おすすめブックリスト 「十二国記」 | ゆうちゃんママのひとりごと

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前記事・・・読み返して愕然となりますな。

何でママってばこんなに忘れちゃうんでしょうなぁ・・・。
「全然思い出せないけど」をどれだけ使いました?
全くもってトホホですな。

本を読み返せば、「ああ、そうだったそうだった。」って思い出せるのだけど、「どんな話なの?」ってとっさに聞かれたら、「ええ~っと・・・・忘れた。」だものね。

だから、本を読んだ感想はちゃんと書いておかないと。

さて本題。

「十二国記」 小野不由美

講談社ホワイトハート文庫から出ています。
表紙と挿絵がとてもきれいなのだけど、文庫本だし、一見するとマンガみたいなのね。何の情報もなく、本屋でこれを見ても「お子ちゃまチックだしなぁ・・・。」とちょっと小馬鹿にして買わないだろうなぁと思うのです。挿絵が安っぽいとか言うのではありません、とても素敵な挿絵です。まあ要は変な自尊心が働いちゃうって感じです。

ママがこれを買おうと思ったきっかけは、アマゾンの読者レビューでした。
ママが本を読むきっかけはほとんどこういう読者レビューです。
だって、本屋さんに行っても気が遠くなるほど本ってあるでしょ?
どれを選んだらいいのかなんて分からないもの。

やっぱり本の紹介っていうのは子供にとって必要なんだろうなってあらためて思いますよね。

この本に関しては、読者の評価がとても高かったので、躊躇なく1冊251円の中古で全巻揃えました。

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実は未完で、まだ続くのですが、今出ているのは、
  • 『月の影 影の海』 上下
  • 『風の海 迷宮の岸』 上下
  • 『東の海神 西の滄海』 
  • 『風の万里 黎明の空』 上下
  • 『図南の翼』
  • 『黄昏の岸 暁の天』 上下
  • 『華胥の幽夢』
の全11巻です。
新潮文庫から『魔性の子』というホラー作品が出ているのですが、実はこれは十二国記の外伝にあたります。

十二国記はねぇ、一言で言うと

素晴らしい!

後でこの一言の感想がちょっと変わるので、そこは注目してもらいたいのですが、
とりあえず、導入の段階の感想で言うと、この一言に尽きますな。

漢字は難しいけど一応ルビはふってあるし、小学校の高学年からでも読めなくはないけれど、もっと物が分かる年齢になってから読んだ方が奥深く理解できるように思います。

当て字も多いし、漢字や言葉がかなり難しいのですけど、1国を統べるということの重さ、難しさ、いろいろなことを考えさせられます。大人が読むのに充分足る作品です。「子供向けだからと言って敬遠して読まずに終わるのはもったいない。」という意見が多くて、途中から講談社文庫で先行出版してからホワイトハート文庫で出版されるようになるという異例の措置をとられたというのも納得です。

ママは学生時分、得意不得意は別として、古文よりも漢文が好きだったのです。
音読みの響きと颯爽とした言い切り型の言い回しが好きだったのだと思います。
名前も現在のような中国語の発音に近い読み方よりも、日本人が音読みで読み替えた方が好きみたいです。

で、歴史ものが好きなんだな。

だから十二国記にハマるのは当然と言えば当然なのだけど。
子供向け文庫で出版されたからといって、お手軽な歴史ファンタジーを想像してもらっちゃ困ります。ママが今まで読んできた中でも最高峰に位置するといっても過言ではないっ!壮大な歴史ファンタジーなのです。架空の世界だということでファンタジーに位置づけされるけれど、壮大な歴史物語と言っても良いくらい良質な物語です。

