秋田県の渓流禁漁となってから1ヶ月が経過しました。
秋田市の市街地でも、街路樹の紅葉が見頃を迎えております。
天気が良いと、遠くからでも太平山および周辺の山々全域が紅く色づいているのが見えます。
昨年までであれば、11/1は形ばかりの雄物川冬季桜鱒遊漁の解禁日。
ということで、11/1の秋田大橋の写真です。
今年度から遊漁期間が変更となりまして、平成26年1月2月の2ヶ月分が冬券5,000円となって、4月以降は未定です。
仮に6月の解禁が春に近づけば、平成27年以降は1月2月は禁漁となって、雄物如月櫻が平成26年で最後となるかもしれません。
雄物川のサクラマス釣りを全国に知らしめた厳冬期の過酷な釣りでしたが、無くなると思うと寂しさを感じます。
渓流禁漁期間の過ごし方ですが、私の場合、遊漁期間の釣行の思い出に耽りながら雄物寒櫻へ備える、という流れで例年を過ごしております。
この"思い出に耽る"という時間を過ごすために重宝にしているのが、様々なメディアで制作・販売しているDVD等の商品、ならびにTV放映されて撮りためておいた映像作品です。
TVで見たい番組が少なくなってきたという事情もあるのですが、就寝前や、休日に家で過ごすときなど、これら何かしかの釣りに関する映像作品を観ている時間が多くなり、最近では、一年を通じて頻繁に観る様になっております。
現在所持している購入したDVD作品は100タイトルを超えており、TV番組を録画した映像も含めると、数えきれません。
多数の様々な作品を観て参りましたので、頻度を重ねるうちに、どうしても種別ごとに内容の対比ができてしまうので、"釣り"という性格上、手法や理論といった側面において、いろいろ 考えさせられるようになりました。
そこで、これらの映像作品についての感想も記しておきたいと考え、本日より「感想録」を始めたいと存じます。
ただし、こうしたことを匿名の形ですることで、対象とした映像を制作をされた方々に失礼があってはならないと考え、個人的に勝手連をさせてもらっているパートナーズの忠さんに了承を頂きまして、パートナーズDVD作品限定と致します。
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この記事を「序章」としたのは、自分が何故に忠さん(佐藤忠雄さん)およびパートナーズの勝手連をしているのかを記しておきたかったからです。
渓流釣りにおいて、ルアー釣りは餌釣りの様に理論が確立されていない様に見受けます。
核心となる道具や釣法のところで"可もなく不可もなく…"とした曖昧な領域が、餌釣りより広いと感じています。
釣り全般が下手な私ですが、餌釣りを経験している者として、ルアー釣りの理論のところで思うところがあります。
"渓魚が釣れる理屈というものは、餌釣りもルアー釣りも同じ"というものです。
この考えの根源は、およそ17年前、餌釣りをしていた時期に、最初に手にした参考書となる「渓流釣り大全~白石勝彦さん著・平成8年2月発行」にあります。
餌釣りの釣法を中心に、ヤマメ・イワナの生態や学術的な情報も詳細に記載されており、伊藤稔さんの適水勢やナチュラルドリフト理論に触れた上で、"フィーダーレーン"いう概念を解説されております。
釣行の際に目にする魚の習性・付き場・行動など、本の内容と全く同じでしたので、自分の釣りにとって、大いに影響を受けた本となりました。
この"フィーダーレーン"という見方をすることが、私がこの後に適水勢やナチュラルドリフト等を再認識することに大いに役立っております。
餌釣りをしていた時期の後半は、私事に時間が割けない形で仕事をしておりましたので、不意に翌日が釣行できそうになっても、餌の確保が容易ではなく、これがストレスとなって、釣りに行かなくなっておりました。
しかし、渓流釣りに行きたいという感覚は常にありました。
そこで、道具のみで釣りができるルアー釣りに興味を持ち、竿が短いのでヤブ漕ぎや枝葉が邪魔にならないことや、草木の覆いの下などを広範囲に攻めることができることなどにメリットを感じて、餌釣りをやめてルアー釣りを始めました。
それからは、釣り場へ向かうまでの時間におけるストレスが無くなり、渓流への釣行回数がとても多くなりました。
