残念ながら人がそれを証明する術は現代にはない。
だが俺は必然であると信じたい。
嫌な出会いも、最高の出会いも。
勿論すれ違うだけの出会いも、
ちょこっと、言葉を交わすだけの出会いも―――。
僕達が滞在していた宿には、当たり前だが、僕達以外にも宿泊者がいた。
ちっとも言葉を交わした事がない人もいる。
勿論その中に日本人もいた。
『タイにいる日本人って、結構めんどくさいの多いんだよねー』
ラクダさんが言った言葉だ。
彼はその昔、今よりもまだ少し、無敵ではなかった頃。
今よりもまだ、チャックが全開だった頃。
カオサン通りで見ず知らずの日本人に唐突に話しかけられたらしい。
相手のほうはニヤニヤしながら近づいてきたので、
瞬時に怪しいと感じ、避けたらしいが、
ラクダさんが言うには、絶対騙そうとしてきたんだよ、との事だった。
残念ながら、タイには日本人が日本人を騙すというケースがある。
酷い場合には一緒に食事をしつつも、
隙を見て飲み物に薬物を混入させる堕ちた邦人も存在するという事だった。
そんな事もあり、また邦人の数がカオサンには多すぎた為、
極力コチラから話しかけるというような事はしなかった。宿でも然り。
そんなある日の事である。
その日もまた僕達は宿のロビーで話をしていた。
ラクダさんは今日は酒、やめとくよなんて言いながら、
ぷにょさんの絶妙な勧めに最終的には心折れ、
べろんべろんになっていく。
僕はいつしかその風景がすごく、心地いいと感じるようになっていた。
この人達と再会して、こういう風に話をするのって、おもしろいなあ。
そんな風に思っていた。
しかしながら、楽しいヒトトキにも必然的に終焉の時は訪れる。
午前0時を過ぎたので、
そろそろお開きにしようかという事になったのだ。
日本にいる時もそうであったが、
いつもながらに、こういう瞬間に祭りの後の寂しさを感じる俺。
だがそういう余韻が好きなのも事実だ。
一番最初に気を利かせたぷにょさんが、
飲み終わった全員分のグラスを片付け始めた。
『あ・・・すみません、僕持っていきます。』
そう言った時には既に遅く、
『いいよいいよゆっくりしてて』と、
彼女は迅速に流し台へとそれを運んでいった。
その様子に気づいたリサも、『すみません』と声を発した。
ラクダさんに至っては、既に出来上がっちゃってたので、
コチラのやりとりに気づく筈もない。
残ったテーブルの片づけをする振りをして、ぷにょさんを待とうとした。
そんな時だ。
一人の宿泊客が僕に話しかけてきた。
それは日本人の誰しもが見知らぬ日本人と海外で出会って発するであろう、
ありふれた第一声だった。
『君達、日本人かい?』
続く。
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