片頭痛とミトコンドリア その2 エネルギー制御はどのように・・ | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回はATPはどうやって作られるのかについて述べました。その要点は・・


 ATPの材料になるのは、3大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質です。体内に蓄えられた脂肪ももちろん有力な材料候補です。
 そして必要なのは酸素です。リン酸の周りに酸素がくっついています。
 そして「ミトコンドリア」こそがこのATPを生産するエネルギー工場なのです。
 細胞の中にいるミトコンドリアは、たとえばグルコース(ぶどう糖)を取り入れ、水と二酸化炭素を作るときにATPを作ります。
 酸素を吸って、二酸化炭素が排出されるのはこのためです。
 ダイエットを始めて2~3日で「体重が減った!すごい!」と言っている方には残念ですが「水」作られ体外に出ただけです。
 そしてATPを利用することで人間は生命を維持することができます。
 このミトコンドリア内でATPが作られることは「TCA回路」や「クエン酸回路」と呼ばれます。

 
 グルコースだけでなく体内の脂肪を分解して代謝を上げてくれるのもミトコンドリアです。アミノ酸や脂肪酸の分解物や乳酸などもミトコンドリア内のTCA回路でATPとなります。
 ビタミンやミネラルはこのTCA回路がうまく機能するのに必要です。
 TCA回路では1個のグルコースから38個のATPを作ります。
 その工場が増え、エネルギーが活発に生産されるためにはミトコンドリア自体が増えることが大切です。
 

代謝を上げるにはミトコンドリアを増やす

 
 エネルギーと漠然にいいますが、人間などの生物のエネルギーとは、ずばり「アデノシン三リン酸」です。「adenoosine triphosphate」、略してATPと呼ばれます。
 体内のあちこちにこのATPがあり、「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれています。
 アデノシン三リン酸(ATP)は、左側にリン酸(P)が3個結合しています。ATPのTはTripleの略です。
 この一番左端のリン酸が切り離れるとき、まさに爆発して、エネルギーになります。
 リン酸が一個切り離されるとATPは「ADP」になります。Dual(二重)の略です。
 そしてADPのPがもうひとつ切り離されると、リン酸はのこり1個となって「AMP」になります、MはMono(単体)の略です。
 私たちは普通に生活していても一日40kgのATPを消費します。
 爆発したATPはすぐにリン酸がくっつけられ、再利用されます。
 体内のあっちこちでATPの消費と再合成が行われていることになります。
 

 このようにして、ATPからエネルギーが産生されます。


 “AMPK”「AMPキナーゼ」


 私たちのすべての活動は「ATP」から放出されるエネルギーが元になってます。ミトコンドリアが活発に働いていて、しかも量が多いことが元気の秘訣ともいえるわけです。
 そして、その鍵を握るのが“AMPK”・「AMPキナーゼ」という酵素です。“AMPK”・AMPキナーゼはATPをコントロールしているといわれます。
 いつでも、体内のATP量をチェックしていて、少なくなればATP生産量を増やすように働きかけます。
 ATPが不足しているということはエネルギー不足ということです。ですから、脂肪の蓄積よりも、ブドウ糖を細胞内のミトコンドリアに運んで、より多くのATPを作るようにしていきます。
 それと同時に、ATP生産工場であるミトコンドリア自体の量を増やすようにも働きかけます。

 こうした“AMPK”「AMPキナーゼ」はATP産生をコントロールしています。


そもそも”AMP”とは何でしょう?


