7-2 新旧が混在する場所 3 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 なお、隣りのオウリギ島では毎年スピア・ウォーを再現した祭りが行われている。
 オウリギは元の島名をオワリキと言い、それは現地語で<小さな島>を意味する。そういうサンタ・アナは元々オワラファ――つまり<大きな島>と呼ばれていた。
 やはりここの住民たちも教会へ行ったが、ソロモンの他の場所同様サンタ・アナの島民も初めからクリスチャンであったわけではなく、宣教師が到来する百年前まで先祖霊を崇拝していた。
 そのサンタ・アナの不思議さを際立たせるのは、礼拝堂とカスタムハウスが同じ敷地内に共存していることである。
 カスタムハウスには依然として先祖の頭がい骨が保存されていた。こうみるとサンタ・アナは新旧が矛盾なく混在する場所であると言える。
 もっとも頭がい骨はもはや祈りを捧げる対象ではなかった。

 他には昔のカヌーや彫刻物なども展示されていた。カスタムハウスはいまでは歴史を語り伝える民族博物館としての機能を果たしていた。

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