増殖する人 | れぽれろのブログ

れぽれろのブログ

美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

増殖する人・・・
変なタイトルを付けましたが・・・
一つの画面に複数の人物が登場していますがよく見ると実は同じ人、
というような美術作品も探してみると意外とあります。
そんな作品を集めてみました。


・斉唱/小磯良平

斉唱

たくさんの女の子が歌っています。
しかしこの子たち、よく見ると顔が似ています。
この作品は1人の女の子(2人という説も)をいろんな角度から描いて
画面上に並べた作品なんだそうです。
この絵は画面上部に頭が並び、中部に黒い服が並び、
下部に足が並ぶ。
上中下と3層が分離しているような画面構成が好きです。
小磯良平は神戸の洋画家。個人的に好きな画家です。
この作品は兵庫県立美術館の常設展示室で見ることができます。
(だいたいいつも展示されています。)


・記憶/クノップフ

記憶

フェルナン・クノップフは、19世紀末の世紀末芸術のカテゴリで
登場するベルギーの画家。
ベルギー美術はなぜか幻想的な絵画が多いですが、
クノップフもそういう雰囲気の作品が多いです。
この絵もよく見るとすべて同じ人。
モデルはクノップフの妹なんだそうです。


・The Black Jacket/カッツ

アレックス・カッツはアメリカの画家。
この人は同一人物を並べて描くような作品を結構たくさん描いています。
この絵はそんなシリーズの中の一枚。


・伴大納言絵詞

伴大納言絵詞

日本の古典から。
喧嘩してる子供2人とそれを止めようとする大人。
上下に同じ人物が描かれています。
いわゆる異時同図法。一枚の絵で時間の経過を表しているとのこと。
上→下に時間が経過する。
現在の漫画表現のような感じ。


・20のマリリン/ウォーホル

20人のマリリン

アンディ・ウォーホルは20世紀アメリカのポップアートで有名な人。
マリリン・モンローのシルクスクリーンは有名ですね。
この作品はマリリンがたくさん敷き詰められています。
コピー&ペーストのように同じ顔が並ぶ。
しかしよく見ると一つ一つの顔が微妙に違う。
単調な繰り返しの中に微妙な差異がある(差異が出てしまう)というのが
ミニマル・アートやミニマル・ミュージックの面白さの一つだと思います。


・ID400/澤田知子

id400

澤田知子さんはセルフポートレートで有名な方。
小磯良平と同じく神戸出身。個人的に結構好きな作家さんです。
夥しい数の顔・・・。すべて制作者ご自身の顔写真です。
メイク・髪型・服装を変えて、証明写真機で撮影した写真の数々。
美術館などで展示される際には、上記の画像のように
顔が敷き詰められた形で展示されることが多いです。
顔がウジャウジャ増幅していく雰囲気が好きです。
(澤田さんはこの手の作品が結構多い。)
この作品は京都国立近代美術館が所蔵しており、時々展示されています。
一枚一枚の顔を比較するのも楽しい。(この画像では分かりにくいですが。)



以上、増殖する人たちでした。
(最後の作品は増殖し過ぎな気もしますが・・・笑)