 “AMPK”は、日本語では、“AMP活性化プロテインキナーゼ”の略語で、英語では、“AMP-activated protein kinase”、あるいは”Adenosine monophosphate-activated protein kinase”が正式な名前の酵素です。

 
 AMPを理解するためには、ATPやADPについて予備知識が必要ですので、もう一度・・


 ATP(アデノシン三リン酸)は、“生体のエネルギー通貨”として重要な物質です。ATPからADP(アデノシン二リン酸)に変換される時にエネルギーが産生されます。さらには、ADPからAMP(アデノシン一リン酸)に変換される時にまたエネルギーが産生されます。
 すなわち、生体はエネルギーが必要な時、ATPに蓄えたエネルギーを使い、ATPはAMPになるのです。


 色々な活動にエネルギーを使うと、ATPが減少し、AMPが増えてきます。ATPの減少を感知して、活性化され、ATPのレベルを回復させるように代謝を調節しているのが、“AMPK”なのです。

 
 つまり、AMPKは、細胞内のエネルギーセンサーで、一番重要なマスタースイッチとしての役割を果たしています。
 このAMPKは、カロリー制限、運動、低グルコース、低酸素、虚血のような細胞内のATP供給が枯渇するような状況で、AMPの増加に反応して活性化されるのです。

 
AMPK : エネルギー代謝のマスタースイッチ

 
ATPは“生体のエネルギー通貨”です。

 
 皆さんは、お財布の中のお金が少なくなった時にどうしますか? 
 銀行に預けてあったお金を下ろすことで手持ちのお金を増やすとともに、無駄な買い物をしないでなるべくお金を使わないとかをしますね。会社の経営で言えば、営業に力を入れて商品の売り上げを上げる努力をする一方、設備投資などを抑えるなどで出費を節約するかと思います。生体の場合もこれと全く同じで、エネルギーの産生を増やす一方で、エネルギーの消費を抑えているのです。この指揮をとっているのが他ならぬ”AMPK”なのです。

 
 改めて、この酵素の重要性が理解されたことと思います。


AMPKが減ると
 

 この重要なAMPKが減って、うまく働かなかったら生体にとって大変なことになります。
 AMPKが活性化しないと、蓄えていたエネルギーを有効に使えなくなってしまいますので、脂質や糖などのバランスが崩れ、様々な病気になってしまう危険があります。
 脂質が増えれば、血中のコレステロールやグリセリドの濃度が上がり、血管に悪影響を与え、動脈硬化につながるかもしれません。皮下脂肪も増えてお腹周りが増えたり、体重が増えたりするかもしれません。
 血中の糖分が増えれば、血糖値が上昇し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり、さらには糖尿病につながるかもしれません。異常やダメージを受けたタンパク質が増えてくれば、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経退縮性疾患になるかもしれません。

 
AMPKを活性化する方法

 
 AMPKがうまく働かないと様々な問題が出てくることが心配されます。では、AMPKを活性化する方法にはどんなものがあるのでしょうか?
  これまでに知られている方法は以下の4つがあります。

 
運動


 日常の運動はエネルギーを使う方向なので運動で消費されたエネルギーを補給するためにAMPKが活性化されるが、この働きは加齢で低下します。


  カロリー制限


 食事量を減らすとさらにエネルギーが必要であるとセンサーに認知され、AMPKが活性化されます。


  メルフォルミン(ビグアナイド系糖尿病治療薬)


 ll型糖尿病患者に処方される糖尿病治療薬で、上昇したブドウ糖濃度を下げます。消化器不良の副作用も報告されています。


  植物抽出物


 漢方のGynostemma pentaphyllum(アマチャヅル)とローズヒップ由来のtrans-tiliroside(アシル化フラボノール配糖体)は、ブドウ糖濃度を下げる強力な作用を示し、メルフォルミンより強くAMPKを活性化します。


カロリー制限と週3回の運動で若さをキープ!


 運動するとATPが消費されます。新たに作る必要が出てきてAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)が働き、ミトコンドリアの新陳代謝が盛んになります。ジョギングやウオーキングといった有酸素運動をすると酸素の消費が多くなり、一時的に活性酸素も増えますが、ミトコンドリアの質が良くなることで、結果的に活性酸素の排出量が大幅に減ります。
 AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)とは、飢餓状態で働く酵素です。満腹になると、この酵素の働きが抑えられます。


カロリー制限と運動でミトコンドリアが増える! 


