リフレ政策と生活保護 | れぽれろのブログ

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政府がリフレ政策を発表したからかどうかは分かりませんが、
円安が進んでいますね。
円安は輸出企業にとって追い風になります。
うちの会社も輸出企業なので、何やら忙しくなってきています。

ところで先日、政府が生活保護の削減目標について発表しました。
800億円の削減、3年かけて各生活保護世帯で
最大10%引き下げるとのことですが・・・。
これは何やら問題な気がします。
リフレ政策を行えば、当然物価は上昇します。
おまけに消費税も上がるとなると、生活保護世帯が苦しくなるのは
目に見えているような気がしますが、どうなんでしょうか?
何だか大変なことになるような気がするのですが・・・。


生活保護やリフレ政策について、思うところを2つほど書きます。

以前に少しこのブログでも書きましたが、日本は生活保護を含む
社会保障の給付は、OECD諸国の中で、低い部類に入ります。
さらに、社会保障額のうちの大部分を高齢者保障が占めているため、
生活保護や子育て(教育)への公的投資はOECD諸国の中でも非常に低く、
このことが、とくに単身親家庭(主に母親と子供のみの世帯)の
生活困窮度の高さに繋がっている・・・ということも少し書きました。

アメーバニュースの生活保護に関するコメントなどをみていると
「生活保護の不正受給許すまじ!その分を本当に困っている人に給付を!」
との声が多いようです。
正しいことだと思いますが、実はこれ、結構難しいことのように思います。
不正か不正でないかの線引きは難しいのではないか。
そもそも"不正"の定義も何だか不明確な気もします。

自分は、本当に困っている人を助けるには、基準を緩くするしかないと思います。
日本はそもそもトータルの給付が低いのだから、
給付は少なくとも先進国標準に上げるべき。
政策的に妥当なのはむしろ
「困ってる人への再配分を確実に行うなら、多少の不正受給はやむなし」
ではないでしょうか?
皆様にお叱りを受けるかもしれませんが、自分なんかはこんな風に思います。


もうひとつ。

生活保護費が下がれば、最低賃金も下がります(上げる理由がなくなる)。
最低賃金が下がれば、一般の勤め人の給料も下がります。
生活保護費の削減は、一般労働者の給与の下降圧力に確実に繋がります。
よく聞く意見、
「生活保護と最低賃金が逆転するのはおかしい!
 働いたものが馬鹿を見るのはよくない!」
これは分ります。
だから生活保護を下げろというのは、少し違和感があります。
むしろ最賃を上げるべきです。その方がリフレ政策との親和性がよいはず。
ちなみに、最低賃金・パートタイム賃金についても、
日本はOECD諸国の中で異常に低いということも、以前に書きました。

少し話がそれますが、リフレ政策を行えば勤め人の給与は
本当に上がるのでしょうか?
自分は経済学にそんなに詳しいわけではないですが、
・円が増える→市場流通マネーが増える→誰かが儲かる
これは分ります。
・円が増える→円安になる→誰かが儲かる(輸出企業など)
これも分ります。
しかし「誰かが儲かる」が、「みんなが儲かる」に繋がるんだろうか・・・?

・企業が儲かる→設備投資・受注が増える→失業率が減る
・円安になる→投資先を海外から国内に変える→国内の失業率が減る
この辺りも分かります。
失業率が減るのは良いことだと思います。
しかし、最低賃金が上がらなければ、低賃金労働者が増えるだけで、
生活困窮の度合いは改善しない気もします。

一般の勤め人の給与が上がるかどうかは、
経営者のマインドによるのではないでしょうか。
経営者のマインドがなければ、企業は儲かっても社員の給与を上げずに、
儲かったお金を内部留保に回すだけのような気もします。
労働組合が強い大手企業(連合に加盟している企業など)は、
企業が利益を出した場合、組合がうるさいので、
給料を上げざるを得なくなるような気もします。
しかし、組合が弱い企業、中小企業などは・・・?
いわゆる「ブラック企業」などと言われている企業は、
儲かりまくっても社員の給料を上げたりしないような気がします。
そして、一般の勤め人の給与が上がらないと、国内の消費は増えず、
結局は大きな景気回復にもならないような気がしますが、どうなんでしょうか?

自分はリフレ政策を取る限り、少なくとも最低賃金は上げるべきだと思います。
最賃は生活保護額とリンクしますので、この点から言っても、
生活保護費は上げる必要こそあれ、下げるのは問題だと思いますが、
どうでしょうか・・・?


マクロ経済学は重要だと思いますが、給与所得や生活保護の問題は、
マクロ経済学でで解決できる問題ではなく、むしろ我々(株主を含む)の
モラルの問題。
我々みんなが再配分をどのように考えるか、
我々のマインドの問題だと思うのです。