(朝日新聞 8月16日)
昨日の新宿にもたくさんの人たちが集まっていた。
繁華街を占拠した「安保法案反対デモ」は新宿の日常と接触していて、その空気感は国会前とはまた違うものがある。あいにくの天気に償却されない、生きた色合いがとても印象的だった。
「憲法守れ!」若者たちが声をあげている。
過去の戦争や原発についての疑問を口にして、変わり者扱いされていた頃の自分を思い出してしまう。「アンダーコントロール」できない複雑な感情で、僕はいっぱいになる。
今日は以前読んだ記事を全文掲載したい。
学生デモ 特攻の無念重ね涙 無職 加藤敦美(京都府 86)
安保法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は、うれしくて涙を流した。体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった。オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。
山口県・防府の通信学校で、特攻機が敵艦に突っ込んでいく時の「突入信号音」を傍受し何度も聞いた。先輩予科練の最後の叫び。人間魚雷の「回天」特攻隊員となった予科練もいた。私もいずれ死ぬ覚悟だった。
天皇を神とする軍国で、貧しい思考力しかないままに、死ねと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず、五体爆裂し肉片となって恨み死にした。16歳、18歳、20歳……。
若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。(朝日新聞「声」 7月19日)
朝日新聞が掲載したこの投稿記事は大きな反響あった。
今日付けの日刊ゲンダイでは、投稿者の加藤さんへのインタビュー記事が掲載されている。
予科練でも死ぬことしか教えられませんでした。上官にこん棒でぶん殴られ、怒鳴られたりして、消耗品のように扱われた。百田尚樹著『永遠の0』のような美化された世界ではない。
実際、練習生隊長からは「天皇や国のためなんかのキレイ事ではない。お前たちは消耗品だ。命令されたら死ねばいいのだ!」と言われました。そして先輩や同輩たちは特攻で死んでいった。
テレビでは連日、中国での「抗日戦争勝利軍事パレード」が垂れ流されている。もちろんこれは官邸の指示、中国の脅威を煽り、安保法案に賛成させるためのプロパガンダだ。
中国の人たちが「抗日」と呼んでいるもの。
僕たち日本人も、自分たちのやり方で「抗日」しなくちゃいけない。その方法が見つかって、きちんと実行できるまで、憲法9条は変えてはならない。
では、この記事を読んだ若者たちの反応は…。
最高責任者は安倍晋三じゃない!
それが1945年8月15日の意味です。
この声は靖国神社まで届くだろう。
<おわり>