性器ヘルペスは休眠状態にならない | 横山歯科医院

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[性器ヘルペスは休眠状態にならない]

(HealthDay News 2009年11月18日)


性器ヘルペス(疱疹)は性器病変を起こす性感染症(STD)であるが、真の
休眠状態にはならず、突発的な発症時でなくともウイルスが生殖管にわずかに
排出されていることが、新しい研究によって示唆された。
持続的に排出されるごく少量のウイルスでも他人に感染するかどうかは特に
述べられていないが、この知見によって同疾患のライフサイクルに対する
科学者らの見方が変わる可能性があるという。


ヘルペスウイルスは、休眠期には脊髄周辺のニューロン(神経細胞)に潜み、
時折ニューロンを伝わって生殖管へ達し、皮膚細胞に感染し病変を引き
起こす。


米国では約4,500万人、つまり12歳以上の5人に1人が性器ヘルペス
ウイルスに感染しているが、病変がまったくないか、病変に気づかないために
多くの人が感染に気づいていない。
患者には通常、発症時の性交を避け、症状がなくとも感染予防のため
コンドームの使用が勧められる。


米ワシントン大学(シアトル)のJoshua Schiffer博士らによる今回の研究は、
性器病変だけでなく単純疱疹や吹き出物を引き起こす単純ヘルペスウイルス
2型(HSV-2)について検討したもの。

同氏は、今回の知見が「口唇ヘルペス」の原因となる1型(HSV-1)にも
当てはまると考えている。


研究では過去の2件の研究データを使用。
最初の研究は発症時に毎日、病変が消失するまで性器のスワブを採取、
2つ目の研究は1日4回、60日間、無症状であっても採取したものであった。
データを数学的モデルにあてはめ排出率を調べた結果、85%の排出
エピソードは無症候性か、病変を起こさなかった。
持続時間は、約60%が12時間未満であった。


Schiffer氏は「休眠期のウイルスはほとんど不活性であるというのが定説で
あるが、われわれのモデルは、ウイルスが持続的にニューロンから放出されて
いることを示唆している」と述べ、すべてではないが発症の多くはアシクロ
ビルやバラシクロビル、ファムシクロビル(※日本での適応症は帯状疱疹の
み)など入手可能な抗ウイルス薬によって制御できるという。


米シンシナティ小児病院メディカルセンター(オハイオ州)感染症部門の
Nancy Sawtell氏は「この研究は研究の新しい道を開くものであるが、
ウイルスDNAが低レベルであっても他人に感染すると示唆するのは時期尚早で
ある。ウイルスDNAの存在は感染を意味するが、感染粒子を必ずしもそこに
保持しているとは限らない。また、今回の研究ではニューロンそのものが検討
されておらず、ウイルスDNAが体内の他の部位から由来した可能性もある」と
述べている。


研究結果は、医学誌「サイエンス・トランスレーショナル(研究室での基礎
研究成果を実際の臨床の場に応用する過程]医療)」11月18日号に掲載
された。


http://www.healthdayjapan.com/