イタリアで、果たして、心は通じるか... その後 | 私のイタリア時間

私のイタリア時間

イタリアに住みはじめて、20年もの月日が経ちました。
イタリアでの何気ない日々。流れる時間の中で起こる、ふとした出来事や思い。
このブログでは、そんな日常を1枚の写真と共に書き綴っています。




約束の日。


「今日」という日は決めたけど、

時間までは指定がない。


昨日、10:30では遅かった。

ちょっと早いが、9:30に出向くことにする。


おやびんの到着は、まだらしい。


予約なき待機は、

悪いことばかり、考えさせがちだ。


きっと来るよ...と思いつつ、

一杯のコーヒーを飲むことにする。


隣のBARのおばちゃんは、

「ちゃんと あなたに 払ってくれるのかしらね〜〜 んん〜〜」

なんて、私の代わりに、ボヤいてる。


そうこうしているうちに、

やって来た おやびんに、

「Ciao〜〜!」

と、出来るだけ明るく、挨拶する。


取り立ては、やっぱり、あまり、

得意でない。


「さぁ、どうしましょうかね〜」

聞くと、

「午後1時にオフィスで会おう!」

そう言い残し、

おやびんは去っていった。


この頃には、既に、

ちゃんとやってくれると、信じる気になっている自分がいる。


午後1時。

オフィスに出向く。


オフィスは、既に色々な業者が出入りし、

その約束で、

結局、待つことになる。


この様子で、

初めて、

あ〜、結構忙しいのね...

と知るのである。


そして、ついに、その時がやって来る。


いつになく、丁寧なおやびんは、

チンピラさんでもなんでもなく、

おやびんであった。


会計士から提出された書類をもとに、

支払いの方法を考える。


「一度で全部は無理だから、何回かに分けてもらっていいかな...」


そんなことは、ちっともかまわない。


案外、ちゃんと計算してあり、

その書類に目を通しただけでも、


ケンカしなくて、良かったよ...


そう、改めて思った。


そして...

オフィスの奥に置いてあった、ワインを手に取ると、

「これは、自分からの、ほんの少しのお礼だ。」

と言って、

私に渡してくれた。


それは、

もう何年も前に、

私がひったくりにあった時、

給料とともに、

余分にお金を渡してくれた時の

おやびんの顔だった。



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私は、

「今まで、本当にありがとうございました。」

と、日本人らしく、

丁寧にお辞儀をし、

「あなたのお母さんにも、ありがとう。」

と言った。


どんな人間でも、

人の子である。


「あなたのお母さんにも、感謝しています。」

と告げた時、

いつになく、

和らいだ顔になったおやびん。


私は、日本人で、

おやびんはイタリア人だけど、

ちゃんと心から伝えれば、

それは、きっと伝わるのだと、

妙に確信した私である。




⬇︎ やっぱり、心は通じるのです。

  



最後までお付き合い、どうもありがとうございます。