イタリアで、忘れられないパスタの味 | 私のイタリア時間

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イタリアに住みはじめて、20年もの月日が経ちました。
イタリアでの何気ない日々。流れる時間の中で起こる、ふとした出来事や思い。
このブログでは、そんな日常を1枚の写真と共に書き綴っています。




いつだったか、

友人たちと車で郊外に行った時だった。


高速は混むだろうからと、

田舎の道を突き進む。


田舎の道は、

山をクネクネと巡る、

本当に何もない道で、

時々、

イノシシ注意!

みたいな看板がポツンと立っていたりした。


昼間でも、

さほど、明るくない道は、

さっと開けると、

そこに、

小さな町があったりして、

どこで、お昼ご飯を食べようか...

と思いながらも、

何となく通り過ぎていった。


ある地点になって、

駐車場が見えた。


そこに、

ポツンと点在していた、

アグリツーリズモ 兼 トラットリア

というのを見つけた。


「アグリツーリズモ」


どうも、この言葉に弱い。

どうみても、

古びれた食堂にしか見えなかったが、

中には、お客さんも居たし...

と、入ることに決めた私達だった。


どうも、あんまり...


こんな時だけ、

役に立たない、私の第六感が働く。


ひとつ向こうのテーブルには、

スイス人の家族が座っていた。


メニューを持ってきた、

ウェイトレスに、

「おすすめ品はありますか?」

と聞いてみる。

「全部、フレッシュです。」

返事を聞いて、

イタリア人ではないと確信した。


ま、いっか...

と、

入り口の看板に書いてあった、

今日のオススメ、

「Pici Aglione」を注文する。


Piciとは、トスカーナ名物の手打ちパスタで、

うどんのような、

極太でコシのある、パスタだ。


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こちらは、Piciを使った イノシシラグーのパスタ


それに、

ニンニクの効いたトマトソースを絡めた、

言ってみれば、

典型的トスカーナ料理のひとつである。


Piciは、茹でるのに時間がかかる。


待っている間、

隣のテーブルで、注文している様子を伺う。


小さな子連れのスイス人家族は、

「子供が小さいから、一品を二人で分けたいのです。」

そう話していた。

ウェイトレスは、

「ビステッカは、骨なしに出来ます。」

と答えてる。


全く、会話になっていないのだった。


そうこうしているうちに、

出来上がったパスタが運ばれてきた。


トマトソースは、フレッシュトマトから作られ、

素人の私が、

時々、昼メシに作る、

即席ソースと、よく似ていた。


さて、パスタ。

Piciは、極太の麺だと思っていたが、

カタチは、それを、押し潰したみたいに見える。


手打ちだからね...


ちょっと自分を励ましてみる。


一口、口に入れた瞬間の...

そのコシのなさ。


それは、

紛れもなく、

茹ですぎであった。


それよりも、

この麺、

何かに似ている...


考えて、考えて、

ようやく思い出すは、


そう、

「赤いきつね」だ!!!


「赤いきつね」の麺を

フレッシュトマトのソースに敢えた...

という感じのパスタ。


イタリアで、

忘れようと思っても、

忘れられない、

パスタの味。



忘れられない味は、

美味しいものばかりではない。


パスタ王国のイタリアで、

その期待を裏切ってくれるお店も、

確実に存在するのである。



ちなみに、このパスタ、いくらだと思います???







⬇︎ 美味しいばかりじゃないのよね...

  


最後までお付き合い、どうもありがとうございます。



答え:8ユーロでした...