先住民を警察の手から守る人間の盾となるために退役軍人がスタンディングロックに戻ってきた
Army Veterans Have Just Returned To Standing Rock To Form a Human Shield Against Police


(画像  12月に活動家を保護するために行進していた退役軍人の様子© Stephen Yang / Reuters )


2月11日【The Guardian、RT】

武装した警察勢力の攻撃の手から、先住民を中心とした活動家グループを守る盾となるため、退役軍人らがスタンディングロックに帰ってきた。ダコタ・アクセス・パイプライン建設に反対する戦いはまだまだ終わってはいないということを示す新たな証拠である。

ノースダコタ州のキャノンボールに、アメリカ全土から退役軍人らが到着し、あるいは現地に向かっている。これは石油企業がミズーリ川一帯の掘削工事を完了させることがドナルド・トランプ政権によって認められたというニュースを受けてのことだ。

警察及び政府職員が建設現場近くにキャンプを続けている数百人の活動家を撤去させようとする際に、増加する一方の退役軍人の存在は活動家側にとって抑止力となりえ、さらに抗議活動中に法執行機関が過剰な力を行使することを制限させることも一部で期待されている。
 
10日(金)遅くに、スタンディングロックに他の退役軍人のグループと共に到着したエリザベス・ウィリアムズさん(34):「私たちは、先住民の長老らと民間の軍隊の間に自らの体を差し入れる準備ができています」
「私たちはかつて、炎に直面して立っていたことがあります。私たちは自分のスキルを使う責任を感じているのです」




(画像 https://www.facebook.com/groups/

 しかしスタンディングロックに何人の退役軍人が到着するかは不明のままだ。一部のオーガナイザーは数十人が現地に向かっていると予想し、他の活動家は翌週には数百人が顔を出すと考えている。

昨年12月にはスタンディングロックに約1,000人の退役軍人が訪れ、直後にはオバマ政権が問題の石油企業に対して重要な許可申請を却下すると発表。これは先住民族側にとって、いったんは大きな勝利となった。

その際、退役軍人がアメリカ合衆国による先住民族に対する暴力行為に対して謝罪を行う儀式が行われ、37億ドル(約4,200億円)に反対する勢力にとっては強力な象徴的行為となった。

退役軍人の現地への帰還をサポートする団体VeteransRespondのマシュー・クレーン氏(33歳、元海軍所属)によると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ退役軍人は、寒冷で混乱を極めた環境の中で満足な支援もなく、さらに苦しんでいたという。

同団体は自給自足体制で自らを「水を守る者たち(water protectors)」と呼ぶ活動家の支援を行うことを誓っているが、その支援の内容には清掃やキッチン周りの仕事、医療的支援、そして必要であれば警察から活動家を保護することが含まれている。




 
クレーン氏:「これは人道主義的な問題です」
「私たちはそばに寄り添い立ち、誰も傷つけさせたりはしません」

10日の午後はキャノンボールは珍しく気温が上がり雪が融ける中、パイプライン建設に反対するために昨年の春にでき始めた最初のキャンプ場セイクリッド・ストーン(聖なる石)で、ジェイク・ポーグ(Jake Pogue)氏は退役軍人らがキャンプ設営するのを手伝っていた。
 
ジェイク・ポーグ氏(32歳、元海兵隊所属)は、警察の戦略が悪化していることを懸念するとし、「私たちは戦闘員としてではなく、保護する者として来ています」と述べた。

「あの状況での私たちの役割は、水を守る者たちと警察の間のバリアを形成するだけのことです。そして活動家に対する虐待の一部を受け止めようと考えています」

昨年の秋から、警察は約700件の逮捕を実施し、時には高圧放水砲、こん棒、ゴム弾、催涙ガス、その他の致命傷にならない兵器を用いることもあった。パイプライン側に雇われた民間警備会社もまた、暴力的な戦略を用いたと非難されている。


(画像 https://twitter.com/RT_America/status/803965564603564033

 
ジュリアス・ページ(61歳の退役軍人)氏:
「私たちには軍事化、敵対行為、威嚇など厳しい状況に直面した中にいる経験があります」
 
ダン・ルーカー(66歳)氏は12月にボストンからスタンディングロックを訪れ、今月にまた帰ってきた一人だ。ベトナムでの参戦経験のある彼によると、ベトナムや中近東で戦った多くの退役軍人にとって、水を守ろうとする活動家を助けることは「癒し(healing)」であると話している。

「これは正しい戦争で、(私たちは)正しいサイドにいます」
「歴史上初めて、アメリカの軍隊がスー族の土地に助けに来ました。先住民族を殺すためにではなくです」




(画像 https://twitter.com/MikeHudema/status/830431955837652993
2017年2月11日付のツイート:「スタンディングロックに二度目に配置されるために退役軍人が団結する」 

スタンディングロックの部族に属し、セイクリッド・ストーンのキャンプ場を始めたラドンナ・ブレイブ・ブル・アラード(勇敢な水牛)さんは、退役軍人の帰還を歓迎する旨を明らかにした。
 
「退役軍人はすべてが安全で上手くいくようにしてくれるでしょう」
「現地の人たちには何の保護もありませんでしたから」

スタンディングロックでは、警察による大量逮捕や暴力行為によって多くの先住民活動家がPTSDを発症させた。これは多くの退役軍人がとてもよく理解している症状である。
 
クレーン氏:「アメリカの先住民コミュニティにおけるこの歴史的なトラウマは、非常に深刻なものです。悲劇的ですよ」
「軍隊には同じ問題が数多く存在しています」

メスカレロアパッチ族のオーブリー・ペックハムさんは金曜、涙を流しながら水を守ろうとする先住民族と退役軍人の結びつきについて説明してくれた。
 
「彼ら(警察側)が使っている兵器から、身を守る方法を私たちは知りません」
「彼ら(退役軍人)のおかげで、よりよく備えることができます」


ペックハムさんはまた、この親愛の情はお互いに感じ合っているものだと話している。
「私たちはPTSDについて(退役軍人に)話すことができます。そして退役軍人の方々も、とうとう、自分たちの苦しみが理解されたと感じているのです」




(画像 https://twitter.com/RT_America/status/829530833237188608
2017年2月9日付 ツイート




(翻訳終了)


【参考】https://www.theguardian.com/us-news/2017/feb/11/standing-rock-army-veterans-camp

https://www.rt.com/usa/377089-army-veterans-shield-dapl-protesters/

http://www.cnbc.com/2017/02/01/standing-rock-dakota-access-battle-brews-as-us-veterans-sioux-dig-in.html


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(退役軍人のPTSDの問題について後半に軽く触れています)


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【コメント】
この抗議活動にはもう何度も強い感情を感じ続けていますが、この記事の退役軍人や先住民族の声を聞いていると第三者の私まで強く癒されるような気持になります。個人的に、ダン・ルーカー氏と最後のオーブリー・ペックハムさんのコメントに、特に深く感銘を受けました。

分断ばかりがめだつ現在の社会で、かつては敵対していた二つのグループがお互いの深いところを理解しあうなんて奇跡の様にすら思えます。

また最近はトランプ氏を巡って大議論が起きていますが、この件に関してはオバマとトランプのどっちが悪いという問題ではなく、誰が施政者でも結局は大差ないようで、やはり社会のシステムが根本からの改革が必要だと思わされました。








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