毎朝7:00になればお店を開け、
開店準備に入る。
パスタやスパイスの入った棚を出し、
味見用のバルサミコ酢などを並べる。
毎日、毎日、
同じようだが、
同じ日は、1日として ない。
毎日って、天気のようだよね...
そう、同僚と話す。
その目の前を、
また、いつものように、
Zingari(ジンガリ=ジプシー)が通る。
イタリアでは、
一応、
可哀想な人たちになっている。
国籍がないからだ。
「かわいそう...」
っていう扱いになってるけど、
結構、いっぱい食べてるし、
みんなに分けてもらった小銭を
ジャラジャラ、持っている。
多分...、多分だけど、
私より持っている時もある。
彼らは、ちゃんと働いていない。
彼らが働くとすれば...
街角で、「お腹空いてます!」
と書かれた紙を持って、
紙コップにお金入れてもらったり、
人ごみの中で、
どさくさに紛れて、
人のカバンに手を突っ込んだりして、
小銭を稼いでいる。
そんな Zingari とて、
いつも、ヘラヘラと笑っているわけではないのだ。
時に、喧嘩し、
時に、唄い、
時に笑ったりする。
Zingariだって、
恋に落ち、
一喜一憂したりする。
大概、彼らは、彼らの中で落ち着くが、
人の感情...という点では、
何ら、自分たちと変わらない。
女同志で喧嘩している日もあれば、
鼻歌唄って、楽しそうにしている時もある。
「なんかさ働いてなくて、苦労しなくていいよね...って、こっちは思っても、そっちはそっちの世界があるんだよね~。」
どちらからともなく、
私たちは、そう、つぶやく。
別に、Zingariになりたいわけでは、
決してない!が、
苦労せずに生きてく世界なんて、ないよな...
と、究極の世界を目の当たりにして、思うわけである。
今日も朝から、Zingari が行く。
あ、
Zingariって、イタリアでは、差別用語らしい...とイタリア人がのたまう。
正しくは、Rom(ロム)というのだと。
言ってることは、結局、同じ。
人間ていうのは、時々、
あれやこれやの理由で、
複雑にしたがる生き物なのかもしれない....