片頭痛とミトコンドリア その15 セロトニン神経系 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

  「健康な生活を送る」ためには、ミトコンドリアが正常に働き、セロトニン神経系がまともに機能していることが不可欠な要素になっています。
  私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。このように、セロトニン神経系は常に、ミトコンドリアと連動して作用していることを忘れてはならない点です。


  「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。


  セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをしています。

 
1.ミトコンドリアと、常に連動して働いています。


  私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。エネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
  セロトニン神経系の機能は独立して働くのではなく、常に、ミトコンドリアの機能と連動して作用している点を忘れてはなりません。


2.ホメオスターシス(自然治癒力)を制御しています。
 

 「健康的な生活」とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
  この「生体のリズム」は「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。


  「ホメオスターシスの三角形」の一角に「自律神経系」があり、この「自律神経系」を調節する働きをするもので、最も重要な働きをしています。
  セロトニン神経は、自律神経を調節する役割を担っています。
  自律神経は心臓機能、血圧、代謝、呼吸などを司っており、交感神経と副交感神経という2つの神経によって成り立っています。
  交感神経は起きて活動しているときの神経で、副交感神経は眠っているときの神経です。
  朝起きると自律神経のバランスが変わり、副交感神経から交感神経にシフトします。
  シフトしたら、片方の神経の活動が全くゼロになるわけではありません。
  交感神経と副交感神経は、互いにシーソーのようにバランスを保ちながら、強くなったり弱くなったりを繰り返しています。
  セロトニン神経は自律神経に対し、このシフトがうまくいくよう働きかけています。
  朝起きると、交感神経の方が優位にならなければなりません。
  そこで、セロトニン神経は交感神経を適度に緊張させ、体をスタンバイ状態にします。
  しかし、この働きがうまくいかなくなると、寝起きが悪くなったり、自律神経失調症などになる場合があります。


 3.姿勢保持に関与しています。
 

 セロトニン神経は、筋肉へ働きかける役割を担っています。
  セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることで、影響を与えています。セロトニン神経が働きかけるのは、抗重力筋です。抗重力筋とは、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。まぶたが開き、首が立ち、背筋が伸び、歩いたりできるのは、この抗重力筋のおかげです。
  セロトニン神経が活性化していると、まっすぐな姿勢や生き生きした表情になることができます。反対にセロトニン神経の働きが弱まると、背中が丸まったり顔の表情がどんよりしてしまいます。
  このため、セロトニンが不足してきますと、姿勢の悪さを引き起こしてきます。
  姿勢の悪さは、「健康的な生活を送る」上に、さまざまな悪影響を及ぼします。さらに、姿勢の悪さは、最終的に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こします。


4.大脳皮質を覚醒させ意識のレベルを調節する


 セロトニン神経は、大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する役割をしています。
  大脳皮質には、意識のレベルを調節するという働きがあります。ここに作用しているのが、セロトニン神経です。
  人は眠っている間意識がなくなりますが、朝起きると覚醒します。
  朝起きて、意識がスッキリして爽快な時もあれば、ぼんやりしている時もあります。
  意識と一口にいっても、「スッキリ」「ぼんやり」「イライラ」などさまざまなレベル、状態があります。
  セロトニン神経が作り出しているのは、起きている時の「スッキリ爽快」な意識の状態です。

