昭和の輝き 木村伊兵衛展 | れぽれろのブログ

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26日の土曜日、お休みを利用して
京都は祇園にある京都現代美術館(何必館)に行ってきました。
展示は「昭和の輝き 木村伊兵衛展」と題された展覧会。
写真家・木村伊兵衛に関する展示です。

木村伊兵衛はストレートフォトの写真家。
町に出て人々の姿を撮影する、いわゆる非演出写真。
カルティエ=ブレッソンやドアノーのような写真スタイル
(と、会場にも彼らとの共通点についての記載がありました)。
会場では、写真の展示に合わせて、撮影した年も記載されていました。
自分は古い時代に思いを馳せたりするのが好きなので、
こういう写真を見るのは物凄く楽しい。
そして、ときどき偶然撮影されたとは思えない、
面白い写真が出てきたりするのが木村伊兵衛の魅力的なところです。

比較的小さな会場なので、展示スペースは小さく、
展示枚数もそれほど多くはなかったですが、楽しめました。

いつも展覧会の感想は文字だけですが、今回は一部画像をお借りして
コメントを追記するスタイルで記述します。


・大曲 おばこ 1953年

木村伊兵衛は秋田県の写真をたくさん撮影しました。
これは秋田の超有名な写真。
秋田美人、といえばこの写真を思い出される方も多いと思います。
この写真、本当に魅力的な写真だと思います。
まさに奇跡の一枚。


・秋田市仁井田 青年 1952年

秋田シリーズで一番好きな写真です。
3人の顔の配置、とくに左のカメラ目線の青年と、中央の左手を見る青年の
顔と視線のバランス、髪の雰囲気がいいですね。


・本郷森川町 1953年

本郷森川町

こちらは東京の写真。
で、視線といえばこの作品。
登場人物全員の視線がバラバラです。
たくさんの人がいますが、誰もが違う方向を見て、視線は交わらない。
何だか奇跡的な写真のような気がしてきます。
木村伊兵衛の中でも有名な写真で、この作品が好きという人も多いと思います。
自分もこの作品は好きです。


・大曲市内小友 1959年

大曲市内小友

これも秋田の写真。
歴史の本などを読んでいると、日本の農村の風景は
1960年代に一変したという記述をよく見かけます。
1959年の写真ですが、部屋や人物の雰囲気など、
もはや現在とかけ離れています。
ある世代以上の方はこいう写真を懐かしく思われるようですが
自分のような郊外で生まれた世代にとっては、
フォークロア的、歴史的な写真です。


・湯島天神付近 1953年

湯島天神付近

都市中心から少し離れた都市の裏側の雰囲気は、数十年前と実はそんなに
変わってないのではないか、と前にもどこかで書いたような気もします。
先ほどの農村の写真と違って、こういう風景は自分にとっても
何だか親しみのある風景です。懐かしい感じ。
そして今でもこういう風景は残っている気がします。


以下、画像がなくて申し訳ありませんが、覚え書きのみ。

・四谷見附 1945年
進駐軍の建てた英語の看板、それ以外は何もない焼け野原。
去年東京に行ったときに四谷付近を歩きましたが、
こんな風景だったことが何やら信じられません。

・東京裁判 1948年
東京裁判の被告人席です。
長時間の裁判で疲労しているのか、うつらうつら居眠りをする被告人も。
こんな写真も残っているんですね。
右下は武藤章。
その左は荒木貞夫でしょうか。
中央は平沼騏一郎ですね。
一番左下が東条英機かな?(合ってるかな?)

・大阪 中之島公園 1955
唯一展示されていた大阪の写真。
大阪在住者としては嬉しい。
被写体はなぜかコスチュームを着た女の子の後ろ姿。
右手に大阪市中央公会堂が見えます。
その奥は中之島図書館ですね。
現在も残る建物で、何やら嬉しいです。


木村伊兵衛は有名な写真家なので、知っている写真もたくさんありました。
しかし、生プリントはいいですね。
写真集などより鮮明に楽しめます。
ということで、またいろんな写真展に行きたいです。