桔梗湯から広がる世界 | 漢方1日1歩のブログ

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1日生きるとは1歩進む人生でありたい(by湯川秀樹)の言葉のように、傷寒論や類聚方広義、勿誤薬室方函を参考に1日1歩づつ漢方医として成長していきたいと思っています。(実際に患者に処方するにあたっては添付文書を参照され、自らの診断と責任でご処方ください。)

 漢方入門者は、薬味の少ない方剤から使用していくケースが多い。風邪薬では2味の桔梗湯から使用していくケースも多いと思われる。桔梗湯は桔梗と甘草から構成され方意的には甘草湯の咽痛に


桔梗の 去痰 排膿消腫 宣肺止咳


の効果が加わったものとみることができる。桔梗湯は大変いい薬だが桔梗の含有量が2gと少なく化膿に対しては薬効が劣る。桔梗の排膿作用を前面に出したエキス製剤としては排膿散及湯がある。排膿散及湯は方意として、枳実芍薬散(金匱要略に廱膿を主るとの記載あり。)に桔梗の薬能が加わったものとみることができ桔梗含有量も4gと多く、化膿が強い扁桃炎に対しては桔梗湯より効果が期待できる。もちろん石膏が必要な場合もあり、逆に附子が必要な場合もあり、全部が桔梗で対応できるわけではない。桔梗を含む方剤としては、清上防風湯、参蘇飲、防風通聖散などがある。このうち清上防風湯は現在ニキビの薬という事になっているがもともとは扁桃炎に対して創成された薬である。普段あまり注目される生薬ではないが、桔梗が含まれる方剤をそのような目で見ると新しい気づきがあるかもしれない。


参考文献 Dr浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著 羊土社

       金匱要略訳注 家本誠一著 緑書房


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