歴史人物と絵画 | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

歴史の本・教科書・資料集などには、歴史上の人物の肖像画が
たくさん載っています。

その中には、美術史上の有名作家が制作した作品も、時々含まれています。
「歴史上の著名人物が登場する作品で、かつ美術史上でも有名な作品」
といえそうなものを集めてみました。


・マルティン・ルターの肖像/クラーナハ

ルター

ルターは16世紀のドイツで活躍した宗教者。
「宗教改革」で有名な方ですね。
クラーナハも16世紀ドイツで活躍した画家で、
ルターとは個人的にも親しい仲だったようです。
クラーナハは妖しい魅力の女体ばかり描いている(←個人的な印象)
ような画家ですが、こういった"真面目な"肖像画も残しています。
先日、モナリザに似た絵を並べたときのクラーナハの絵のモデルも、
実はルターの娘さん。


・デカルトの肖像/ハルス

デカルト

我思う故に我あり、で有名なデカルトさん。
彼の肖像画を描いたのは、17世紀フランドルで活躍した人物画の名手
フランス・ハルス。
自分はハルスの肖像画がすごく好きです。
すごく粗い筆致で描かれた肖像画は、近づいてみると絵の具のかたまりですが、
離れてみると、すごく魅力的な表情でびっくりします。
それでいて服飾などの細部は非常に細密に描かれたりすることもあるのが、
ハルスの面白いところ。
そんなハルスの描いたデカルト。いい表情、顔の描写が良いですね。
"フェルメール展"のような17世紀フランドル系の企画展では、
結構ハルスの絵がやってくる率が高く、個人的にいつも楽しみな画家なのです。


・ソクラテスの死/ダヴィド

ソクラテスの死

古代ギリシャの大哲学者ソクラテスが毒杯を呷り服毒自殺するシーン。
作者は18世紀後半~19世紀前半に活躍した
フランス新古典主義巨匠のダヴィッド。
新古典主義らしく、端正でバランスの取れた画面になっています。
周りの皆さんの"ドラマティックな悲しみのポーズ"が、なんとなく好きです(笑)。


・皇帝の座につくナポレオン1世/アングル

ナポレオン

ナポレオンといえばダヴィドの「アルプスを越えるナポレオン」の絵が有名ですが、
こちらは同じくフランス新古典主義の巨匠アングルのナポレオンです。
アングルも端正な描写になってますね。
服の描写も好きです。布の質感が良いですね。


・清朝末期の宦官/カルティエ=ブレッソン

清朝末期の宦官

最後はちょっと変化球です。絵画ではなく写真から1点。
清朝末期の宦官の生き残りの写真です。(撮影は1940年代)
歴史上の"偉人"ではないですが、歴史資料集などで
ご覧になったことのある方もおられると思います。
お婆ちゃんっぽい表情になったお爺ちゃん。インパクトのある人物ですね。
そしてこの写真、撮影したのはなんと20世紀の大写真家で、
個人的に好きな写真家、カルティエ=ブレッソンなのです。
手前の宦官と後ろの人物が相似形で、壁の向きも含め、
右手前から左奥へぐっと視点が伸びる構図。
宦官の鼻の形と喉仏の形が同じ形です。
そして不思議な尖った耳・・・面白い写真になってます。
カルティエ=ブレッソンが撮影すると、なぜか面白い写真になる・・・
不思議ですね。


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おまけ

4枚めのナポレオンの絵ですが、自分はなぜか日本の仏像を
思い出してしまいます。武器の持ち方とかポーズとか・・・。
足元に邪鬼がいてもおかしくない雰囲気ですし、
阿修羅の如く手が6本くらいあっても違和感なさそう(笑)。

ということで東大寺の四天王より増長天ペタっと・・・。

増長天


雰囲気、似てま・・・せんか・・・?笑