【罠リク】Reservation mark(14) | 自家中毒

自家中毒

こんにちは
当ブログは挨拶を1年半あまり忘れる人間による妄想ブログです
(二次創作を含みます 作者さま・出版社さまにはかかわっていたらとても書けないようなブツが並びます)

《これまでの回                   10  11  12  13



最大の馬の骨、登場の巻
-------------------------------------------


バババッ←条件反射での怨キョ発生
キュポン←収納音


 その人物の姿を目にとめて般若のように顔をしかめた数秒後。キョーコは踵を返して再び歩き出した。

 無視よ、無視!
 下手に接触して、地雷を踏みつけることないわ!
 待ち合わせ場所を変えてほしいって、連絡しなくちゃだめね。どこにすればいいのかしら?


 現在待ち合わせている相手に、先ほど目にした人物が一因と思われる不機嫌ぶりを、カイン兄さん寄りの表現でぶつけられたことは記憶に新しい。
(※彼女は、役柄寄りにキレられたから、あの行動だと整理しています)

 しかも、ここは蓮と偶然に顔を合わせたのと同じ場所(=TBM駐車場)である。


 大魔王、怖い男…いずれにせよ、恐怖満載の面を全開にした蓮に弁解するのはキョーコにとって心臓がいくつあっても足りない。


(まだ、兄さん流の和解にならないだけマシだけど、そっちのほうがむしろ危な…いいえ!それ以前に無駄に落涙ものの恐怖体験を味わうのはごめんだわ!)

 自覚してきているがゆえに封じ込めるのが、恋心。

 そして、下手に心を開いた様子を見せられたら危険という仮定の前提となる、相当に機嫌を損ねられても許してもらえるという一種の信頼ができていることは自覚していない。
(※敦賀蓮は、誰でも心から謝罪すれば許す人という認識ではありますが)


 少女は、これからの段取りを考えることに夢中で、背後から駆け寄ってくる足音にも気付かなかった。

「痛っ…!」

 後ろに倒れかねない勢いで手首を掴まれ、キョーコは苦痛の声をあげた。


「待てよ!!」

「なにすんのよ! 役者は体がし――」

 役者は体が資本なのよ!転倒して頭打ったらどうしてくれるのよ?!!と文句を言おうとしたのだが、思わず言葉が止まった。

 もげるのではないかというほどの力でを手首を掴んでいる男の表情は真顔で、その瞳には切迫した色があった。


 気圧されて、それを振り切るように言い返そうという思考がキョーコに戻る。その前に、尚が口を開いた。

「…やっぱり、お前はどうしようもない馬鹿女だよな」

 言葉自体はからかうようなものだが、その声は怒気を孕んでいる。


「何ですってえ?!どうして、私が、アンタに馬鹿を再確認したようなことを言われなきゃなんないのよ!」

 しかし、キョーコはその異変に心を向けることなく、言葉のみを捉えて今までどおりに噛みついた。
(↑怨キョも大発生中)


「この業界に入った目標も忘れて、すっかり色ボケてやがるのをどうしようもない馬鹿扱いして何が悪いっつうんだ」

「はあ!?私のどこが色ボケてるって言うのよ?」


「あの野郎と一緒に帰って、弁当まで作ってんだろ? トップクラスの役者になってみせるなんて大口叩いて、数ヶ月も経たないうちにこのザマかよ」

 そこには侮蔑と憤怒が燃えている。
(↑あと、その他の心情として、焦燥・後悔などが渦巻いています)


 だが、キョーコはそんな男心など斟酌しない。こうして不当に絡まれている原因を理解したとたん、純粋なる侮蔑と憤怒を込めて言い放つ。

「馬鹿はアンタじゃない 1年も長くこの業界にいて、慣例も知らないの?
 まあ、運転できる年齢になっても、自分より立場が下の人間には情けのカケラも持たない自己中の権化にそんな役が回ってくる機会なんて、これからも一生ないでしょうけど!
(※彼女はろくに面識もない先輩タレント(♀)の嘘を信じこんで大人しく蓮に送られています)

