沈みゆく船には……? |  ZEPHYR

 ZEPHYR

ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

アフガニスタンでNGO活動をされていた伊藤さん……亡くなられていました。
残念です。
あのような活動こそが、真の意味で人を救うことにつながるのに……。
志半ばで、さぞ心残りだったろうと思いますし、息子さんを異国の地で、しかも他人の理不尽な暴力によって殺められたご両親の心中をお察しします。ご冥福をお祈り致します。
アフガニスタンは今後、治安をさらに悪化させていき、外国人の立ち入れない領域になってしまうかも知れません。2008年の後半期、鍵を握る国の一つです。


さて、今日は、皆さんにとっても興味深いお話をしようと思います。ちょうど、たまたまなのですが、この話を書こうと思っていました。
以前、このブログで質問があり、いわゆる凶運に見舞われる人と起きる出来事の関係について述べたことがあります。<何に意味を見出し、自分をいかに存在させるのか>をご参照下さい。

たとえば墜落した旅客機に、100人の乗員乗客が搭乗していて、全員が死亡したとします。
その方々の運気はどうなのか? 全員、皆、飛行機事故で死亡するような運気の持ち主ばかりだったのか?
阪神大震災で亡くなられた方々は、皆、そのような運気だったのか?
これは非常に重い、シビアなテーマです。
私はこの事実関係、たとえば飛行機事故や地震で亡くなった方々の運気について調査を行ったことはありません。そのような調査自体、実際問題として無理があります(遺族の方々に、亡くなった方の生年月日や生まれた時間を尋ねて回るなんていうのは、心情的にもなかなかできる話ではありません)。
しかし、ここにある会社の従業員のデータがあります。
むろん、この会社がどこのものか、この場で公になどできません。
私のところには一人の占いがきっかけで、一つの組織体の中から次々と鑑定依頼が持ち込まれてくるということが、よくあります。
たとえばそれは損保であったり、金融関係であったり、ホテル関係であったり、医療関係であったり、自動車関係であったりします。

私の手元に、その会社の従業員のデータが、今10件あります。内、9件までは出生時間までが判明しています。
私は彼らの占いをしていて、ある時期に共通する傾向が出ていることに気づきました。
それは2011~13年くらいにかけて、大きな変化や試練の星が来ていることです。

A.天王星が火星と合。太陽とMCのスクエア。MCと水星の合。
B.土星・水星の合、月のスクエア。
C.太陽と天王星のスクエア。
D.MCが土星・海王星と合、木星と180°天王星が金星と合。木星が火星とスクエア。
E.天王星がMCと合。ASCが冥王星と180°
F.海王星が太陽とスクエア。天王星と海王星の合。
G.MCが土星と合、木星と180°。太陽がMC、木星とTスクエア。
H.太陽が月と合、火星とも合、また新月。水星と土星のスクエア。
I.特筆できるアスペクトなし。
J.太陽と金星の合。

上記のアスペクトは、「職」「社会活動」に関わる部分で発生しているもののみをピックアップしたものです。
このうちJさんのみが出生時間が不明で、10人中、たった一人、当該時期に「良い運気」になる人物です。
そしてご覧頂いたら分かるでしょうが、全般に「天王星」が頻出しています。

これは明らかに、その時期、彼らが天王星の意味するアクシデントや改革を職業体験の中で味わうことを物語っています。つまりこれは、個人の運気というよりも、彼らの所属する企業体の運気でもあるわけです。
これを発見したときに、私が直感的に思ったのは、「この時期に、この会社はなくなるのではないか」ということでした。しかし、消滅、つまり倒産などなくても、たとえば合併吸収されるとか、売却されるとか、トップが交代して大規模なリストラが実施されるとか、そういうこともあり得ます。いずれにせよ、そこに勤める社員にとっては、大きな迷惑、大問題です。
それが個人のホロスコープ・チャートに如実に現れているようなのです。
AさんからHさんまでの8人は、変化や試練の星です。
天王星が関わっている人間は、会社が存続しても辞めてしまうかも知れません。

Iさんのみは、職業上には顕著なアスペクトが発見できませんでした。この人は2012年頃までに、その会社を辞めている可能性があります。というのは、本人が以前、そのようなことをおっしゃっていたからです。
つまり例外はJさんのみですが、この方は出生時間が不明です。それによっては社会活動を示すMCやその付近にある星、また10ハウスや6ハウスの支配星との関係で出てくるのかも知れません。またその改革期に、自分だけは有利な立場に収まることができるのかも知れません。
いずれにせよ、10人中8人までが、なんらかの変化と試練を体験するわけです。

この会社の命運がどうなるのか、その時を待たなければ、結論は出ません。
しかし、これらの事実は先の命題に、やはり一つのヒントを与えてくれるようです。
社会的な大きな現象、出来事の中で被害者となる人達。その出来事と関わる人達の運気には、パズルのピースがぴたりと合わさるような整合性が、やはりあるのではないか、ということです。

そして、これらの事実は、もう一つ、重要な運命学上の手がかりを私たちに与えてくれます。
この会社はこれまで必要とされる人材を次々と吐き出してきました。辞めていく人間をさして留意もせず、人件費削減になるくらいに思い、放出し続け、補充の人員を入れても教育もろくにせず(結果的にものにならず、辞めていく)、個人の労働量をその分、嵩増し続け、過重労働と報酬のバランスも取れぬまま、組織の中は空洞状態です。まあ、今時はどこでも聞く話ですが。
その過程で、ふるいにかけられ、残ってきたのが、今の社員たちというわけです。
その社員たちは、2012年というリミットポイント(長く見ても13年)に向けて、共鳴する運気を持ちながら存続してきたわけです。

しかし、かつての大勢いた社員たちは全員そうであったのでしょうか?
違います。違うからこそ、彼らは離れた。

つまり、逆のことも言えるのです。彼らを留めておくことに成功すれば、この飛行機は墜落することはなかったかも知れないのです。
この船が沈没したり、暗礁に乗り上げたりすることはなかったかも知れない。
別な運気を持つ、彼らがいれば。

ここで私が思い出すのは、やはり旧約聖書「創世記18章」にあるくだりです。
アブラハムはソドムとゴモラを滅ぼそうとする主に向かい、その町の中に50人の心正しき者がいれば町を滅ぼさないで欲しいと懇願し、主から約束を取り付けます。しかし、不安になり、どんどん人間の数を値切っていきます。
そして10人まで減らします。
10人の心正しき者がいれば、その町を滅ぼさないという約束を取り付け、アブラハムはようやく安心するのですが、ソドムとゴモラには10人の心正しき者もいなく、やはり滅ぼされてしまった、というお話です。

今、その会社に残っている人達が、心正しくないというわけではありません。
しかし、一つの体質、一つの方法論、一つの価値観、宗教観、イデオロギーに染まってしまい、その統一性の中では世界は死に絶えてしまうのではないでしょうか?
それが運気という形で、個人には現れているように、私には思えます。

この記事には続きがあります。
また明日。