(2015/01/10 制作)
久々に映画の感想、ショウジです
本日は2週間以上前に観て、なかなか書き終わらずにいたこちらの作品でございます。
札幌でも上映終了していますし、これから上映する劇場は少ないかも。。
『獣道』
◎あらすじ◎
新興宗教を渡り歩く母を持ったがために
自分の居場所を探して転々とするはめになる主人公・愛衣と
愛衣に恋する少年・亮太の青春をある地方都市を舞台にして描く。
◎レンタル予想◎
青春ドラマ
◎つながり作品◎
愛のむきだし(宗教からの脱却)
紀子の食卓 (疑似家族)
青い春 (仲間が一人ずつ抜けていく感じ)
◎過去に観た同監督作品◎
下衆の愛
◎観に行くきっかけ◎
『下衆の愛』が好きなので。
感想をひとことで言いますと
中身はこってり、後味すっきり!
ヤクザ、暴走族、キャバクラ、風俗、宗教団体、ヤンキー家族、ごく普通の家庭と
多種多様な人種がこれでもかと登場し
地方都市という狭い社会の中でごった煮になった作品なので、非常に濃厚な味になっているのです。
が、終わり方が痛快なので観た後に胃もたれしない!
むしろレモンシャーベットを食べた後のような爽快さすら感じる作品になっていますw
『下衆の愛』もどぎつい登場人物がわんさと出てきて胸焼けするような中身だったんですが
やっぱり終わり方に爽快感があって、これは内田英治監督の手腕だと思いますね。
他の監督だとこう上手くはいかない気がする。
つながり作品を3本挙げましたが、どの作品にも似ているようで似ていない映画です。
豊田利晃監督や園子温監督の作品からはどことなくファンタジーな感じを受け
内田監督の作品はどこまでも現実的な感じを受ける。
そして現実的だけど爽やか。他の監督にはない個性だと思います。
今作では登場する人物がそれぞれの居場所を求めてもがく姿が描かれています。
私は札幌育ちなので、みんながみんな顔見知りみたいなこともなく
他人に干渉されることもなかったので、地方都市の閉塞感は身をもっては経験していません。
が、母が狭い町の出身なので、今作で描かれている感じはなんとなくわかるんですよね。
だから、今作の登場人物たちのように中高生だと
余計に町から一生抜け出せないような気持ちになってしまうのもわかる気がする ( ´Д`)
狭い町の中でもがきにもがいて、最後はあっさりと脱出するのもまた中高生の特権だと思いました。
どこに生まれるかっていうのは人格構成にだいぶ影響をもたらすんじゃないかなあ…
同じ人でも生まれた場所によって全然生き方が違っちゃう気もするし。
作中のような町で生まれ育った人が観ると、もっと色々と思うところがある作品だと思います。
怖い人がいっぱい出てくる今作の中で私が一番怖いと思ったのは
愛衣を家に連れ帰って実の家族のようにふるまう「親切な」女の子。
愛衣の彼氏の妹の同級生でして
その妹が不登校になっているのを心配して家に訪ねてきた時に出会うんですが
そのファーストシーンが伏線になっているんですよね…
単なる端役だと思ってぼーっと見ていたので
その後の展開に「ええええええ…おいおいおいおい…」と思いましたw
誰から見てもわかりやすく優しい人って危険なんですよね。
そういうタイプは、自分の「優しさ」をみじんも疑っていない人が多い気がする。
人に対してよかれと思って行動する時には
相手にとっては迷惑だったりお節介かもしれないということを念頭に置いて
それでも「自分がそうしたいからしているんだ」と思うくらいでないと
「○○してやったのに!」というところに行きついてしまう。
「人間が好き」「人と接するのが好き」などと明言してしまう人なんかも
誰でもウェルカムなわけではなくて、実は見えない線引きをしていることが多い気がします。
その線引きをしていることに無自覚だったり、自分の中の醜い部分に目をつぶっているから
「人と接するのが好き」と簡単に言えてしまうのだと思うなあ。
それだったら「人間のドロッドロで醜いところが好き!」という人の方がむしろ信頼できますw
今作で主演を務め、直近では朝ドラ「ひよっこ」の米子役で有名な伊藤沙莉さんは
清純そうな女の子、わかりやすくグレた女の子、か弱い女の子、たくましい女の子と
とにかく色々な表情を見せ、素晴らしい演じっぷりでした。
おっぱいも出す体の張り様…(ちなみにまったくラブシーンではない)
これからさらにとてつもない女優さんになっていく予感がします (`・ω・)
そしてW主演の須賀健太くんも、かったるそうな感じが出ていて良かった。
須賀くんは神木くんとはまた別の方向の道に行っていていいなあと思いました。
神木くんがどメジャーエンタメ作品に出演しているのに対して
須賀くんは単館の渋い作品に出るっていうこのバランス。
余談ですが、『下衆の愛』の時、結構えっちなシーンが多い割に
R-18とかR-15と言ったレイティングがついていなくて不思議に思ったんですよね。
その旨をついったーでつぶやいていたら『下衆の愛』の公式アカウント(おそらく監督ご本人)から
「お金がないから審査にかけられなかった」という内容の返信をいただいたんです。
審査って、てっきり勝手に向こうが無理くりやるものだと思っていたので、調べてみてびっくり。
なんと製作者側がお金を払って審査してもらうものなんですね。。。
映倫の審査を通すことでシネコン含め色々な映画館でかけやすくなるという話。
今回の『獣道』はR-15がついていたので
おおおお!審査してもらう余裕が出来たのね!とちょっと嬉しくなりました。
当時「絶対に審査してもらわないといけないものじゃないから大丈夫!」
というコメントもいただいたんですが
レイティングついてないと封切館が多少狭まっちゃうだろうし
営業はかけやすいに越したことないですよ。
内田監督の作品好きなので、なるたけ多くの劇場で公開して欲しいし。
今後もいっぱい映画作っていただきたいです。
私が今年観た映画一覧。
最近とんと試写会に当たらなくなり、ぽつりぽつりと映画館で観る感じになってます。
★3つの作品はぜひとも劇場でご覧いただきたい作品。
機会がありましたら逃さずどうぞ!
「良い映画観たなあ」 ★★★相当
牯嶺街少年殺人事件 (札幌劇場)
サーカス (上映会@札幌プラザ2・5)
この世界の片隅に (札幌劇場)
美しい星 (札幌劇場)
獣道 (札幌劇場)
彼らが本気で編むときは、 (シネフロ)
ホームレス ニューヨークと寝た男(札幌劇場)
「面白かった」 ★★相当
ドクター・ストレンジ (ユナイテッドシネマ札幌)
ショコラ 君がいて、僕がいる (シアターキノ)
アンチポルノ (札幌劇場)
人生タクシー (札幌劇場)
3月のライオン 前編 (試写会@共済ホール)
変態だ (札幌劇場)
エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(札幌劇場)
山田孝之3D (シネフロ)
作家、本当のJ.T.リロイ (札幌劇場)
「うーん」 ★相当
相棒 -劇場版IV- (試写会@札幌プラザ2・5)
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ちなみに直近でDVDで観た映画はチャップリンの『独裁者』です。すごく良かった!