描かれたネコ | れぽれろのブログ

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猫が好きな方は多いと思います。
自分はペットは飼っていませんが、もし飼うなら犬より猫の方がいいかな・・・?
美術作品においても、いろんな絵画に猫が描かれています。
ということで、ネコちゃんが登場する絵を集めてみました。


・猫/長谷川二郎

猫

一番愛らしい猫の絵は・・・?
と訊かれたときに、まず思い出すのがこの絵です。
長谷川二郎は20世紀の洋画家。
この絵は戦後の作品です。
ねこちゃんの表情、丸いからだ、毛の柔らかなモフモフした感じ、
撫でてあげたくなります。
※「二郎」は「りんじろう」です。
 環境によっては漢字がうまく表示されていないかもしれません。


・黒き猫/菱田春草

黒き猫

近代日本画で最も有名な猫の絵は・・・?
と訊かれると、すぐに思い浮かぶのがこの絵です。
菱田春草は明治期の画家。
横山大観らとともに、近代日本画の確立に貢献された方です。
曲がった木(猫が座るためにあるような木・・・笑)に
ちょこんと乗っかったねこちゃんが可愛らしい。


・猫(闘争)/藤田嗣治

猫(闘争)

藤田嗣治はパリで活躍した日本人画家。
モディリアーニをはじめとする、いわゆるエコール・ド・パリの時代を
代表する画家の一人です。
1910年代に渡仏、30年代にいったん日本に帰国しますが、
戦後再度フランスに渡り、フランスで亡くなります。
エコール・ド・パリ時代の、白を主体とした作品が有名ですが、
実際はもっと幅広くいろんな作品を制作した画家です。
この絵は1940年に描かれた絵です。
ねこちゃんが集団で戦っています。
躍動する猫たちの姿が印象的。
1940年といえば太平洋戦争の前年。
泥沼の日中戦争は解決せず、ナチスは既にポーランドに侵攻しています。
なんとなく時代とマッチした絵ですね。


・流行猫の曲手まり/歌川国芳

流行猫の曲手まり

近世日本画で猫といえばこの人。
歌川国芳は江戸末期の浮世絵師で、ネコちゃんの絵をたくさん描きました。
猫を擬人化した絵も多く、これはそんな絵の中の1枚。
ボールで遊ぶ服を着た猫たち。
国芳は、猫の体で文字を描いた絵や、歌舞伎役者を猫化した絵など、
この他にもネコちゃんが登場する絵がたくさんあります。


・金魚づくし/歌川国芳

金魚づくし

国芳からもう1枚。
国芳は猫の他にも動物を擬人化した絵をたくさん制作しており、
個人的に一番好きなのが金魚のシリーズです。
猫とは少しずれますが、個人的に好きなので貼ります。
金魚を捕食しようとしているネコちゃん。
立ち向かう擬人化された金魚たち。
この金魚ちゃんが何やら可愛らしい。


・猫また/鳥山石燕

猫また

愛らしいネコちゃんのもう一つの側面、それは化け猫・・・。
猫は割と妖怪化されて描写されることも多いですね。
鳥山石燕は江戸時代の絵師で、妖怪を描いた絵で有名な方。
猫のオバケといえば、この猫また。
しっぽが2つに分れてます。
中世の随筆「徒然草」にも、噂話として登場する妖怪です。
布をかぶって立っている姿が好きです。



西洋美術にも猫が登場する絵はありますが、
猫が主体として描かれた作品はやや少ないように思います。
どちらかというと、絵にシンボリックな意味合いを込めるためなどに、
画面の隅にちょこんと配置されたりするケースが多いです。

逆に、日本美術は猫主体で描かれるケースが目につきます。
上記に挙げた絵はすべて日本人画家のもの。
日本人は猫好きなんでしょうか・・・?
欧州と日本でのこのような差異も興味深いですね。