片頭痛とミトコンドリア その1 ミトコンドリアは「生命エネルギーの製造工場」 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回は、「片頭痛がなぜ治らないのか?」について述べました。このようなことを記事にして、皆さんを不安のどん底に陥れる気は毛頭ありません。
 それでは、「片頭痛を治す」ためには、私達はどのようにすればよいのでしょうか?
 これまで、いろいろな角度から、「片頭痛を治す」ために、どのようにすべきか述べてきました。

 片頭痛とは、ミトコンドリアの機能の低下によって起きる頭痛です。
 こういったことから、今回は、シリーズとして、ミトコンドリアがどのように片頭痛と関わっているのかを、これまで述べてきたことを整理しながら、「ミトコンドリア」を中心にして、片頭痛を考えてみることにします。

 
 ミトコンドリアは「生命エネルギーの製造工場」


 ミトコンドリアは私たちが空気を呼吸して取り入れた「酸素」と食事をして取り入れた「ぶどう糖」を、「二酸化炭素」と「水」と「エネルギー」に変える働きを持っています。 エネルギーは体温を保ったり、運動したり、物事を考えたり、その他の化学合成をする時などに使われます。つまり、ミトコンドリアがないと、私たちは生きていけない非常に大切な細胞内の器官なのです。ミトコンドリアは「生命エネルギーの製造工場」とも呼ばれています。


■生命維持に必要なエネルギー物質はATP


 まずは、栄養素の話からスタートしましょう。私たちが食事から摂った栄養素のうち、糖質(ブドウ糖)は主にグルコースとなり、体内に蓄えられますが、グルコースはそのままではエネルギーとして利用できません。ヒトがエネルギーとして直接利用できるのはATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる高エネルギー物質です。グルコースからATP を作り出すことで、私たちは生命を維持し、筋肉を動かし、頭(脳)で物事を考えることができるのです。
 そういう意味では、グルコースからATP を作り出すシステムは、私たちの生命の根幹を担う最も重要なシステムの一つといえるでしょう。


■瞬発力を必要とする運動時に必要なエネルギーは、主に解糖系が作る


 それでは、実際に私たちがグルコースからATP を作り出すシステムはどのようなものでしょうか。
 システムは大きく分けて二つあり、一つは細胞質内で行われる「解糖系」、もう一つはミトコンドリア内で行われる「TCAサイクル」と「電子伝達系」です。
 解糖系、TCAサイクル、電子伝達系の3 段階を経てエネルギーは作られます。
 解糖系では、グルコースからピルビン酸を作りますが、その過程で2 分子のATP が作られます。1 分子のグルコースからたった2 個のATPしか作れないわけですから、エネルギー産生効率が悪いと思われるかもしれませんが、解糖系は酸素を使わなくてもATP を作ることができる点で優れています。


 一方、「TCAサイクル」と「電子伝達系」(ミトコンドリア系)は36 または38 分子のATP を作るので、すごく効率がよいのですが、酸素がなければ回りません。


 酸素があるかないかで、どちらのエネルギー産生系を主に使うかが決まります。
 例えば、100m 走などの短距離を全力で走ったり、重たいものを持ち上げる運動では、呼吸による酸素の供給が間に合いません。

  しかし、そのような状況でも解糖系は瞬時に必要なATP を作ることができます。

  一方で、筋肉に蓄えられているグルコースの量は多くないため、解糖系だけではエネルギー供給は長続きしません。私たちが瞬発力を必要とする運動を長時間継続できないのはこのためです。フルマラソンのように長時間運動を継続するには、酸素を取り込み、うまくTCAサイクルを回すことが必要です。

  ちなみに魚でも、オコゼやアンコウ、カレイという白身の魚は、海底に潜んでいて獲物が来た瞬間にパッと上に行くときに解糖系を使っています。白身の魚にはミトコンドリアが少ないのです。ところがマグロのような赤身の魚はミトコンドリアが多く、年中泳ぎ回って酸素を取り込んでいます。これは止まったら酸欠になって、エネルギーができなくなるからです。