 脂肪を燃やす有酸素運動に加えて、筋力トレーニングで筋肉量を増やすことも大切です。 基礎代謝が上がり、じっとしているときに消費するカロリーが多くなります。
 AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を動かし、ミトコンドリアの新陳代謝を良くするには「30分~45分程度の有酸素運動が有効です。いったんAMPKが活性化すると36時間ほど効果が続きます。そこから考えると2日に1回、週3回のペースで運動すれば理想的です。
 年を取るとミトコンドリアの質が悪くなりますが、運動によって劣化を抑えられます。カナダのマクマスター大学で行われた研究によりますと、日常的に運動する習慣を持つ平均70歳の高齢者たちは、ミトコンドリアの機能が若者とほとんど変わらなかったといいます。
 「カロリー制限と運動」といえばダイエットの王道ですが、やせて健康になるだけではありません。ミトコンドリアの質と量を保って慢性頭痛改善・老化を抑えることにも直結しています。
 

 ミトコンドリアは、細胞内に存在しているもので、1つの細胞の中に、数百~数千あると言われています。そして、このミトコンドリアは、細胞内でエネルギーの代謝を促進する働きをしているのです。
 つまり、このミトコンドリアが、細胞内で元気に活動すればするほど、それだけ代謝が促進されていくということなのです。
 ウォーキングによって、細胞内のミトコンドリアが活性され、通常よりもっと多くのエネルギーを細胞内に取り込むことにより、代謝が促進されます。
  歩けば歩くほど、ミトコンドリアが活性され、その活性が代謝促進に繋がっていくのです。よく、歩いて脂肪燃焼と言いますが、それは細胞内のミトコンドリアを活性させているからなのです。
 このように運動不足は、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、片頭痛悪化の要因になってきます。


●カロリー制限でミトコンドリアも増える

 

 カロリー制限でもミトコンドリアが増えます。


 カロリー制限をして摂取カロリーが減ると、当然、その材料であるブドウ糖(グルコース)の外部からの供給が一時的に減ってATP生産量も減ってきます。
 すると、それを感知したAMPキナーゼが活性化します。この働きにより、先ほどのようにミトコンドリアを活性化させたり、量を増やしたりしていきます。
 また、カロリー制限をしていると無駄にたまった脂肪も分解されていきます。
 脂肪細胞にたまっていた中性脂肪が少なくなっていくわけです。
 脂肪細胞は、ただ単に脂肪をため込むだけのものではなく、それ自身が生理活性物質を分泌しています。脂肪細胞に脂肪がたまりすぎてぶくぶくになっているときは悪玉物質、脂肪がたまっていないときは善玉物質が分泌されるようになっているのです。
 そして、善玉物質の1つに「アディポネクチン」(後述します)というのがありますが、これがAMPキナーゼを活性化する働きも持っています。
 こうしてみると、”適度なカロリー制限”をすることは、二重にも三重にもいい効果が得られると考えられます。
 そういえば、女優の黒木瞳さんも、以前、笑っていいともに出演されていたときに、美しさの秘訣をタモリさんに聞かれて、「腹八分目とミトコンドリアを増やすこと」というのを言われていました。
 適度なカロリー制限「腹八分」にして、結果ミトコンドリアが活性化し増えてもいます。その結果が、今の黒木さんの若々しさ、美しさにつながっているのかもしれません。あの美しさをみれば、非常に説得力のある考え方です。


  ここで、「アディポネクチン」とは、どのようなものなのでしょうか。


「アディポネクチン」って何?

 
 あるときは「やせホルモン」、またあるときは「長寿ホルモン」と呼ばれ、話題になっているものがあります。その正体は「アディポネクチン」といい、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種です。生活習慣病の対策としても期待されるこのホルモンには、いったいどんな働きがあるのでしょうか。
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なぜ「やせホルモン」と呼ばれるのか?