そんな中、ルアー釣りの専門誌や映像作品を買うようになりましたが、道具の善し悪しやその判断基準が良くわからないまま、それら専門誌上で展開される記事や広告を参考に、道具を揃えて釣行しておりました。
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ルアー釣りを始めて2年目、雄物如月櫻において、雄物川河口付近で忠さんと逢います。
忠さんから声を掛けてくれたのですが、同じ秋田市に住んでいることや、馬場目川の大会に長年参加しているという共通項がありましたので、すぐに打ち解けることができました。
そして、一ヶ月後には渓流釣りに誘って頂きました。
忠さんの車に同乗させて頂き、釣り場までの移動時間の車中で、ルアー釣りの理論について話を伺うことができたのですが、そこで語られたのは、それまで見てきた専門誌や映像では見聞きしたことのない内容でした。
後に馬場目川の渓流釣り大会で、大勢の餌釣り師達が5~6尾しか釣れなかった状況で、ルアー釣りで参戦して27尾を釣って優勝されます。
一連の著作やパートナーズDVDにおける様々な解説や、教えて頂いた理論が正しいことを、自ら実証された形です。
忠さんは雑誌の編集者として、海釣り・川釣り・湖の釣り、渓流もルアー釣り以外の餌釣り・フライ・テンカラについても、その分野の著名人やメーカーと接してこられた方です。
東北に在りながら全国紙を相手に、釣り全般において新規開拓や新理論を展開して熾烈な競争をされていた話や、伊藤稔さんを始め、現在も活躍中のアングラーへ取材をした話や、取材中に目の当たりにした裏話的な経験談、それまでのパートナーズDVDの内容について作品ごとの主旨とその解説など、様々なお話を伺うことができました。
ここで伺えた話は、自分の経験や餌釣りの頃から考えていたことに照らして、全く理に適う内容でしたので、ルアー釣りに対して感じていたモヤモヤした霧みたいなものが、一回で晴れた心地になりました。
既に数作品のパートナーズDVDは持っていたのですが、この時を境に本格的に視聴するようになりました。
以前にも紹介しましたが、 忠さんは「渓流のルアーハイテク講座」という指南書を平成4年2月に発行されております。
書店に並んでいる頃に餌釣りを始めた私ですが、ルアーは別世界の領域と感じておりましたので、この本の存在を知ったのは、ルアー釣りを始めてからとなります。
これがその本と映像作品のVHSテープですが、20年以上前の商品のため、中古品をオークションで購入するしかなく、揃えるのに時間が掛かりました。
20年前に発売された本と映像作品ですが、現在の渓流ルアー釣りの常識となっていること、例えば、キャストの方法、道具の選び方、視認性の良いラインの活用、天国針およびシングルフックやカーディナルの優位性、等々について、"なぜ、そうあるべきなのか"を徹底的に比較検証を行い、その過程や根拠が解りやすく解説されております。
他の方から伺ったのですが、"渓流ルアー釣りの解説本として日本初となるのではないか"とのことです。
ビデオにおいては、実釣時におけるキャストやその練習方法、リーリング時の釣り人の動作とその時のルアーの泳ぎ方を同時に撮影して二画面表示させた映像など、最近の作品には無い貴重な映像と思います。
ここ最近に発売された購入可能なルアー釣り関連のマニュアル本的な書籍や映像は、ほぼ購入した感じでおるのですが、20年も前に発売されたこの本のように、基本や応用を明快に解説しているものは無いように感じます。
また、忠さんや白石さんに影響を与えた伊藤稔さんの作品も同様に入手しました。
「究極のヤマメ釣り(別冊フィッシング第66号)~昭和60年発行」や「山女魚遊学~平成3年5月発行」、VHSテープで販売された映像作品「ヤマメの目で見る山女魚ビデオ~平成5年6月発行」など、他にも多数の著作があります。
適水勢理論とナチュラルドリフト釣法の検証を、川の読み方や、ヤマメの定位や餌を捕食する瞬間の水中映像を交えて撮影されており、他の本を読んで認識はあったのですが、実物を見て唯々驚きました。
適水勢理論・ナチュラルドリフト釣法・ドラグドリフト釣法・ゼロ釣法・等々、釣種を問わず、現代の渓流釣りの礎と言っても過言では無いと思います。