 片頭痛の予兆の際に、眠気を感じるのはこのためです。


5.女性は「脳内セロトニン」を産生する能力が低い


 女性は健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少する、と言われています。
  月経周期と片頭痛の関連は1970年代に報告され、特に性ホルモンとして知られるエストロゲンの血中濃度の変化と深く関係していることが示唆されました(Somerville, 1971)。エストロゲンはセロトニン合成を促進し、セロトニンは血管収縮を引き起こすことから、排卵や月経に伴うエストロゲン血中濃度の急激な低下がセロトニン濃度の低下、ひいては脳血管の拡張を引き起こすという仮説が提唱されました。また、卵巣切除ラットを用いた実験では、エストロゲンを補充してやることでセロトニン放出を増加、あるいは血管径を収縮させることが出来ることが示され(Pardutz et al., 2002; Mehrotra et al., 2007)、性ホルモンであるエストロゲンがセロトニンを介し脳血管径に影響を与え、月経周期に同期した片頭痛発作を誘発している可能性が示唆されました。
  セロトニン神経の起始核である縫線核にはエストロゲンの受容体が豊富であり、性周期に伴う気分の変動についても、エストロゲン濃度の変動が影響していることが考えられます。
  このため、片頭痛は男性より女性に多い頭痛なのです。
  また、母親のミトコンドリアの数が少なく活性が低くければ、その子供にはその性質が引き継がれ易くなります。
  このために、女性に片頭痛の症状が発生しやすいのです。


6.脳過敏の3大要因のひとつです


 セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
  セロトニン神経が活性化されていると、鎮痛効果が現れます。
  痛み自体がなくなるのではなく、セロトニン神経の活性化により痛みの感覚をコントロールすることで、痛みを感じにくくなります。
  反対にセロトニン神経が弱まると、些細なことで体の痛みを感じるようになります。
  脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。


  さらに、脳内セロトニンの低下が増強すれば、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。これが、「脳過敏」の3大原因のひとつになっています。


7.心のバランスを保つ


 セロトニン神経は、心のバランスを保つ役割を担っています。
  人の心は外側、内側の両方から影響を受け、絶えず変化しています
 嬉しいことがあれば気分も高揚しますし、悲しいことがあれば気分が沈みます
 人の心はそうやってできていますので、そういった変化が起こることは決して悪いことではありません。
  しかし、その振り幅が大きすぎると問題が生じます。
  自分で自分の気持ちがコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。セロトニン神経は、そういった状態にならないよう心のバランスを保ってくれる作用があります。


  セロトニン神経は心の面では、クールな覚醒、つまり平常心を保つはたらきをします。セロトニン神経以外にも心の状態を演出する神経には、快感や陶酔感を増幅する「ドーパミン神経」と、様々なストレスによって覚醒反応を引き起こす「ノルアドレナリン神経」があります。セロトニン神経は、この2つの神経に対して抑制作用を及ぼし、興奮と不安のバランスを図り、心の状態を中庸に保つはたらきをするということです。
  このようにして、自律神経と同様、セロトニン神経はちょうどいいバランスをとってくれる効果があるのです。このようにして、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンがバランスを取り合っています。これは重要な点です。
  脳内セロトニンの低下は、パニック障害やうつ状態・うつ病の原因になってきます。


8.脳内セロトニンが枯渇すれば、片頭痛を慢性化させます


ストレスと脳内セロトニン


 ストレスを受けると、脳にある視床下部がそれを感知し、副腎から副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)と副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)の分泌を促します。また間脳の橋の青斑核にあるノルアドレナリン神経からはノルアドレナリンが、交換神経末端からはアドレナリンが分泌されます。
 さらに、ストレスが続くと交感神経が過敏となり、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が高まります。セロトニンは過剰に分泌されたこれらのホルモンを抑制して、自律神経のバランスを整える働きも担っています。人間の感情の基本は、"快"と"不快"です。快を感じた時にはドーパミンが分泌され、不快を感じた時にはノルアドレナリンが分泌されます。どちらにしても過剰の分泌は問題ですので、この時、セロトニンが働いて過剰分泌にブレーキをかけます。
 脳の中で”快・不快”を感じるのは大脳辺縁系といわれる場所です。辺縁系には記憶の中枢である「海馬」や、情動を感じる「扁桃体」があります。扁桃体の刺激は視床下部という場所に伝わり脳内に色々なホルモン物質が出て自律神経を刺激します。幸せな気分はセロトニンやエンドルフィンが放出され、不快や恐怖ではアドレナリンやノルアドレナリンが放出され交感神経の働きを強めます。
 嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりアドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮させますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これにより、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。