 このように、生物の生きるパターンにうまく対応して、ミトコンドリアの多い・少ない、解糖系・TCAサイクル利用の比率が決まっているのです。


■ミトコンドリアは大量のエネルギーを産生する『電子力発電所』


 私たちが体温を保ち、体の構造を維持し、生命活動を続けるためには、絶えず大量のエネルギーが必要です。そして、大量のエネルギーを供給するうえで重要な役割を果たしているのが、TCAサイクルと電子伝達系(ミトコンドリア系)です。
 解糖系が細胞質で行われるのに対して、TCAサイクルと電子伝達系(ミトコンドリア系)は細胞のなかのミトコンドリアと呼ばれる小器官で行われます。ちょうど、細胞のなかにノアの箱舟のようなミトコンドリアという船が浮かんでいるイメージです。
 海の部分が細胞質、そこで解糖系が働き、船のなかではTCAサイクルが回転しています。
 船の大きさは約1μm( 0.001mm)で、普通の顕微鏡では見えません。ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の膜で覆われており、外膜と内膜の間には膜間スペースがあります。 内膜はクリステと呼ばれる特殊な折りたたみ構造をしているのが特徴です。


 解糖系で生成されたピルビン酸はミトコンドリア内に入り、アセチルCoAという物質に変換されてTCAサイクルに入り、そこで酸化されて二酸化炭素(CO2 )に分解されます。


 この過程で電子伝達系によりH+(プロトン)が膜間スペースに溜められ、大量に溜まったH+(プロトン)がマトリックス内に勢いよく流入するエネルギーを利用してATP を作り出すのです。ちょうど、高い所から低い所へ落下するH+(プロトン)が水車を回す力でATP を作り出すようなイメージを想像すると分かりやすいと思います。
 

 このように、ミトコンドリアは電子の力を使って大量のエネルギーを作り出すことから、生体内の「電子力発電所」と呼ぶのがふさわしいと思います。


■ TCAサイクルが効率よくエネルギーを作るために必要なビタミンB1

 
 私たちはミトコンドリアの働きによって大量のATP を合成し、生命を維持し、エネルギッシュな生活を送ることができます。
 TCAサイクルは、ピルビン酸がアセチルCoA に変換されてオキサロ酢酸と結合することでスタートしますから、この第一ステップがスムーズに進むことはとても重要です。 
 ピルビン酸をアセチルCoA に変換する反応は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼという酵素が担っています。この酵素が効率よく働くのをサポートしているのが、ビタミンB1 から作られるチアミンピロリン酸(TPP)です。

 
 そのため、体内でビタミンB1 が欠乏すると、ピルビン酸はアセチルCoA になることができず、ミトコンドリアにおけるATP の産生量が減少してしまいます。さらにビタミンB1 不足が深刻になると、ビタミンB1 欠乏症である脚気を引き起こし、大量のエネルギーを必要とする心臓や神経が障害されます。
 私たちはビタミンB1を自分で作ることも長期に蓄えることもできませんから、毎日の食事から1日約1.0mg 程度摂取する必要があります。
 健康な状態では普通に食事をしていれば、意識しなくても十分量のビタミンB1 を摂取できます。
 しかし、肉体労働やスポーツあるいは強いストレスのかかった状況では、ミトコンドリアはフル稼働してエネルギーを作り出しているため、ビタミンB1 の供給が追いつかない場合もあります。そのような場合は医薬品などを活用して、適量のビタミンB1を補給することも重要です。


 以上のことを、簡略に理解しやすいようにまとめてみますと、以下のようになります。


解糖系とミトコンドリア系


瞬発力の解糖系と持続力に優れるミトコンドリア系


 エネルギ―を得るには、2つの系統があります。1つは解糖系で、もう1つがミトコンドリア系です。


 解糖系は、酸素を使わず、糖質を分解してエネルギ―をつくり出します。ミトコンドリア系は、酸素を使って、食事で得られた糖や脂肪、たんぱく質や解糖系で生まれたピルビン酸を材料にエネルギ―をつくり出します。
 解糖系は、細胞質で、酸素を使わず低体温の環境で働きます。ピルビン酸を経由して乳酸をつくり出す過程で、ATP(アデノシン3リン酸)を瞬時につくります。グルコース(ブドウ糖)1分子当たり、2分子のATPが生成されます。
 骨格筋(白筋)、精子、再生上皮細胞、骨髄細胞、ガン細胞など分裂の盛んな細胞は、解糖系のエネルギ―を主体に活動します。瞬発力と分裂に使われます。


