(新日本プロレス東京ドーム大会ペイパービュー観戦記の続きです)
⑥IWGP Jr.ヘビー級タイトル戦
プリンス・デヴィットvs飯伏幸太
煽りVのBGMは「INTO THE LIGHT」。これだけでもワクワクする!
ついにこの日が来た!
飯伏幸太が東京ドームでメジャーのシングル王座に挑む日が来た!
リングインした飯伏は嬉しそうな表情。若干、体を絞ったように見える。
握手で始まった試合の序盤はグランドの攻防。タイトルマッチらしいじっくりした立ち上がり。
中盤からは打撃と立体的な動きで一進一退。
トペコンヒーロの途中に空中で姿勢を制御して飛距離をコントロールするデヴィット。
物凄い距離を跳んだ飯伏のバミューダトライアングル。
会場の大きなどよめきが伝わってくる。
鋭い打撃と技の読み合い。
This is awesome!!
そんな言葉だけじゃ物足りない!
文句なしの素晴らしい試合でした!
見ていたこちらが、久しぶりに負けた悔しさで涙が滲んだ。
飯伏幸太がこれほど感情移入出来る選手に成長していた喜び。ともすれば破天荒にもなってしまう飯伏幸太を受け止めたデヴィットの懐の深さ。このカードを東京ドームで組んだ新日本プロレスの器のデカさに感謝感激、感極まりました。
しかしいつの日か、いや年内にも、飯伏幸太にあのベルトを巻いてほしいと、あらためて思う一戦でした。
⑦後藤&岡田vs杉浦&高山
この試合のポイントは凱旋試合となる岡田かずちか。
プッシュされているのはよくわかる。しかし、個人的にはどうしても心に響いてこない選手。その岡田が、はたしてどこまで成長したのか。いや、どこまで変わったのかに注目せざるをえないカード。
でも、残念ながらこの日の岡田からは残念ながら期待を上回るものが感じられなかった。
まず入場。後藤とのチームとしてのカラーを意識したのかコスチュームが「和」を意識したもの。しかしこれだと岡田は後藤の子分みたいに映る。
ゴング前にドロップキックを浴びせる奇襲でスタート。威勢の良さは買えるが顔付きの弱さは相変わらず。
戦前、誰かがこの試合を“谷津嘉章、日本デビュー戦の再現か”と称していたが後藤洋央紀はアントニオ猪木になれやしないし、岡田かずちかには谷津嘉章ほどの大物さを感じない。
杉浦&高山は両者共に名前も実力も抜きん出た存在。その杉浦&高山の表情からは余裕を消すことは出来ず。
最後は岡田が完璧なエベレスト・ジャーマンに散る。
健闘したんだろうが、期待以上を感じず。
後藤には岡田を暴れさせようという意図があったのか、自身が大暴れという場面は見られず。後藤って、そんなに余裕かましていい立場だろうか?
蛇足ですが岡田はリングネームを変えるべき。選挙戦に出るんじゃないんだから、いくらなんでも平仮名じゃあ強そうに見えない。
⑧TNA世界ヘビー級タイトル戦
王者)ジェフ・ハーディーvs内藤哲也
内藤の“スターダスト・ジーニアス”ってキャッチコピーはどうなんだろう? 直訳すると“星屑の天才”でいいのか? なんかビミョー…。
ファン、マスコミの間では随分評価の高い内藤だが、個人的にはどうしてもあのクネクネと芯の無い動きや言葉が生理的にダメだ。
今日も内藤はTシャツで闘う。そんなにそのギミックが好きなのか? オレには技術や試合の自信の無さをTシャツで覆い隠してごまかしているようにしか思えない。しかもTシャツのデザインがカッコ良くないし体が小さく見える。
変則的なジェフのファイト。一見、次々と得意技を繰り出す内藤が攻め込んで有利に見えるが、試合のペースはジェフのもの。
内藤にしてみれば格の差だけで試合をされた、暖簾に腕押しみたいに負けた気がしない感じだったのではないだろうか?
それにしても実況アナの技の呼び間違いが気になって仕方が無かった。ジェフのことは予習していたみたいだけど内藤のことは十分に復習してなかったか?
⑨中邑真輔vs潮崎豪
まるでクレーマーのように潮崎に対して苦言を呈しつづける中邑。
もちろんその言葉の向こうには潮崎への不満だけではなく、期待感に起因する潮崎の本格的発動を促すものでもあるのだろう。
しかし試合となれば相手が誰であっても中邑の闘いは変わらない。パワーあふれる重たい攻めを続ける潮崎に対し殺気みなぎる一発を狙い続ける。
どちらが勝ってもおかしくない展開を制したのは中邑のボマイェ。
潮崎のラリアットにはない必殺技としての信頼感が見えた。
⑩真壁刀義vs田中将斗
昨年11月、田中による机へのブレーンバスターで首を負傷した真壁。その因縁にケリをつける一戦。
予想通り、チェーン、竹刀、机が使われる荒れ模様の試合。
コングアップ? 真壁がハルクアップのようなムーブからの反撃を見せる。
木っ端みじんになったテーブルに真壁と田中の気概を見た。WWEで使われるアメリカのと違って、日本のテーブルってめちゃめちゃ硬いんスよね。
新日本は田中将斗が欲しいんだろうなあ。だが田中将斗は決してメジャー団体所属にはならないのではないだろうか。
⑪IWGPヘビー級選手権
小島聡vs棚橋弘至
新日本プロレスが、あの武藤のときのように外敵王者天国を許してしまうのか?
新日本を背負う棚橋か。フリーとして周りは敵だらけの状況に生きる小島か。
背負う者と、守ってくれる組織が無い者との闘い。
両者ともに武藤敬司の遺伝子を自ら取り込み、そしてまた武藤敬司とは歩みを別とした歴史を持つ男。
かつては元気の良さ、がむしゃらさばかりが目立った小島が気付けばいつの間にかベテランらしい闘いぶりを見せる選手になっていた。
棚橋も既にキャリアの差を感じさせない試合運びが出来る。
メインに相応しい試合だった。
この試合最大の異変は小島が新日本マット再登場以来封印していた「いっちゃうぞバカヤロー!」を解禁したこと。
あれは何を意味するのだろう?
今後の路線変更を予告したのか、我慢しきれず言ったのか、それとも単なる気まぐれか?
いずれにせよ敗れて王座陥落したものの、あの一言でまた小島の今後の動きが気になることになった。ただの勘だけど、まさかこれで新日本マットから消えるとは思えない。
例えば天山との関係はどうなるのか? 同世代の永田や中西と、このまま何も無く終わらせるのか?
昨年のG1に小島が現れるまでは棚橋、中邑、真壁、後藤といった世代がシングル王座戦線の常連だった。
しかしこの小島や前編で述べた永田、天山が絡んでくることでIWGPをめぐる闘いに厚みが増す。かつて第三世代と呼ばれた彼らの動向が、今年の新日本マットの鍵を握るかもしれない。
それにしてもあのIWGPベルトは棚橋に良く似合う。
ベルトがあるべき所に戻ってきた。そんな安堵感でエンディングを迎えられた。
やっぱりビッグマッチはハッピーエンドがいい。
以上。全文お読みいただいた皆様、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。