 このようにして、体がストレスを受けると、最終的にストレスの影響を緩和するために副腎皮質ホルモンが分泌されます。
 副腎気質ホルモンはセロトニンが神経細胞を伝わっていく時にセロトニン回収口を塞いでしまいます(脳内セロトニンは生成量が少ないので、8割程度は回収しながら溜まりを作り、一部だけを神経の伝達に使う仕組みになっています)。
 副腎皮質ホルモンが回収口を塞ぐと、一時的に神経伝達に使われるセロトニンは増えるのですが、ストレスが長く続くと貯まりが少なくなって、セロトニン不足を起こすことになります。
 このようなことが繰り返し起きますと、セロトニンの再回収口は完全に機能を失い、慢性的なセロトニン不足を招きます。
 縫線核に細胞体を持つセロトニン神経系(セロトニンが神経伝達物質)は脊髄後角でシナプス接続して、痛みを抑制します。


  以上のことから、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。


 長期間にわたってストレスの晒されますと、脳内セロトニンが枯渇することになり、これが片頭痛を慢性化させる要因の一つになってきます。


9.片頭痛の症状を形成します

 

  片頭痛発作時には、前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。
  例えば、あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状です。発作が鎮まった後も気分の変調があったりします。これらは、すべて脳内セロトニンの低下による症状です。


 「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)があります。
  片頭痛患者が示す症状の中には、顔に風が当たると痛い、メガネやイヤリングが不快、髪を結んでいるのがつらい、くしやブラシが痛くて使えないといったものがありますが、これらは頭部アロディニアと呼ばれています。さらに脳が過敏になると、頭部だけではなく、手足のしびれや腕時計、ベルトが不快になることもあり、これらは頭蓋外アロディニアに分類されます。このようなアロデイニアが見られることは、脳内セロトニンの低下した状態を意味します。


  その他、睡眠時無呼吸症候群、低体温症も脳内セロトニンの低下が原因と思われます。 

 

 

セロトニン神経系の機能を低下させる要因


「セロトニン神経系」はどうして衰えてしまうのでしょうか?


 「セロトニン神経」には、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化されるという特性があります。毎日の生活の中で、こうしたリズム運動を自然に繰り返していれば、セロトニン神経は正常レベルに保たれます。
  従って、こうした運動を極端に抑えた生活を継続することは、セロトニン神経の減弱を招きます。例えば以下のような生活習慣には要注意です。

 
  日光を浴びることが少ない
 朝は出かける直前まで寝ている
 昼夜逆転生活になっている
 固いものをあまり食べない
 階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
 30分以上続けて歩くことができない
 運動不足である
 デスクワークが多い
 朝食をとらない
 ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない
 魚より肉をよく食べる
 ダイエットのため食事制限をしている


 また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経の活性には太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、とくに連日、息をつめてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神経が減弱しやすくなるのです。


そして、以下のような要因によって、脳内セロトニンは低下してきます。


  ストレスによる影響
  疲れなどで、体に乳酸が溜まったとき
  基礎代謝が低いこと

 生活のリズムが乱れ、自律神経が乱れること
  生理周期との関連
  食事はバランスが大事で、偏食が原因になります
  運動不足

 
 なかでも、ストレスによって脳内セロトニンは低下します。これが最大の要因になっています。

 


専門家は、ミトコンドリアの関与を無視します


 これまで、頭痛の専門家は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されて以来、トリプタン製剤が片頭痛という辛い頭痛を劇的に緩和させたことから、片頭痛そのものをトリプタン製剤の作用機序の面から考えてきました。それは以下のようです。


 片頭痛の病態(メカニズム)は各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究され、説明されてきました。