 ミトコンドリア系は、ミトコンドリア内で、酸素を使って高体温の環境で働きます。グルコース(ブドウ糖)1分子当たり、36分子(計38分子)のATPが生成されます。解糖系の18倍、あるいは19倍の効率で、安定的にエネルギ―をつくり出すことができます。骨格筋(赤筋)、心筋、ニューロン(脳神経細胞)、卵子、一般の細胞などは、ミトコンドリア系のエネルギ―を主体に活動します。


加齢とともにミトコンドリア系が主体になっていく


 私達は、この2つのエネルギ―系を使い分けているのです。子供のころは解糖系が優位で、加齢とともにミトコンドリア系中心にシフトしていきます。

 ただし、ストレスによって交感神経の緊張が持続すると、血管が収縮して低体温になり、解糖系のエネルギ―が主体となってきます。低体温、低酸素、高血糖の状態です。ガンや糖尿病の状態であるといえます。

  このように、エネルギー産生のしくみには、解糖系とミトコンドリア系の2つのがあります。この、両者の調和がとれてこそ、健康が保てるのです。
  解糖系にかたよると、疲れやすくなります。また、血糖値が上がり、血管も収縮して、交感神経優位で起こる生活習慣病を発症しやすくなります。
  ミトコンドリア系にかたよりすぎても、アレルギー性の生活習慣病にかかりやすくなります。


  解糖系とミトコンドリア系の2つのエネルギー産生のバランスがとれた生き方を心がける必要があります。


 解糖系が働きやすい環境は、低体温、低酸素、高血糖の3条件です。
 主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。
 解糖系でATPを作るには、大量の糖質が必要になり、大量の乳酸を排出して身体を酸性に傾けます。糖質の過剰摂取は癌だけではなく、人類の万病のもとです。
 片頭痛では、ミトコンドリアの働きが悪くなっているため、エネルギー産生は解糖系に傾くことになります。


 糖尿病、片頭痛やガンを治すには、高体温、高酸素、低血糖の状態にして、ミトコンドリア系にシフトしていく必要があります。ストレスを少なくして(ストレスにうまく対処して)、副交感神経優位の状態に戻していかなくてはなりません。


ミトコンドリア系とビタミン


 生活習慣病とは慢性的な「乳酸アシドーシス」


 片頭痛、「生活習慣病」とは、ミトコンドリアの機能低下と考えてよいと思います。
 したがって、生活習慣病は、ミトコンドリアの機能を本来の姿に戻せばいいだけです。


 ミトコンドリアの機能が低下するのは、「低体温」「低酸素」「血液の酸性側への傾き」(健康な状態では弱アルカリ性のpH7.35〜7.45ですが、7.35未満になる)の状態です。このような状況になると、ミトコンドリアの機能低下によって十分なエネルギー(ATP)が得られないため、解糖系のエネルギー産生が盛んになります。


 解糖系のエネルギー産生が高まると、炭水化物(ブドウ糖)からエネルギーをつくり、その際に副産物として乳酸が産生されます。ミトコンドリア系が十分に働いている場合は、副産物の乳酸も栄養としてエネルギー産生に使われます。しかし、解糖系はブドウ糖のみを利用するため、細胞内で乳酸が余った状態になります。
 酸性である乳酸が細胞内で余っていくと、慢性的な乳酸アシドーシス(pHが本来の状態よりも酸性側に傾く)状態になります。乳酸アシドーシスは、乳酸の過剰産生、代謝低下により起こります。アシドーシスの状態になると、ミトコンドリア系はますます働きが悪くなります。