 そんな勘違いをするアンタのほうがよっぽど色ボケてるわ 医者なり呪術師なりに、愛だの恋だのに毒されかけてる脳味噌をそのろくでもない性格ごと治してもらったら?」
(↑色ボケてはいませんが、おおいにボケている騙されやすい恋愛拒否症少女)


 その発言に最悪の事態(彼にとっての)になっていないことを理解し、いつもの小馬鹿にした様子で言葉を返す。
(※彼は、TBMでの仕事のときには駐車場で待つ習慣ができるほどに気が気ではありませんでした)


 まずは、かつて少女に自分がしてもらっていたことを、他の男にさせないために。

「だからって、お前なんかの弁当をアレに押しつけるワケがあんのか?」

「慣例って言っても、忙しいなか送ってもらってるのよ? お礼をするのは人として当然じゃない」


「あいかわらず、人の迷惑考えねえヤツだな 食うもんはロケ先で出されんだろ?」

「一方的な押しつけなんかじゃないわよ 送るお礼に夕食を作ってほしいって言われるくらい私の料理を気に入ってくれてるんだから」
(↑気に入っているのは、料理というよりも彼女が自分のために食事を作ってくれているという状況のほうです)

 どことなく、誇らしげに答えるキョーコ。


 それに、尚は苛立ちを覚えた。

「それで、おだてられていい気になって、男の家にホイホイあがりこんで、家政婦のまねごとしてんのか」

(馬鹿じゃねえのか!いや、コイツはそういう限度を知らねえ馬鹿だった!
 んなこと続けてたら、あの野郎にペロリと喰われんだろうが!!)


 心を開いたものには異性であろうが、あまりにも無防備に慕う少女。
(↑ですが、そんな馬鹿になった最たる原因は、形ばかりの同居生活で貢がせて利用したあなたです)


「本当に変わらねえな、お前は」

 そこに皮肉と悪意を込めて、少年は自分の元にいた少女を囲いこもうとする。


「惚れた男だろうが、目標とする先輩だろうが、結局、同じように平伏すんだな
 そのうち、アレに気に入られるのに夢中になって、仕事のことなんか放り出すんだろ?」

 油断ならない男に、少女が必要以上に近づかなくなるように予防線を張る。
(※ついでに言えば、敦賀蓮=目標だということを強調していることも予防線です)


「なっ…! そんなこと有り得ないわよ! 芝居は、私が誇れる私になるための大切なものなんだから!!」

「そう言ってられんのもいつまでだろうなあ~ 目標として慕っててもこの有様なんだから、少しでも傾いたりしたら、あっという間に目もあてられねえ馬鹿に逆戻りだな」


 キョーコは、返す言葉に詰まって俯いた。

 その様子に内心でほくそ笑みながら、なおも尚は追い立てる。

「そんな馬鹿になって、俺との賭けに負けたくなかったら、野郎(アレ)と距離を取ったほうが身のためじゃねえか?」←ここが本題


 しかし、それも長くは続かなかった。

 その理由は皆さんもお察しの通りである。接近してくる人物からの光の矢がブスブスと突き刺さったからだ。

 キョーコのギリと噛み締めていた歯が、一瞬でカタカタと音をたてる。


「やあ、最上さん…お待たせ」

 最高輝度の似非紳士スマイルを纏いながら、蓮は普段よりも若干低い声のトーンで話かける。


「こ、こちらこそ、いつも、ありがとう、ございます」

 顔面蒼白、指先カチコチ、発音カタコト。

 静まり返った駐車場へ続く通路。他の人物はゼロ。
(※社さんは車内で待機中、祥子さんもいつものことなので楽屋で待機中)

 緩衝剤など一切期待できない状況に、キョーコはすっかり竦みあがりながら挨拶を返したのだった。



つづきをみる
目次へ
※アメンバー申請をしたい方は、まずコチラ に目を通していただけるようお願い致します。
-------------------------------------------
これ、キョーコさんが騙されまくる話って説明したほうがいい気がしてきました(´Д`;)