 ホルモンというと、内臓などから分泌されるものと考えている人が多いと思いますが、実は脂肪細胞からも分泌されます。脂肪細胞からはホルモンだけでなく多くの生理活性物質が分泌されていますが、そのなかで善玉物質として注目されているのがアディポネクチンです。


 なぜ注目されているのかといいますと、アディポネクチンには脂肪を燃焼させる働きがあるからです。そのためテレビ番組などでは「やせホルモン」と呼ばれたりして、しばしば取り上げられているのです。
 体を動かしてエネルギーが必要になると、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」が活性化されて、体内の脂肪をエネルギーとして消費します。また、筋肉にある酵素「AMPキナーゼ」も活性化されて、糖や脂肪をエネルギーとして活用しようとします。つまり、運動することで酵素が活躍して、脂肪が蓄積されるのを防いでくれるのです。
 これに対してアディポネクチンには、運動を行わなくてもAMPキナーゼを活性化する働きがあります。運動をすればもちろん、しなくても糖や脂肪の消費をサポートしてくれるのです。アディポネクチンが分泌されていれば、脂肪を燃焼しやすく、太りにくいカラダになることが可能というわけです。


 アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されているため、脂肪が多く太った人のほうがたくさん分泌されるのでは? と考えるかもしれませんが、事実はその逆です。
 脂肪、なかでも内臓脂肪が多くなればなるほど、アディポネクチンの分泌量が減ってしまうことがわかっています。
 そのメカニズムに関しては、すべてが明らかになっているわけではありません。
 しかし、その理由として考えられているのは悪玉物質との関連です。脂肪が多く太っている状態は、狭い密室に脂肪細胞が詰め込まれていることを意味します。詰め込まれた脂肪細胞は炎症を起こし、炎症細胞であるマクロファージがそこに近づいてきます。すると悪玉物質が分泌されてしまい、代わりに善玉物質であるアディポネクチンの分泌が減ってしまうと考えられています。アディポネクチンが分泌されるためには、脂肪をため込むことを防がなくてはいけないのです。


動脈硬化や糖尿病の予防にも役立つってホント?


 アディポネクチンが注目される理由は、脂肪燃焼の働きだけではありません。
 今、最も注目されている点は、動脈硬化を予防し、改善する働きです。
 血管は加齢によって弾力が失われるだけでなく、糖や脂質などを摂取することで常に損傷していきます。そうすると血管壁にコレステロールがプラークとして付着しやすくなり、血管を詰まりやすくしてしまいます。動脈硬化は高血圧や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす大きな原因となってしまうのです。
 アディポネクチンには血管内の傷を修復するだけでなく、血管を拡張する働きがあります。そのためアディポネクチンがちゃんと分泌されていれば、動脈硬化を予防することが可能となり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを低減できることになります。


 アディポネクチンにはインスリンの効果を高める働きもあります。膵臓から分泌されるインスリンは、私たちの体の中で唯一、血糖値を下げてくれる働きを持っています。
 しかしアディポネクチンの値が低いとインスリンの働きが悪くなってしまい、血糖値が上昇してしまう危険性があります。つまりアディポネクチンには、2型糖尿病の予防に対しても大きな期待がかけられているのです。
 また、脂肪を燃焼する働きがあるアディポネクチンの分泌が十分でなければ、脂質の代謝が悪くなってしまいます。このため太りやすくなるだけでなく、中性脂肪の数値が悪くなったり、善玉といわれるHDLコレステロールの数値が低くなったりします。すると、脂質異常症にもつながってしまいます。
 高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気は「生活習慣病」と呼ばれる病気です。アディポネクチンが正常に分泌されていれば、これらの生活習慣病を防いでくれる可能性があります。そのためアディポネクチンは「長寿ホルモン」とも呼ばれているのです。


 また、アディポネクチンにはがん細胞が増殖するのを抑制する働きがあるのでは、ともいわれています。すべてのがんに対してではありませんが、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、前立腺がんなどに対して、アディポネクチンの予防効果が期待されています。
 さらに、アディポネクチンが心臓などの臓器にも作用しているのではないかという研究報告もあります。心筋梗塞のあるマウスによる実験では、心筋のアディポネクチンの量が一時的に増加するのに対して、血中のアディポネクチン濃度が一時的に低下するという様子が見られたといいます。これは、血液中を巡回していたアディポネクチンが障害された臓器に集まり、臓器保護作用を発揮している可能性が示唆されているというのです※。


※ 基礎研究【アディポネクチン】前田法一 下村伊一郎 医学のあゆみ Vol.250 No.9 2014.8.30より


アディポネクチンと似た働きが期待されている「オスモチン」って?


