上陸をしたのは島の玄関口に当たるグプナ村である。
村を通り、背後の丘を登って島の中央部を抜けて向こう側に出ると、スティーヴが生まれ育ったナフィノトーガがある。さらに、海岸に沿って歩いていくと三つ目の村ナターゲラ。
どの村にも言えたが、家と家の間隔は広くてゆったりしていた。建物がひしめき合うように並ぶクワイ村とは大違いだった。
ちなみに、三村合わせての人口はこの当時で二千人を超えるとのことだった。
サンタ・アナの島民はみな優しくて人懐こかった。が、この平和な島にもその昔、槍の戦争(スピア・ウォー)があったと言う。
それまでは一つの大きな共同体であったのだが、小さな諍(いさか)いが別の諍いを呼び込み、どんどん拡大していくうちに内乱に発展していき、共同体はついには三つに分裂してしまった。
あくまでも昔の話だ。
いまは村同士極めて仲が良く、教会の行事や冠婚葬祭のみならず、普段から島民たちの行き来は盛んである。