帯状疱疹が脳卒中リスクを増大させる | 横山歯科医院

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[帯状疱疹が脳卒中リスクを増大させる]

(HealthDay News 2009年10月8日)


帯状疱疹(帯状ヘルペス)に罹患した成人は脳卒中リスクが高く、特に眼の
周辺に発症した場合は注意が必要であることが報告された。

帯状疱疹と脳卒中リスクとの関連はこれまでにも報告されていたが、全国
規模の集団を対象とする研究は今回の研究が初めてであると、筆頭著者である
台湾、台北医学大学Taipei Medical University病院のJiunn-Horng Kang
博士は述べている。
この知見は、医学誌「Stroke(脳卒中)」オンライン版に10月8日掲載
された。


帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus)によって生じる
痛みのある発疹。
このウイルスは水痘を引き起こすが、水痘が治癒した後も体内に残り、
再活性化して帯状疱疹の原因となる。


Kang氏らは、1997~2001年に帯状疱疹の治療を受けた台湾の成人7,760人の
データを検討。
治療から1年以内に133人(1.7%)が脳卒中を発症したのに対し、帯状疱疹の
治療を受けていない対照群2万3,280人での発症率は1.3%(306人)で
あった。
データ分析の結果、帯状疱疹群では1年以内の脳卒中発症率が31%高いことが
判明。

眼やその周辺に発疹が出た場合は脳卒中の発症率が劇的に高く、対照群の
4.3倍であった。

脳卒中には血栓により脳動脈が閉塞される虚血性脳卒中と、血管の破裂による
出血性脳卒中があるが、帯状疱疹群の虚血性脳卒中は31%高く、出血性
脳卒中は2.79倍高かった。


帯状疱疹ウイルスにより脳への血管が閉塞または破裂する血管損傷が誘発
されることにより脳卒中が発生すると考えられると、Kang氏は述べている。


帯状疱疹による脳卒中リスクを軽減する方法はわかっていない。
「今後の研究では、早期に抗ウイルス治療を実施すれば脳卒中リスクを軽減
できるのかどうかに焦点をあてるとともに、帯状疱疹に罹患した患者には
脳卒中リスクについて知ってもらい、高血圧、脂質異常症および糖尿病などの
危険因子(リスクファクター)の管理を強化する必要がある」とKang氏は
いう。


帯状疱疹は通常、身体の片側に発疹が現れ、痛み、痒みおよびしびれ感を
伴う。
症状は2~4週間続く。
発症率は年齢とともに上昇し、米国疾病管理予防センター(CDC)は60歳
以上の人にワクチン接種を推奨している。


米サウスカロライナ医科大学教授Daniel Lackland博士は今回の研究に
ついて、「現段階ではまだ多くの臨床的意義は認められないが、帯状疱疹
患者を治療する医師は、患者に対して従来の脳卒中危険因子の重要性を
強調し、リスクがやや高いためより注意が必要であることを患者に知らせる
必要がある」と述べている。


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