 乳酸の過剰産生とは解糖系の亢進であり、乳酸の代謝低下とはミトコンドリア系の機能低下のことです。


ビタミンB1を不足させない


 ミトコンドリア系の働きを本来の姿に戻すには、「低体温」「低酸素」を改善するとともに、ビタミンとミネラルが不足しない状況にすることが大切です。


 ミトコンドリア系では、ATPをつくるために、クエン酸回路を働かせます。この際に、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、 葉酸、ビオチン、ビタミンCといったビタミンが必要になります。


 とくに大切なのが、ビタミンB1です。ビタミンB1をはじめとしたビタミンが不足すると、クエン酸回路が働かないため、解糖系によってエネルギーを得ることになります。
 ビタミンB1を中心としたビタミンB群を多く含む食品をとるのが基本ですが、ビタミンB群を含むサプリメントを利用するのもいいでしょう。
 また、ビタミンだけでなく、ミネラルも必要なので、ミネラル不足にも注意しましょう。 とくに、食事がコンビニや外食を多く利用している方はビタミン、ミネラルともに不足がちになります。

 このなかでもマグネシウム、鉄分が重要になっています。


スムーズに効率よく、たくさんのエネルギー産生へ

 
 以上のように「ミトコンドリア工場」では、酸素と三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)をエネルギーをつくるための主な材料として仕入れます。このうちもっとも重要なのが糖質(炭水化物)です。

  ベルトコンベアに乗せられた炭水化物はすぐにブドウ糖に分解され、3つの工程を経て、エネルギーをつくる元となるATPをつくり出します。


  ATPは第一・第二工程で少量がつくられます。しかし、もっとも大量に生成されるのが、第三の工程です。この工程=電子伝達系で必要不可欠な働き手がCoQ10です。第二工程で発生した電子を交通整理して、効率的・スムーズにかつ大量に第三工程に送り、ATPをつくり出しています。


 電子伝達系があるミトコンドリア膜には”鉄”は必須です。
 鉄不足ですと電子伝達系の機能が低下し、十分なATPが産生できません。
 このように、鉄不足はTCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、エネルギー不足で疲れやすい、強い冷え症などの症状が発現し、また脂肪が燃えにくくなります。


 このように、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなるため、片頭痛を引き起こしやすくなってきます。

 


 先述のように、エネルギー工場の働き手として欠かせないのがCoQ10です。
 ATPはミトコンドリア内で生成されますが、ATPの生成に欠かせない物質がCoQ10です。
 CoQ10は、体内の酵素の働きを助ける役目を担っています。酵素は化学反応によって体内の物質を分解したり合成するものですが、CoQ10はこの酵素の働きをサポートする「補酵素」としてミトコンドリア内に存在しています。
 また、ビタミンと同じような役割を果たすため、「ビタミンQ」との別名もあります。ただし、ビタミンが体内で生合成されないのに対して、CoQ10は体内でつくり出すことができることから、正しくは「ビタミン様作用物質」のひとつです。
 エネルギー工場であるミトコンドリアでは、数多くのCoQ10が日夜エネルギーをつくり出し続けています。CoQ10はいわばエネルギー産生に欠かせない戦力です。この戦力が休んだり足りなくなると、エネルギーは生み出されなくなります。


 CoQ10は年齢を重ねるごとに、その量は減っていきます。酸化ストレスの増加などが原因で、体のCoQ10を作る能力が低下するためです。体の場所によってCoQ10の量が減少する比率は違いますが、特に皮膚では、70代では20代の約1/3まで減ってしまうという研究結果もあります。
 加齢だけでなく、喫煙などの生活習慣、うつ病、心筋症、片頭痛などの病気も体内のCoQ10を減らす原因として注意が必要です。
 CoQ10が減ることで、体内のエネルギー生産量が減り、細胞の活力がなくなります。つまり、元気や健康を維持する力が失われ、老化が進んだり、病気になりやすくなるのです。
 女性の場合は、更年期を迎えると心身ともに不調を感じることが増えてきますが、それは女性ホルモンのエストロゲンだけでなく、CoQ10も減少しているためと考えられます。
 不定愁訴や更年期障害などで悩んでいる人も、CoQ10を摂取することで、症状を軽くすることができるでしょう。
 また、CoQ10のもうひとつの働きに、抗酸化作用があります。活性酸素は毒物やウイルスなどを分解する酸素ですが、増えすぎると正常な細胞まで傷つけてしまうことがあります。抗酸化作用により増えすぎた活性酸素を無力化して取り除くことで、細胞が元気でいられます。


還元型と酸化型の違いは?
 

