フィレンツェのバスの中で... | 私のイタリア時間

私のイタリア時間

イタリアに住みはじめて、20年もの月日が経ちました。
イタリアでの何気ない日々。流れる時間の中で起こる、ふとした出来事や思い。
このブログでは、そんな日常を1枚の写真と共に書き綴っています。




フィレンツェの郊外に向かうバスは、

朝のまだ9時だというのに、

人がいっぱい乗っている。


それも、イタリア人でない人たちで、大混雑である。

聞こえてくる言葉は、イタリア語でない言葉。

それはまるで、

アフリカか、アジアのどこかの地域に来てしまったかのような、

不思議な空間である。


とんでもないバスに乗ってしまったな...


私は、カバンをガシッと持ち、

なるべく、

外を見るようにしていた。


次の停留所で、

足を引きずりながら、

乗り込んでくる、

老人一人。

引きずる足に比べて、

随分、重そうな荷物が二つ。

バスに乗り込むのも、ようやく...という感じだ。


バスの運転手は、ちゃんと見ないで、

ドアを閉めてしまうことがあるから、

見ている方が、

ヒヤヒヤする。


そんな時、

どこからともなく、

支えてあげる人、

荷物を持ち上げてあげる人、

運転手に「ちょっと待って〜〜!!!」と叫ぶ人。


誰も、

この老人とは、関係のない人たちである。


そんな人たちに支えられて、

家路に向かう、ご老人。

一つ向こうの停留所で降りる。


そんな時も、

誰かしら、

支えてあげる。


体の自由がきかなくても、

こうして外へ出て、

少しでも体を動かす、

イタリア人の老人と、

それを支える人の構図は、

なんだか、とても暖かく、

そうだ、こういう良い面もあるのよね、イタリア...

と、

朝から、とても清々しい気分になった、

ある日の出来事である。


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⬇︎ 心、あたたか...

  



最後までお付き合い、どうもありがとうございます。