【罠リク】Reservation mark(24) | 自家中毒

自家中毒

こんにちは
当ブログは挨拶を1年半あまり忘れる人間による妄想ブログです
(二次創作を含みます 作者さま・出版社さまにはかかわっていたらとても書けないようなブツが並びます)

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 同日、夜(←俳優部主任が持てる力の100%で都合しました)
 協力者から指定された時間よりも40分前。

 ラブミー部の部室にて、その称号にふさわしい人物が頭を垂れていた。
 まさに、愛を乞う人物が。


「社さん、俺に女性の口説き方を教えてください」

 その名(仮)を、敦賀蓮という。

 トップクラスの実力を持つ俳優であり、容姿端麗な人間の集まる芸能界においても抜きんでた美形。
 それにもかかわらず、無遅刻・スキャンダルゼロという身綺麗さ。

 過ぎるほどに完璧。
 世間がそう評価して当然の男である。


「………お前に俺が教えられることなんか、何ひとつないぞ」

 疲れが前面に出た声でそのマネージャーは応じた。
(※一刻も早くと気持ちがはやる担当俳優にありとあらゆる無茶をさせられました)


「俺が自覚するよりも先に、俺の気持ちに気づいてたじゃないですか」

「あれは、お前がわかりやすすぎる反応をしてたからだって」

「それでも、俺よりは女心に詳しいはずでしょう?」

「だから…異性に対する日常動作が、朝のニュース内での天気予報の割合くらい頻繁に口説きになるお前に、まっとうに生きてきた俺が言えることなんか何ひとつないよ」
(※常に付き従う彼としては、0号さんが左上に出るテロップくらい頻繁に異性を魅了して生きていることを見知っています)


 蓮は改めて言った。

「すみませんが…いつものからかいを聴いている猶予はないんです キョーコちゃんが来る前に女心というものを教えてください」

 それはもう真摯に。
 そこには一歩間違えれば脅迫になりかねない気迫がこもっていた。


「お、お前…! 本気でわかってないのか…!!」←ピッシャーンと落雷のごとき衝撃

「…悪かったですね どうせ、20年生きてようやく恋を知った男ですよ」

 顔を赤らめてすねる敦賀蓮という視覚的インパクトもあいまって、社は全身をわなわなと震えさせるほどの驚愕を味わった。


「これを逃したら、再びここまでのチャンスが巡ってくるまでに何年かかるかわかったものじゃないんです」←真顔

「そんなことないだろ キョーコちゃん、明らかにお前のこと特別に好きになってるじゃないか」

 その切迫ぶりを、社は笑い飛ばす一歩手前の軽さであしらった。


「気のせいならいいんですが……舞い上がって、うっかり、どうにかしたいとかそのあたりの本音を包み隠さず出してしまっていたんです」

「ああ、うん…それは言わなくてもわかる」←門番役がてら見物してた人

「そりゃ、天然記念物的な純情乙女が、軽蔑のひとつやふたつしてもおかしくないですよね?」

「……違うとは言い切れないな」←つい口に出しちゃった

「不破に対することからして、あの娘、一度は想ってくれたとしても、下手なことをしでかしたらゼロどころかマイナスになるまで嫌うんじゃないですかね」

「………!」←ザオッと血の気が引いた瞬間


 青ざめる社になおも蓮の最悪の想像が語られる。

「朝のコールがなかったんです…それとなくデートに誘ってみてもかわされますし……本当に「好き」と言われることに慣れられただけならまだいいですけど……」

 呟くような一言はどんどん声量を失ってゆく。嫌われているかもしれないと口にするのも、20年生きてようやく恋を知った男(自称)にはためらわれた。


「…だから、異性の口説きかたを教えてくれませんか?」←仔犬の瞳

「い、いや…ごめん 本当に俺には……」

 現状が深刻な事態に陥っている可能性があると理解したところで、女性と積極的な交際をしてきたわけではない青年にはそう返す以外になかった。


 数10秒の沈黙がおちた。



「貴島君…!」


 ポケットから携帯を出そうとするのを、社はマネジメントの観点から止めにかかる。

「うわああ! 蓮!落ち着け! そんなアルコールが入ろうものなら即うかつポロリ君になりそうなヤツに、色男イメージが台無しになるような素性を洩らすんじゃない!!」
(↑貴島氏が聞いていたら、秘密の話まで漏らすほど口軽くないよと抗議しそうな暴言)


 抱かれたい男No.1などという破廉恥な称号を持つ青年は、いっそ清々しいまでに言い放つ。

「そう思われるのは、キョーコちゃんと、色男の役のときだけでかまいません」

「よくねええええ!
 お前は、こういう普通のやつが言ったら寒いような言動も様になる男なんだよ!実際はとんでもない恋愛音痴だろうが、そんなイメージは今まで築き上げてきた敦賀蓮に真っ向から衝突する!!」


 必死の形相で制止するマネージャーに、蓮は非常に申し訳なさそうな表情をして謝罪した。

「すみません それでも、俺は彼女の恋人になりたいんです」


 相対する青年の決意は固い。
 電化製品10秒クラッシュ体質のため携帯を奪い取るわけにもゆかない。
(※大好きコールが来る携帯を破壊すると、同時に担当俳優の何かが破壊される恐れがあります)

「いいか、よく聞け!蓮!!
 そもそもがだ! 貴島は女心に詳しいだろうけど、対キョーコちゃんにおける参考にはまずならない!!
 おまえに普通の女の子のようなめろめろ反応するようになったのに、同時に怯えまくる理由なんて、同性で親友の琴南さんですらわかってないと思うぞ!」

 社は、そのがたいの良い腕にしがみつきながら、必死でプレイボーイ俳優へのヘルプテレフォンの無意味さを説いた。


「この際、可能性が低かろうが打てる手(※かつ、意中の人の好感度を下げる恐れのないもの)はすべて打ちます」

 しかし、蓮の決意は1ミリも揺らがない。


「やめろ! 無理だ!貴島にも100%無理!!」

「待っているばかりでは真実の愛は手に入らない…… 父にそう教わりました!」

「待つだけじゃだめなのは確かだよ! キョーコちゃんだしな
 でも、その言葉の意味はなりふりかまわず突進しろって意味じゃない!!」


 全体重をかけて腕を下ろさせようとする180センチあまりの成人男性の抵抗もものともせず、20歳そこそことは思えない外見の男(←恋愛経験値は実年齢以下)はついに電話帳の画面を開く。


 それとほぼ同時にカチャリと扉が開いた。
 そして、その扉を開いた少女は、開口一番に爆弾を落とす。

「敦賀さん…私は、あなたに恋をしています…」

 泣き出しそうな表情ではあったが、その瞳にこもるのは明らかに恋情である。


「ええええ!!」

 その言葉に真っ先にリアクションをしたのは、言われた当人ではなかった。


(な、なんで、急に? 全然、わからない!)

 あまりもの急展開に、社はこれで危機は回避されたと安堵するよりも先に驚きのるつぼへと落とされたのだった。



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