 ところでCoQ10には、「還元型」と「酸化型」という2つの種類があります。
 従来のCoQ10は酸化型で、CoQ10の基本構造に酸素がくっついた状態です。 酸素と反応して酸化しているので、体の中に入った時に、もともとの形である還元型に変換する必要があるのですが、人によっては加齢などでうまく変換できず、あまり効果が実感できないこともあります。
 一方で、最近よく見かける還元型というのは、酸化作用を受けていないものです。技術の進歩で、人間の体内にあるCoQ10と同じ状態に開発されたものが、還元型CoQ10です。


 還元型CoQ10は、体内での変換過程を経ずにダイレクトにミトコンドリアに作用するため、素早く効きめを感じやすく、人による効果の当たり外れも少ないとか。
 CoQ10は若さと健康のキープに欠かせないだけに、加齢に伴い不足する分を意識的に補うことが大切です。


 イワシ、豚肉、オリーブオイル、ブロッコリーなど、CoQ10を多く含む食品を積極的に食べることです。忙しくてそれができない人は、還元型CoQ10の含量を強化したゼリーやチョコレートなどの食品やサプリメントがお手軽です。還元型CoQ10を上手に摂取して、細胞レベルから元気になりましょう。


 脂肪からエネルギーが産生される仕組み


 体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルギーを生み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。


 ところが、遊離脂肪酸は”L-カルニチン”がないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。つまり、L-カルニチンがミトコンドリアの鍵を開けることで、はじめて遊離脂肪酸はミトコンドリアに入ることができるというわけです。
 L-カルニチンは遊離脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を果たしています。つまり、L-カルニチンが不足していては、体についた脂肪を燃やしてなくすことはできないのです。
 L-カルニチンには、もう一つ重要な働きがあります。それは、健康な脳機能を維持することです。L-カルニチンが不足すると、脳のアセチル-カルニチンが不足します。アセチル-カルニチンが不足すると、脳の細胞が壊れやすくなり、認知症になりやすくなります。
 このことは、数多くの臨床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、認知症防止にも役立つというわけです。


 L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチル化して認知症を防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。
 L-カルニチンだけがたくさんあっても、CoQ10が不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。逆に、CoQ10だけがたくさんあっても、L-カルニチンが不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。つまり、この二つの相乗効果で、片頭痛改善・肥満が解消できるというわけなのです。
 L-カルニチンはCoQ10と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。


ミトコンドリアが不調になると・・・


 ミトコンドリアの機能が低下すると、ATPが不足するほか、ATPがうまくつくられないことにより活性酸素が増加し、その結果、身体にはさまざまな不調があらわれます。


 めまい、動悸・息切れ、疲れ、肌荒れ、貧血、無気力、うつ状態等々・・・
 身体を元気に健康に保つためには、ミトコンドリアを元気にすることが大切なのです。


 ミトコンドリアの数が少なく弱ってくると、細胞が適正に活動するために必要なエネルギー量が不足し、細胞や組織はその役割を充分に果たせなくなります。


 骨格筋や心臓、肝臓、腎臓、脳などエネルギー代謝の盛んな臓器・器官の細胞ほどミトコンドリアの数は多く、それだけたくさんのエネルギーをつくり出すことで、神経・筋肉を動かしたり、心臓を働かせているわけです。
 このなかで、脳のなかのセロトニン神経系は私達が日中活動している間は常時働いており、エネルギー代謝が悪くなれば、セロトニン神経系の機能低下が引き起こされてきます。
 

 私達が元気でいられるのは、ミトコンドリアが充分エネルギーを供給してくれるからです。そのため、ミトコンドリアの数が少なく活力が無ければ、そのヒトの活力もなくなってしまうということです。
  片頭痛もミトコンドリアが弱ることで起きる病気ですので、ミトコンドリアをいかに元気にすることができるかが片頭痛を改善させる最大の“鍵“となります。