中で」より)/ルドン

幻視

これまたおっきな目玉です。
左下の人間と比較しても、大きすぎる・・・笑。


ルドンはとくに初期の頃に奇怪な版画をたくさん残しており、
ルドンが描くモンスターも、結構面白いです。


以上、目玉を7個ほど並べてみました。
皆さま、お気に入りの目玉は見つかったでしょうか・・・(笑)