夕方5時の駅前は、
ちょっとしたラッシュに巻き込まれる。
通勤ラッシュという程に働いていないだろうイタリア人だが、
この時間にバスに乗る人間がなぜか多い。
駅前の Unita広場から、駅正面のロータリーまでは、
歩いて行くと、5分とかからない位置にある。
なのに、夕方のこの時間帯は、
車が一向に進まない。
信号の色が変われど、
ちっとも進まない、そのバスの中では、
黙ってられないイタリア人たちが、
口々に、大きな独り言をつぶやいている。
「はあ~~」なんて、ため息つく者があるかと思えば、
「マンマ ミ~ア!」という者あり、
挙げ句の果ては、
「ココで降ろしてくれ!」
と、叫ぶ者までいる。
イタリア人は、我慢が苦手。
ちっとも、待っていないし、
黙っていられない。
駅前のロータリーから、
さらに、Scala通りまでもまた、一向にバスは進まない。
誰に話すでもなく、
オッさんは言う。
「Casino... Che Casino...」
Casino(カジーノ)とは、「な~んてこった!」とか、そういう意味だが、
その言葉そのものは、
「混乱」を意味する。
このオッさんのつぶやきが、
一層、混乱を招いている気さえしてくる。
信号が変われば動き出す。
ただ、ちょっと動きが遅いだけだが、
待ってられないイタリア人は、
こうして、
あたかも、
何日も待ち続けてる...みたいに言うのだ。
そんなイタリア人のつぶやきに、
今日1日の疲れがどっと押し寄せた気がした、
ある日の仕事帰りの出来事である。
それにしても...
今日も雨、明日も雨で、
夏はいつ来るのでせう...