心臓をいたわる(4)歯周病菌でも心疾患に | 横山歯科医院

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[心臓をいたわる(4) 歯周病菌でも心疾患に]

(読売新聞 2009年3月14日)


中高年が歯を失う一番の原因は歯周病だ。
歯と歯茎の間にたまった歯周病菌が毒素を出し、歯茎の腫れ、歯を支える骨の
破壊を引き起こし、最後は歯が抜けてしまう。

この歯周病菌が実は心臓病まで引き起こす可能性がある。
米国の研究では、歯周病がある人は、ない人に比べ、心筋梗塞や狭心症などの
「虚血性心疾患」を発症する危険性が1.2~1.5倍になることが分かった。


東京医科歯科大外科・血管外科講師の井上芳徳さんによると、次のような
仕組みだ。
歯周病菌は血液の流れに乗って、心筋に酸素などを送る冠動脈に届く。
菌は血管壁に潜り込んで、炎症を引き起こす。
硬く変化した血管壁が破れると、たまっていた脂肪分が血管内に流出し、
血液の塊ができて心筋梗塞などを引き起こす。

歯の病気が心臓にまで及ぶとは何とも怖い話だが、歯周病を防げば心臓病に
なる危険度は低下する。
井上さんは「歯肉が赤くなったり、腫れたりしていないか、毎日、鏡を見て、
チェックを」と注意を促す。


怖い話にはまだ続きがある。
心臓に悪さをするのは歯周病菌だけではないのだ。
米国の研究者が、
  (1)肺炎の原因となるサイトメガロウイルス
  (2)同じく肺炎を起こすクラミジア
  (3)胃炎などを起こすピロリ菌
  (4)口唇ヘルペスなどを起こす単純ヘルペスウイルス1型
  (5)A型肝炎ウイルス
の5病原体の感染と、虚血性心疾患の発症率の関係を調べた。
すると、感染が0~1種類の場合の発症率を1とすると、2~3種類なら
約2倍、4~5種類なら約4倍という結果が出た。


心臓はこのように様々な脅威にさらされながら働き続ける。
そんな心臓に感謝し、いたわってあげましょう。

(坂上博)


http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20090316-OYT8T00420.htm