 アディポネクチンは大阪大学医学部の松澤佑次教授(当時)によって、1996年に発見されました。そして東京大学大学院医学研究科糖尿病・代謝内科の研究室によって、2003年にホルモンであることが明らかにされました。
 ホルモンとは、体の中で産生されて血液で運ばれ、特定の組織・器官にあるホルモン受容体と結びつくことで作用する物質のことです。例えばコレステロールは、体内で作られ血液によって運ばれ、ホルモンの原料となったり細胞膜を作る材料となったりしますが、受容体で特定の組織と結びついて働くわけではありません。したがって、コレステロールはホルモンではありません。これに対してアディポネクチンは、脂肪細胞で作られ血液で運ばれ、骨格筋や肝臓、脂肪組織にあるアディポネクチン受容体と結びついて作用します。 この受容体を発見したことによって、アディポネクチンがホルモンであると証明されたのです。


 受容体というのは、いわば「鍵穴」のようなもの。ホルモンはその鍵穴にピッタリはまる「鍵」といえます。
 そこで今、注目されているのが「オスモチン」という物質です。アディポネクチンと構造が非常に似ているため、オスモチンがこの鍵穴にピッタリと結びつくことができるといわれているからです。オスモチンがアディポネクチンと同じ働きをするのかどうかは研究段階ですが、筋肉にある酵素、AMPキナーゼを活性化することは解明されており、糖や脂肪の代謝をアップさせてくれます。今後、オスモチンのさらなる作用が明らかになれば、もっと注目されることは間違いありません。
 その理由の一つは、日本人は遺伝的にアディポネクチンの分泌が少ない人が存在しているからです。太っていないのにアディポネクチンの少ない人が、30~40%程度いるといわれています。そのため、アディポネクチンだけに期待するのではなく、オスモチンが代わりになってくれれば理想的だからです。


 オスモチンは植物に含まれているたんぱく質で、フィトケミカルの一種です。とくにリンゴやキウイフルーツ、サクランボ、ブドウなどの果実やピーマン、唐辛子などに含まれています。アディポネクチンが動物由来なのに対して、オスモチンは植物由来の成分なのです。
 ただし、果実類は食べ過ぎると内臓脂肪を蓄積させる原因になることもあります。内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌を減らすことになる危険性もありますので、バランスのとれた食事が重要です。


アディポネクチンを増やすためにはどうすればいい?


 アディポネクチンの分泌を高めるためには、毎日の食事が重要です。
 大豆たんぱくに含まれる「βコングリシニン」は、アディポネクチンを増やすといわれています。木綿豆腐には6.6g、絹ごし豆腐には4.9gのたんぱく質が含まれています(食品100g中。以下同様)。
 豆腐を凍らせて乾燥させた高野豆腐は、栄養分が豊富だとよく報道されたりします。例えば「高野豆腐は木綿豆腐の約7倍のたんぱく質を含んでいます」といった記事などをご覧になったこともあるでしょう。実際、高野豆腐には50.5gのたんぱく質が含まれていますが、それは乾燥品100gあたりの数値のこと。市販品の多くは1切れ約16gなので、6切れ以上食べないと100gになりません。それに比べて、約80%の水分が含まれた高野豆腐の水煮に含まれるたんぱく質は10.7g。実際に食べるときにはだし汁でもどすわけですから、水煮の数値を参考にしたほうがよさそうです。 もちろん納豆や豆味噌、湯葉など、ほかの大豆製品もたんぱく質が豊富ですので、積極的に食べるようにしましょう。


