片頭痛とミトコンドリア その17 慢性頭痛とは・・ | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

慢性頭痛におけるミトコンドリアの役割


ミトコンドリアの役割


 ”ミトコンドリア”は「健康的な生活を送る」ために重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
 すなわち、ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。


1.セロトニン神経系と連動しています


 私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。


 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。


 セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。


 このように、ミトコンドリアとセロトニン神経系はお互いが連携して、私達の体をコントロールしていることになります。


2.「ホメオスターシス」を制御します


 健康的な生活とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
 この生体のリズムは「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。(http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11947615739.htmlを参照


 私達が、健康に生きるためには、私達の身体は常に、体温や血糖値などが一定範囲内にあるように調整されています。この生体恒常性のことをホメオスターシスといいます。
 ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。(http://taku1902.jp/sub451.pdf  を参照して下さい)


 ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。

 この3つのバランスが崩れてホメオスターシス機能が保てない状態になると、”頭痛”を始めとするいろいろな”体の不調”が現れることになります。


 一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


 ”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。


 内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
 必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。


 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。


 このように、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”は、生活習慣とくに食生活・ストレスによって影響を受けています。


「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、極く軽度の頭痛が出現してくることになります。
 そして、これに更に、新たに”別の一角”の要因が加わればさらに頭痛の程度も増強してきます。
 最終的に、この”三角”とも全てに問題が起きることによって「生体のリズムの乱れ・歪み」を来すことに至り、難治の”慢性頭痛”を発症させます。


3.「体の歪み(ストレートネック)」への影響


 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。


 セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。


 私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、脳内セロトニン低下と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。
 すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。


 私達は、日常生活を送る場面では、日常的に「前屈みの姿勢」を強いられており、このため、当然のこととして、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。


 この日常的な「前屈みの姿勢」は日常的に感じる極く軽度の頭痛の原因となり「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることによって緊張型頭痛が増強してくることになります。 


慢性頭痛を引き起こす原因


 このように、慢性頭痛を引き起こす原因として、以下の3つがあります。
 

   1.「ホメオスターシスの乱れ」
   2.「体の歪み(ストレートネック)」
   3.ミトコンドリア、セロトニン神経系


 以上のように慢性頭痛の原因とされる3つの要因はすべて、ミトコンドリアと関与しています。
 こういったことから、生命の根源ともなるべき役割を果たす”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となっていることから、脳のなかに異常のない「慢性頭痛」とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があると考える所以(理由)があります。


慢性頭痛は、以下のように発症してきます。


「ホメオスターシスの乱れ」
 

 すなわち、慢性頭痛発症の起こり始めは、「ホメオスターシスの乱れ」にあります。生体のリズムを乱す最大の要因はストレスにあります。
 ストレスは、マグネシウム不足と活性酸素の増加を招き、ミトコンドリアの働きを悪化させることに至ります。さらに「脳内セロトニンの低下」を招くことになります。
 先程も述べましたように、このミトコンドリアの働きの悪化、「脳内セロトニンの低下」は、体の歪み(ストレートネック)」を容易に引き起こしやすくする素地になります。


 前屈みの姿勢は体の歪み(ストレートネック)」を引き起こす最大の要因となり、慢性頭痛発症の起点(スタート)となる日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を発症させることになってきます。


 先程の「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
 このなかの3つのうち、ひとつでも問題があれば、頭痛を起こしてきます。


ミトコンドリア、セロトニン神経系


 片頭痛はミトコンドリアの機能が低下して起きる頭痛です。
  片頭痛はミトコンドリアDNAによって先祖代々、継承されます。
   片頭痛の遺伝に関与する「ミトコンドリアDNA」は、「生活習慣の要因」と「外部の生活環境の要因」によって時々刻々変化していくものです。
 こうしたことから、ご家族・親戚に片頭痛の方がいらっしゃれば、「片頭痛予備軍」として考えて対処しなくてはなりません。
 片頭痛の場合、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、同時にセロトニン神経系の機能が低下してきます。これに生活習慣および食生活の問題から「脳内セロトニンの低下」がもたらされることになります。
 このように、ミトコンドリアの働きは、生活習慣および食生活の問題、外部の生活環境によって悪化してきます。