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釣りとは、魚を釣ることを楽しむ趣味であり娯楽です。
どの様な魚も、簡単には釣れませんので、技術や理論が必要となります。
しかし、技術や理論のみに傾倒していくと、楽しくなくなる様に思います。
ただし、ある程度は技術と理論が備わらないと、対応できる範囲が少なくなって、限られた 条件でしか釣れなくなります。
釣りである以上、釣果が得られないと、楽しくないのです。
これまでの自分の経験では、魚と駆け引きを楽しむためには、どうしても技術や理論が必要となるし、逆にそれが無いと楽しめなくなる、と実感しております。
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ここで、渓流ルアー釣りの理論とは…、技術とは…、の話になるのですが、最近のメディアの傾向はミノー+ファーストテーパーロッド+小刻みトゥイッチングの内容に溢れており、また、雑誌においては、スポンサーであるメーカーの商品および所属アングラーを露骨に絡めた記事がとても多い印象を受けます。
それはそれで現時点の業界環境として、各方面の方々が様々な努力の結果としてのことでしょうから、受け入れなければならないと思うのですが、私見として、どうしても"一辺倒"とか"偏重"と感じるのです。
そんな中、忠さんはパートナーズDVDを制作・販売して今年で10周年となるそうですが、これまで73作品を、全て忠さん独りによる企画・撮影・編集・販売で完遂されております。
忠さんは、釣り業界的にメディアやメーカーに対して柵み(しがらみ)が一切ない独立した存在となると思います。
従って、忠さん自身の人脈やパートナーズから得られた情報を、率直に映像作品にしてこられました。
これまでの作品の概略を列記しますと、
・「渓流のルアーハイテク講座」の続編と言えそうな作品
・ミノー・スピナー・スプーンそれぞれに焦点を当てた作品
・ルアーの色の影響を検証するため同じルアーでヒット毎にカラーを交換させたらどうなるか
・同じ区間をルアーマンと餌釣り師が同時に釣行した場合に釣果がどうなるか
・ベテランと初級者を同時に釣行させたときにアプローチにどうの様な差がでるか
ルアーマンと餌釣り師が同時に釣行…、これはパートナーズDVD№33「TEST PATERN②~ルアーVSエサ」という作品で、ルアーマンは忠さんとチャップ横田さん、餌釣り師は米沢厚志さんで、雑誌に頻繁に登場したり、メーカーのテスターだったりと、名が知られた方々ですので、一般的な企業が、こうした対戦形式の企画を立てたり、著名アングラーを参加させて撮影となると、とても困難ではないかと思います。
ミノー・スピナー・スプーンそれぞれに焦点を当てた作品…、これはパートナーズDVD№37「EASY SPINNER FISHING」や№56「忠さんのスプーンテク・マニュアル」など、対象ルアーごとに特徴や釣法の解説が詳細になされております。
これらはほんの一部の内容であり、この他にロシアやアラスカへの海外遠征や、サクラマス、リバーシーバス、鮎など、川における鱒釣り・鮎釣りの情報が満載です。
また、撮影における決まりごととして、原則、メインアングラーへの釣法や場所選定などへの助言は一切行わず、作品の主旨に沿う映像が撮影できるまで何年もの時間を掛けておられます。
TV番組に多いのですが、2泊3日とかの制約のなかで撮影されておられるのか、よく貧果で番組が終了することがありますが、そうしたことが無いのです。
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忠さんがこれまでに示してきた「渓流のルアーハイテク講座」および一連のパートナーズDVDを見ておりますと、理論の追求の姿勢が、とても柔軟で且つ厳格に感じられます。
多種多様な理論が散りばめられた作品群は、"一辺倒"の感があるメディアの中において、明らかにそれらと違った重厚な存在感を感じます。
私の場合、どの作品も最初に見るたびに感心させられることが多いのですが、そうしたことを次回以降に記して参りたいと思います。
以上です。