 青背魚に含まれるEPAもアディポネクチンを増やすといわれています。青背魚とは、アジやイワシ、サバ、サンマなど、私たちにとって身近な食材です。ただし、EPAは脂肪ですので熱を加えると溶け出てしまいます。刺し身やカルパッチョなど生で食べる工夫をするほか、煮魚の場合は煮汁もいっしょに摂るといいでしょう。ただし、薄味に仕上げるなど塩分の過剰摂取には注意が必要です。EPAを摂取したい場合、青背魚の揚げ物はお勧めできません。揚げ油に溶けたEPAは取り戻すことができないからです。ほかに魚介類では、サケやエビ、カニなどに含まれている赤い色素成分「アスタキサンチン」もアディポネクチンの働きを助けるといわれています。「青背魚ばかりでは飽きる」という人は、こういった食材も試してみましょう。

 アルコールも適量であれば、アディポネクチンを増やすといわれています。ただし、1日の適量というのはビールで中瓶1本、25度の焼酎で0.7合、ワインでグラス2杯……。酒飲みにとってはなかなか厳しい制限です。しかしアルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪を増やし、アディポネクチンの分泌を阻害することになってしまいます。「お酒を飲み過ぎることがよくある」という人は、アルコールでアディポネクチンを増やすことはあきらめたほうが得策です。


 カルシウムとともに骨や歯を形成するのに欠かせないマグネシウムも、アディポネクチンの分泌を助けるといわれています。塩化マグネシウムを主成分とした「にがり」を使って作られた豆腐には、当然マグネシウムが含まれています。また、豆味噌や油揚げ、納豆といった大豆製品、あおさやわかめ、てんぐさといった海藻類、さらにはゴマやアーモンド、カシューナッツといった木の実類にもマグネシウムが多く含まれていますので、これらの食材を意識して摂取するといいでしょう。
 最近注目されているスーパーフードのなかでも、中南米原産の穀類「アマランサス」は特に多くのマグネシウムを含んでいます。マグネシウムだけでなく食物繊維やカルシウム、鉄分も多く含まれていますので、お米を炊くときに少量加えたり、ゆでてからサラダにトッピングするなど、摂り過ぎに気をつけながら毎日の食事に加えるのも一つの方法です。


 もちろん食事だけでなく運動も重要です。
 内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌が減ってしまいますから、内臓脂肪を増やさないためにも有酸素運動は欠かせません。速歩きを加えたウォーキングは、無理なく続けられる点でお勧めです。ラジオ体操、アウトドアアクティビティ、サイクリングといった運動でも構いませんが、いずれにしても継続して行うことがポイントです。
 皮下脂肪に比べて、内臓脂肪のほうが落としやすいといわれています。ダイエットを行うと、まず余分な内臓脂肪を減量できるのです。無理なダイエットでなく、バランスのとれた食事と適度な有酸素運動を組み合わせれば、内臓脂肪を落とすことが可能です。そのためには、毎日欠かさず体組成計に乗って体重を測ることも、継続の大きなモチベーションになります。食事だけでなく運動を取り入れて、アディポネクチンを増やす生活を心がけてみましょう。


 消費されなかった余分な糖と劣化したタンパク質=AGE


 前回は、糖質の過剰摂取は癌だけではなく、人類の万病のもとと述べました。
  消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。このAGEの有害な毒物の蓄積が、ミトコンドリアの機能を悪くする原因になっています。このためエネルギー産生が、解糖系に傾くことになります。


体内に貯まるほど老化が進むAGE

 
 AGEとは終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のことです。強い毒性を持ち、老化を進める原因物質とされています。
 老化というとすぐに思い浮かぶのはお肌のシミ・シワや認知症などかもしれませんが、それだけではありません。AGEが血管に蓄積すると心筋梗塞や脳梗塞、骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障の一因となり、AGEは美容のみならず、全身の健康に影響を及ぼしていると言えます。体のあちらこちらで深刻な疾病を引き起こすリスクとなるAGEを体内に溜めない生活・減らす生活を送ることが大切です。 .

