【罠リク】Reservation mark(22) | 自家中毒

自家中毒

こんにちは
当ブログは挨拶を1年半あまり忘れる人間による妄想ブログです
(二次創作を含みます 作者さま・出版社さまにはかかわっていたらとても書けないようなブツが並びます)

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誤字どころでなく、思考回路が残念なため、読み返すと内容的におかしいだろってミスに気がつくことがよくあります(´Д`;)
大鍋を小鍋にしてしまったりです(もう思考回路が残念なレベル)
このネタでもそうで、地味に修正かけました…orz

誰か…こういう脳味噌を矯正する方法を教えてください(´・ω・`;)
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 扉の前の二人が甘い砂を吐きまくっているなか、その原因である二人は攻防を続けている。
 鬼気迫る表情(しばしば、沸騰)と甘さ極まる表情という不調和な戦況がかれこれ数分強。


「だって…! 敦賀さん、嘉月の演技テストのときにはもう恋をしてたんですよね?」

「うん 誰かに恋をするっていうのがどういうことかわかったから嘉月が掴めたんだ」


 監視役の少女の動きが止まった。
(↑甘い砂排出、および、俳優部主任を呼びに行こうとする足)

「マジ…ですか?」←敬語が崩壊するほどの驚愕


 それとは対照的に、門番役の青年は微苦笑を浮かべている。

「そうなんだよ あんな百戦錬磨な顔して恋愛初心者なんだ だから、目も当てられないくらいに暴走しないかぎりは見守ってやってくれる?」



 そんなやりとりなど意識に入らない状態で、なおも続けられていく攻防。

「そのころから心移りしてないんですよね?」

「うん もっと愛おしくてたまらないくらいだよ」


 無意識に撫でようと近づいてくる手を、キョーコは必死で止める。

「ヒヤァ! 近い!近いですっ! ←沸騰なう
 だ、だったら、それが私ってどう考えてもおかしいです!!」

「え? どこが?」

「だって、男の人の部屋でお風呂を借りるなんてはしたないという年頃の乙女として当然のためらいに、アメリカン蔑みが返ってきたり!
 社さんに頼まれて夕食をつくりに行ったら、嘘つき毒吐きスマイルで対応されたり!
 そういう意味で好かれているとは思えないことばかりですよ!!」
(※後ろでは、奏江さんが、無防備にもほどがある親友に頭をかかえています)


「ああ…それ、自覚する前の話だからね」

 キョーコは、その言葉のなかにある含みを察し良く探り当てる。
「自覚?」

(なんだか…まるで、それ以前に好きだったみたいな言い方…)←顔に出ている声


「そうだね たぶん、その前から好きだったと思うよ」

 それは、はたから聞いているものを赤面させるほどの甘い声だった。これまでも砂糖を吐くほど甘かったがさらに底があったのかと驚かせるほどだ。それはもう、糖蜜がけの氷砂糖をのまされた気分である。


「…貴方は、好きな人に、嫌味を言いまくったり、減点スタンプを押しまくったりするんですか?」←じと目

 しかし、少女はそれには惑わされることなく、代マネ以前の思い出を浮かべて、ますます疑念を深めた。


 予想どおりの反応を返してくる愛しい人にクスリと笑みを漏らしながら、蓮はセリフを続ける。

「もっと前 君が京都にいたころの話だよ」

「騙されませんよ! そこまで親しくなってたら、絶対記憶に残ってるはずです! 私、ずっと友達いなかったんですから! ←なんとも悲しい根拠
 仮に敦賀さんのお姿が整形によるものだとしても、心当たりも浮かばないなんてはずありません!」


 そんな自信満々の言い分に、キョーコにとっては思いもよらぬ返しがくる。

「うん 覚えてくれているね」

「え…いつ会ったっていうんですか?」

「わからない?」


 キョーコは真剣に記憶を浚いだした。
 しかし、まったく浮かんでこない。

 なぜなら、神の寵児とも思えるほどの存在であろうが、彼女にとって蓮は人間なのだ。

 コーンが妖精だと信じて疑わないために、病的メルヘン少女にはその金髪碧眼の少年と目の前の青年をイコールで結びつけることができない。

 実は人間であるという発想どころか、人間の姿で都会に忍んできているという発想すら浮かんでこなかった。
(※キョーコさんにとって、妖精は自然のなかに生息するものです)


 そして、記憶を浚えば当然に出てくる存在へと行き着く。

(あのころ遊んだことがあるっていったら、あのバカくらい…!)


