眩暈／鬼束ちひろ

No.1794

ご
きげんよう、雑画家コンビです。

「眩暈」は、鬼束ちひろの2001年2月9日発売4枚目のシングル。

エステティックサロン『ラ・パルレ』CMソング

テレビ朝日系『大学王』エンディングテーマ

シングル初のバラードで、「月光」と並ぶ代表曲。

「優れた歌唱と同時に、男女の間に潜む亀裂を、別れを切り出しかねている女の立場からモノローグする詞のユニークさによって広く同世代の共感を得ている」という選考理由により第43回日本レコード大賞作詩賞を受賞した。

また、この楽曲で音楽番組に出演した際から裸足で歌うようになる。

眩暈(めまい)/edge/EMIミュージック・ジャパン

￥1,020
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人生の中でさまざまな音楽に出会いますが、この歌は忘れることができない一曲です。

鬼束さんの第4弾シングルで彼女には珍しく切ないばかりのラブソングでありながら「眩暈」は、とりわけ鋭い言葉が印象的な1曲です。

内には力強さを秘めつつ、しかし暑苦しくもなく、どこか淡々としているようにも聴こえるヴォーカルは、おしつけがましさもなく、聴き手の世界を限定しない広がりを感じさせる。

脅かされ続けた過去を持つ「私」が、その影におびえながらも「貴方」に出会い「貴方」をそばに感じることで、心の平安を得ることができた。

それなのにどうしていいかわからない気持ちは「私」の中にあって、泣き叫びたくなる「私」

でもそんな「私」すら、「貴方」は包み込んでくれる・・・

ひたむきに「貴方」を想い信じ頼る「私」の気持ちに、私の心は否応無く揺さぶられ、こみ上げてくるものに、どうしようもないほど苦しくなってしまいます。

しかし安易に聴いて単純に気持ちよくなっていアタシ（Arika）に、この曲は意外な歌詞を展開してアタシをギョッとさせます。

「残酷に続いてくこの路で　例えば私が宝石になったらその手で炎の中に投げて

邪魔なモノはすぐにでも消えてしまうの　ガラクタで居させて♪」

「貴方に聞かせられるような綺麗な言葉が見当たらない

卑屈になって叫ぶ私を　縛りつける前に　優しくなんかしないで♪」

とてもアタシには鬼束さんの内に秘めたその意味を正確に解釈などできませんが、おぼろげに雰囲気だけは感じとれました。

それまでただただ弱々しげに感じられた「私」が、その印象とはまるで逆の、強くしっかりした自己を見せています。

「私」にとって大切な「貴方」の、ごく自然な反応を拒否してまで、「私」の思ったとおりにしてほしいと言うのです。

そんな意外な「私」を発見して、「私」へのいとおしさは深まるばかりです。

強い「私」、それでも「貴方」にひたむきな「私」

・・・最後は断言しています。

その普遍的な愛を、一切飾り気のない剥き出しの表現で歌っています。

しかも、想いの強さだけでなくその真っ直ぐな純粋さみたいなものさえも感じさせます。

曲調もただ穏やかなだけではなく、適度な緊張感があり何度聴いても響きます。

さすがに鬼束さんと言うべきか、一筋縄ではいかない歌詞と曲と歌い手さんです。