内容的には、

基本的に異世界の話なのですが、その世界では12の国があるのです。
「芳」「雁」「慶」「載」・・・など1文字の国名で12あります。

この世界では、神獣と呼ばれる麒麟が王を選びます。
麒麟は普段は人間の姿をしていますが、転変すると麒麟の姿になるの。
麒麟は1国に1頭いて、「天意」を受けてその国の王を選ぶのね。王になる人物には「王気」なるものがあって、それが分かるのは麒麟だけなのだけど、王だからと言って現在皆に「彼こそ王だろう。」と思われている人が必ずしも選ばれるわけではなく、農民だったり、商人だったり、果ては「蝕」なる天変地異で異世界「蓬莱」などに流された者だったりして、誰がなるのか全く分からないという状態なのがこの物語の面白さなのだと思います。

麒麟自体も王になる人物に会った時に「この人だ。」という直感が働くのみで、何故この人なのかっていうのは全く分からないから、その人物がどうみても頼りなかったり、王の器に見えなかったりすると、1国の命運を握ってる責任の重さから思い悩むんですな。


今回注文したからといっていっぺんに届くわけじゃなかったので、ママは「風の海 迷宮の岸」から読み始めました。

結論から言うと、とても良い選択だったように思います。

泰国の麒麟として蓬山で生まれるはずだった「泰麒(たいき)」が蝕によって異世界である蓬莱で生まれ育ったために、麒麟である自分のことが分からなくて、できそこないの麒麟の自分に果たして王を選ぶことが出来るのかと苦悩する物語だったので、麒麟のなんたるかがよく分かったし。幼少期に本能で体得すべき技を異世界で育ったためにできない泰麒が「麒麟ならば誰もが出来ます。」と言われることに対するプレッシャーと責任の重さに苦しむ姿が切なくてさ。はらはらしながら読んでいたので、最後まで読み終わって心の奥深くにしんとした心地よい感動が残りました。夜中だというのに麒麟が王を選んだ瞬間をどうしても読み返したくなったもの。

「御前を離れず、詔命に背かず、忠誠を誓うと、誓約します。」

読み進めている間はあれほど心苦しく思えたこの言葉が、すっと心深く染みたのを思い出します。

「風の海 迷宮の岸」の後に、延王尚隆(えんおうしょうりゅう)の物語である「東の海神 西の滄海」を読んだので、延王がまたかっこよくってさぁ。惚れ惚れしただよ。

で、この後に
一番最初に読むはずだった「月の影 影の海」を読んだのね。

たまたま届いた順に読んだだけなのだけど、このチョイスは最高に良かった。
邪道的な読み方なのだろうけど、前2作を読んでいたからこそ、この物語の主人公である陽子がだんだんと王の器に成長していく課程がなんとも言えなかった。

あんまり書くと読むときの楽しみがなくなるので、この辺で終わろうと思いますが、

計7作品、11巻を読んでの感想というか、心に残った一言。

現時点での最終巻、「華胥の幽夢(かしょのゆめ)」での

「責難は成事にあらず」

の言葉。

「人を責め、非難することは、何かをなすことではない。」という意味なのだけど。

これはすごく意味深い。
悪政を正して、よい世の中を作ろうと政権をとったはずなのに、悪政の反対のことをすればすべて収まるかと思ったら実はそうではない。「悪いことをやめて良いことをすれば世の中はよくなる。」なんて甘いものではない、良いことをするのにも、それをすればどういうことが起きるのかをしっかり想定して事を進めなければ、良いことをしたはずなのに世の中はどんどん悪くなるということもあるということを表している言葉なのね。

「華胥の幽夢」を読んだら、「あぁぁ、采王(采国の王)は今の民主党と同じやね・・・。」って思ったよ・・・。

若い人に是非とも読んでもらいたいよね。
1国を統べることの難しさ、責任の重さ。
政治家を志す人はきっと勉強することもたくさんあって、やることやりたいこともたくさんあって、「こんな本なんて。」って読まないのだろうけれど。

でも、走り続けるだけでは決して見えてこないものが見えるかもしれない。

未来を担うお子ちゃまをお持ちのお母ちゃんも読んでみるといいのだ♪