”脳のなかに異常のない頭痛”・・一次性頭痛(慢性頭痛)とは


 これらには、「国際頭痛分類 第3版β版」では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
 これら、慢性頭痛とは、頭痛という自覚症状はあるが、CTやMRIなどの画像検査では異常のないものをさしています。脳のなかには異常はありません。


  慢性頭痛(一次性頭痛)の中には、さまざまな”程度”の頭痛が含まれることになっています。
  日常的に感じる極く軽度の頭痛や緊張型頭痛のように、日常生活にほとんど支障のない頭痛があります。
  さらに、片頭痛や群発頭痛のように、日常生活に支障を来す程の激しい頭痛があります。これらにしても、片頭痛では長くても3日間、群発頭痛では、3時間ばかり、我慢に我慢をしておれば、また軽快し、また元通りに回復してきます。
 ところが、「薬物乱用頭痛」になったり、「慢性片頭痛」になってしまえば、それこそ毎日・毎日辛い頭痛に苦しめられる状態に至ります。ここに至れば、果たして「健康」とは、”程遠い状態”を意味しています。
 このように、日常的に感じる極く軽度の頭痛、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、薬物乱用頭痛、慢性片頭痛はすべて、連続した一連のものであり、生活習慣の問題点から引き起こされ、これによって上記のような各種のタイプの慢性頭痛に進展していくものと思われます。


それでは、慢性頭痛とはどのように考えるべきでしょうか

 

 私達は、仕事が忙しかったり、ストレスが重なりますと日常的に「体調不良」を感じます。このような「体調不良」は、具体的には、疲れやすい、胃腸の調子がよくない、身体が冷える、身体がだるい、疲れがとれない、よくめまいを起こす、肩こりがひどい、食欲がない、よく眠れない、頭が重い・頭が痛い、足がつる、耳鳴りがする、夢をよくみる、喉のつかえ、むくみやすい、風邪をひきやすい、顔色が悪い、気分が落ち込む・すぐれない、活力がでない、元気がでない、何となく調子が悪い、寝起きが悪い、等々の訴えです。
 このように頭痛とは、「体調不良」のなかの訴えの一つにすぎないものです。


 このような体調不良の訴えは、東洋医学では、本来、”未病”ともいうべき範疇にあるものです。
 このような”未病”とされる病態は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものと東洋医学では考えられています。
 ということは”養生”次第では、”未病”は治るものです。
 このように考えれば、”未病”の段階にある、このような体調不良の訴えとは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
 このため「体調不良」を改善させるためには「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”を改善することが重要になってきます。


 このように、”脳のなかに異常のない”「慢性頭痛(一次性頭痛)」は、東洋医学でいう”未病”の段階にあり、すなわち健康と病気の中間に位置しており、この”未病”は本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気・難治性の頭痛へと進展するものです。
 このような意味合いから、”未病”の段階にある、慢性頭痛とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があります。


 それでは、「健康的な生活」を送るためには、どのようにすればよいのでしょうか。


  冒頭で述べましたように、「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
  すなわち、ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
  私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。


  片頭痛の患者さんでは、緊張型頭痛の場合と異なって、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を、とくに受けやすいことになります。
  このため、片頭痛では、緊張型頭痛に比べて、頭痛の程度も頻度も比べものにならない程酷くなるということです。
  ところが片頭痛のように遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しなくても、生活習慣の問題によってミトコンドリアの働きが極端に悪くなり、さらに「脳内セロトニンが枯渇」してくれば、片頭痛と同様の難治性の頭痛を引き起こしてくることになります。


 以上のように慢性頭痛は、「未病」および「ホメオスターシス」の観点から考えていくべきもので、これまでも以下の記事で述べてきました。
 また、慢性頭痛を考える際に、緊張型頭痛も片頭痛も連続したものであり、群発頭痛も片頭痛の延長線上にあるものと考えなくてはなりません。

 

     ストレスと慢性頭痛
      
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12281855442.html


     「慢性頭痛」の本態解明への”みちすじ”
      
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12267666284.html


     子供と慢性頭痛 ・・緊張型頭痛と片頭痛は一連のもの
      
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282125961.html


     「目覚まし時計頭痛」って何??? ・・群発頭痛と片頭痛の関係
        
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12047908855.html


 このように、慢性頭痛は根源的に考えるべきものであり、専門家のように「国際頭痛分類 第3版β版」といった診断基準に従っている限りは、本態解明には至らないということです。