 そして、それに付随する怨めしいエピソードも。

(スポーツをやっても、ゲームをやっても、アイツは自分のミスも私のせいにして……)


「キョーコちゃん?」

 そのピリッとした空気を察知して、キョーコはすくみあがった。

 目の前にあるのはおなじみのキュラキュラとした笑顔だった。


 当然、キョーコに過去を思い出させれば、尚のことが出てくるというのも、蓮の計算のうちである。
 ただし、本気で気に入らないと思っているので、その苛立ちが完全に演技とも言い難いのだ。

「俺のことを思い出してほしくて秘密にしてたことを話したのに、アイツのことを思うばかりなんて、ひどくない?」←8割以上本気で主張


「す、すみません」

 その心の狭い主張を信じたということではなく、なかなかの迫力で凄まれたことに怯えながらの謝罪であった。


「まあいいよ キョーコちゃんが俺に大好きって言ってくれたら許してあげる」←ハイパー似非紳士スマイル


(コイツ、それが狙いか!)

 グワッと口を開いて声にならないツッコミを叫んだ社。



「な、なんで…」

 少女が呟くように主張したとおり、明らかにその求刑は理不尽かつ非論理的である。
 しかし、こういう駈け引きでは往々にして論理よりも押しの強さがモノを言う。


 蓮は目的を達成するべくさらなる口撃をしかける。

「俺が君に恋してるっていうのが嘘だと思うんだったら、言えるはずだよね?」

「うっ!」


 論理をも織り交ぜて、獲物をとどめとばかりに追い込む。

「だって、そう思うんだったら、これも君の言う"ふがいない後輩に対する試練"になるはずだろう?」

「ううっ…!」

 まさに、ヤクザか何かの手口である。


 担当俳優の計算高さに、社がこう思ったのも無理はないだろう。

(どれだけ脅迫じみた説得に手慣れてるんだ? コイツ、やっぱり昔は手のつけられない荒くれ者だったな)


「ほら 女優京子の役を演じてると思って」

 些細な(←しょうもないとも言う)幸福を求めて邁進する青年。


(蓮…そんなにキョーコちゃんに「大好き」って言わせたいのか?)

 社は、色男の称号をほしいままにしている彼に、呆れや驚愕を通り越して同情の念すら芽生えてきた。


(バカだわ…… こんなことに、どれだけ必死なのよ? 確かに、この構いかたは小学生並みだわ)

 一方で、奏江はうじ虫でも見るような蔑みの視線を向けている。



「だ…だいすき、です……」

 キョーコはついに説得(9割以上脅迫)に応じた。

 言うまでもなく、女優京子はかけらもない。
 震える声はろうそくも震えないのではないかというほど小さく、離れたところにいる二人の耳には届かなかった。


 そんな彼らが少女の投降を悟ったのは、頬どころか耳まで真っ赤な様子からではなかった。


「うん 大好きだよ」

 それを求めた青年のリアクション。

 具体的に言えば、ともすれば濃密すぎて感覚に異常を起こしそうな色香を放つ声、および、柔らかな手つきでありつつも決して腕から逃さないように閉じこめる抱擁、なおかつ、頭部への軽い接触だろうが何度も降らせる口づけだった。



「モーー! いい年こいた大人が、園児並みのことしてんじゃないわよ!!」
(↑「大好き」を言い合ってギューとスリスリをするという母子のスキンシップとしてよくある行為)

「アイツからしてみれば片思いのすえにようやく得られた些細な幸福なんだ! だから、許してあげて!」

 目撃者となった彼らが、廊下に響くような大声をあげたのも無理はない。


 しかし、戦況に変化は起こらなかった。

 なぜならば。


「これも特訓のうちだよ」

 キュラリと言い放つ青年も。


「無理です! 一気にハードルがあがりすぎです!!」←詐欺被害者

 こぼれ落ちることもかなわない腕の中で足掻く少女も。


 そんな声も聞こえないほど二人の世界に入りこんでいたのである。
(※正確に言えば、彼のほうは聞こえているけれども無視しています)


 結局、その攻防は、殺人的に忙しい人気俳優が、次のスケジュールをこなす時間になる10分弱続いた。



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