 トリプタン製剤が片頭痛に効果があるのは、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用しているためです。片頭痛にはセロトニンという物質が大きくかかわっています。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、感情のバランスを安定させる役割を持ち、血管を収縮させます。ストレスなど何らかの理由でセロトニンが分泌され、収縮した血管は、役割を果たして減少するにつれて今度は拡張します。
 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きる、というのが一つ。
 さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が分泌され、血管を刺激して痛みが出てくる、というのが一つ。
 この二つが片頭痛が起きるメカニズムです。
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、トリプタンという薬は、セロトニンと同じような作用を持っています。そのためセロトニンの代わりに血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらにセロトニンは三叉神経に取りついて、痛み物質のサブスタンスPなどが分泌されるのを抑制する役割がありますが、ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
 このようにトリプタンは脳の中でセロトニンとして働き、血管を収縮させ、サブスタンスPなどの分泌を抑制する、という2つの役割を果たすことにより、片頭痛の起きる原因そのものを排除します。つまりトリプタンは、片頭痛という病気のより本質に近いところに作用して痛みを取るため、効果が高いというわけです。
 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じよりに、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
 さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出を止めます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
 トリプタン製剤が出る前に使用されていた鎮痛剤や市販の鎮痛薬は、本質的な痛みの部分に作用しているのではなく、痛みの伝達を途中でブロックして感じなくしているだけです。
 そのため、痛みが強いと効果がなかったり、薬を飲んだときには少し良くなっても、しばらくして薬の効果が薄れてくるとまたすぐに痛くなったり(痛みはずっと続いているため)することがあります。
 基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップ(補填)しています。


 ところが、ストレスか何らかの原因でと述べられていますように、きっかけ(引き金・トリガー)となるものが何かがまったく不明とされ、なぜ、セロトニンが機能低下状態になっているのかを、明らかにされることはなく、まったく不明とされています。


 さらに、市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
 当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
 この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。


 このようなことから、片頭痛にはトリプタン製剤を服用するのが”適切”な治療とされます。


 すなわち、「この薬剤は市販の鎮痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症蛋白が放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬です」


 このようにトリプタン製剤が根本から片頭痛を断ち切る薬と、トリプタン製薬メーカーが聞けば泣いて喜ぶような説明をされ、これが、一般的な常識・教義とされてきました。

 さらに、片頭痛発作時にトリプタン製剤の服用を勧めながら、日頃から、「平生から、脳内セロトニンが低下」した状態に対して、どのようにして、脳内セロトニンを如何にして増やすかといった指導をされることはありません。このような矛盾に満ち溢れた治療をされます。


 ところが、片頭痛の発作の都度トリプタン製剤を服用しているにも関わらず、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり、問題になってきています。
 しかし、専門家は一切こうした問題点を私達には明らかにされることはありません。上のような”嘘”の説明をされる先生は頬被りをされます。

 

 このように、片頭痛の病態(メカニズム)は各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究され、説明されてきました。


 その結果、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。


 このため、片頭痛の発作の都度トリプタン製剤を服用しているにも関わらず、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり、問題になっています。
 しかし、こうしたことがどうして起きるのかが明確にされることなく、これまで私達には覆い隠されてきました。


 このように片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されています。
 このように、まさに支離滅裂な状況に至っています。
 しかし、このような矛盾点は一般の私達には明らかにされることはなく、嘘をつき通すことになっています。


 結局、専門家は、片頭痛をミトコンドリアの機能の低下することによって起きる頭痛と考えないためにこのような支離滅裂な考えに至っているということです。
 ミトコンドリアの機能が低下すれば、当然、セロトニン神経系の機能が低下します。
 ここにセロトニン神経系の機能を弱らせる要因が加われば、脳内セロトニンが低下するという、単純なことでしかありません。

 


 これまで、「セロトニン神経系」については、以下の記事で述べました。


     その3 セロトニン神経系の役割 
      
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12258309267.html


    健康を維持するためには・・ その8
      
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12280706775.html

    
    トリプタンは片頭痛の特効薬???
      
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12283084982.html