 
 食事から摂取した炭水化物はアミラーゼ酵素によってブドウ糖に分解され、細胞に供給されてエネルギーとして消費されます。ところが消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。 肌や目の水晶体のタンパク質は入れ替わり周期がとても長いためAGEが蓄積してしまい、その結果シワやタルミがでたりくすんで透明感がなくなったり、白内障になったりといった老化現象が現れます。


糖化の原因

 
 細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアが原料としているのが、血糖の『糖』です。元気なミトコンドリアは『糖』をどんどん私達のエネルギーである『ATP』に変換しています。
 

 息切れもない、疲れない、健康なカラダには、豊富なATPが供給されています。
 一方ATPが不足しがちになると、生命維持のための心拍や呼吸などい優先的にATPが消費され、遺伝子修復やがん細胞撃退などさまざまな弊害が出てくるといわれています。
 ATPが不足になるのは糖が足りない場合と、糖をATPに変換するミトコンドリアの活性が悪くなる場合とがあります。
 現代社会において糖が足りないということは稀で、一般的にはミトコンドリアの活性が悪いために糖を変換しきれないことが殆どです。
 この変換しきれない糖が『糖化』の基になります。細胞内の糖はミトコンドリアにダメージを与え、ますますミトコンドリアを減らし活性を悪くします。そうするとミトコンドリアは糖をATPに変換せず、大量の活性酸素を発生し始めます。
 酸化と糖化のダブルパンチで加速度的に悪化していくのです。


 このようにして、活性酸素による酸化とエネルギーに変換しきれない糖による『糖化』の2つによって、ミトコンドリアの働きが悪くなってきます。


■ AGEs : 終末糖化合物


 ミトコンドリアが変換しきれなくなった糖は先ず細胞内に溜めこまれ、それでも余った糖は血糖として血液を循環します。これが血糖値です。
 各器官の組織を構成するタンパク質と糖た結合し、糖化物になります。
 その後、糖化反応中間体になり、『AGE:終末糖化合物』という物質に変質します。
 
 炊き立てのご飯の甘さはデンプンが糖質に変わったからですが、時間がたつと黄色くなり、粘り気と弾力が無くなります。肌が糖化すると黄色いくすみとなり、ハリや弾力低下などとして現れます。
 
 これを防ぐには血糖値を低く抑えることが重要です。ミトコンドリアの活性を良くし、代謝を上げるとで予防できます。


AGEが体内に蓄積されるしくみ
 

体内でつくられるAGE
 

 AGEは、2通りのしくみで体内に溜まっていきます。
 一つ目は、体内でつくられるAGE。
 血中のブドウ糖が過剰になってあふれ出すと、人間の体の細胞や組織を作っているタンパク質に糖が結びつき、体温で熱せられ「糖化」が起きます。こうして「タンパク質と糖が加熱されてできた物質=AGE」ができるのです。
 体内のタンパク質が糖化しても、初期の段階で糖の濃度が下がれば元の正常なタンパク質に戻ることができます。しかし高濃度の糖がある程度の期間さらされると、毒性の強い物質に変わってしまい元には戻れなくなります。
 
 食べ物から体内に入るAGE
 

 もう一つは外から取り込むAGE。「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」はいろいろな食べ物・飲み物の中にも含まれ、私たちは食事や間食として取り込んでいるのです。
 わかりやすい例として、ホットケーキを挙げてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして加熱すると、ホットケーキが焼けます。そして、ホットケーキ表面のこんがりキツネ色になっている部分こそが糖化した部分。ここにAGEが発生しているのです。
  こうした飲食物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが、約7%は排泄されずに体内に溜まってしまいます。
 

老化の速度を決める方程式 AGEの量=血糖値×持続時間
 

 体内でできるAGEの量は、「血糖値×持続時間」で表すことができます。
  血糖値が高いほど、体の中で糖とタンパク質が結びついて多くのAGEが発生します。そして糖にさらされる時間が5年、10年と長くなればなるほどAGEは溜まり続けるのです。
  また、AGEを多く含む食べ物を頻繁に食べると、それだけ蓄積量が増えていきます。 .
 

AGEを下げるためには・・
 

 AGEは日常的に体内で少しずつ生成されていますが、余計なAGEを蓄積させないための方法があります。

 
 1. AGE値の高い食品と調理法を知る
 

 主食では、パン、パスタ、コーンフレーク、パンケーキなどに多くのAGEが含まれています。これに対して、ごはんはトーストしたパンの3分の1のAGE量です。
  
  また、AGEの生成は加熱によって促されるので、生で食べるのと、短時間で高温調理したものではAGEの量が桁違いに変わってきます。特に注意したいのは、唐揚げ、ハンバーガー、ステーキ、清涼飲料水など若い男性が特に好んで食べるもの。外食をする際には気をつけたほうがいいかもしれません。
 
 2. 生!茹!煮!の和食がオススメ
 

 伝統的な和食では、高温調理するものはそんなに多くないのでオススメです。生の状態の刺身やおしんこ、酢の物などはAGE量が最も少なく、茹でる・煮るという調理法はAGE量を効果的に抑えるのに有効です。
  焼き魚よりも、煮付け。焼き鳥よりも、水炊き。生姜焼きよりも、豚しゃぶ。といった具合に調理方法にも気を配ると良いでしょう。
 
 3. 食事のスタートは野菜から
 

 和食を食べるときはおひたしを、洋食ならサラダを食事の起点にしましょう。野菜から先に食べることで、血糖値を上昇させにくくさせ、AGEが溜まりにくくなります。さらに、野菜に含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌の大好物なので、腸内環境を整えることもできます。
 
 4. 一口目から完食するまでは、最低でも20分かける
 

 過度の早食いもAGEを増加させる原因となります。大量の糖質が胃から腸へ一気に届くことで、糖とタンパク質が反応しやすくなり、AGEを生成させやすくしてしまうためです。
  ですので、ひと口ずつしっかりと咀嚼しながら食事をすることを心がけましょう。一気食いしてしまいがちな牛丼などは避け、できるだけ定食メニューを選び、一口目から完食まで20分を目安に食事をすると良いでしょう。
 
AGEを増やさないために
 

 ついつい飲んでしまう炭酸飲料や、ガムなどのお菓子の甘味づけに使われる人工甘味料は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEをつくるため、食べ過ぎ、飲み過ぎには注意しましょう。
  成分表示を確認し「果糖ブドウ糖液糖」「果糖液糖」「異性化糖」などと書かれている場合は注意が必要です。
 
 
 以上のようにしてAGEを増やさない工夫が必要になってきます。


 このようにして、ミトコンドリアの働きの悪化させないようにする必要があります。


  ミトコンドリアが機能低下してATPを作れなくなった細胞がガン細胞です。
 代わりに解糖系でATPを作りますので、大量の糖質が必要になり、大量の乳酸を排出して身体を酸性に傾けるのがガン細胞です。
 放射性物質・水銀などの重金属・アクリルアミド・AGE等の有害な毒物の蓄積が、ミトコンドリア衰弱(機能を悪くする)の大きな原因です。
 もう一つの大きな原因は、ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンDやミネラル・アミノ酸などの、栄養素の欠乏です。
 特にビタミンB1とジクロロ酢酸が不足してガン化する人が多いようです。
 放射性物質・水銀・アクリルアミド・トランス脂肪酸などから完全に身を守るのは、汚染された現代日本では難しい面があります。
 しかしガン細胞を大きく育てるのは糖質→乳酸なので、糖質をなるべく控えることでガン予防できます。
 このように、糖質の摂りすぎ、空腹時血糖と食後血糖の差が大きい「ブドウ糖スパイク」は、健康生活を送る上、とくにガンを予防する上で、でよくないということです。


 このことは、以前「ガンについて」https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12278898908.html で述べたことです。

 


 いずれにしても、高血糖、空腹時血糖と食後血糖の差が大きい「ブドウ糖スパイク」は、インスリン過剰分泌を来たし、肥満につながり、活性酸素を過剰に発生させ、ミトコンドリアの働きを悪化させることになり、片頭痛治療上、糖尿病予防上、認知症予防上好ましくないということです。

 このようにして、エネルギー代謝が、解糖系に傾いてしまうことになります。