今週はノースダコタのパイプライン建設抗議活動の件で、オバマ政権から迂回命令が出されたり、抗議活動に参加していた退役軍人の人たちが米政府を代表して先住民の人たちに謝罪をしたりなど嬉しいニュースもありました。しか現し実問題を見ていると、利益のために環境や人体の健康を無視し続ける「黒い蛇」は諦めたわけではないようで、この水や環境を守ろうとする「虹の戦士たち」の戦いはまだまだ始まったばかりのようです。
気になるニュースの一部をまとめました。
https://dcindymedia.org/node/1210
*-*-*-*-*-*-*-*-*
パイプライン迂回宣言の前後の現場周辺のニュースがこちら。
★今日は勝利を祝う日ではない
Today Is Not A Victory For Water Protectors
これまでもこの民間企業は汚い手を使ってきており、さらにトランプ氏が大統領になった暁に、持てる力を総動員してこのパイプラインを建設させない保証はありません。
現場周辺のモートン・カウンティ保安官やDAPLの雇っている民間警備企業はまだ現場を離れず、亀の島居留地を囲む有刺鉄線も除去されていません。
12月5日(パイプライン迂回発表の直後)
★退役軍人と水を守る者が団結:暴力的な衝突以降、警察が押さえていた要所(橋)を抗議者側が奪還
http://thefreethoughtproject.com/
11月20日に抗議者に対し武装した警察が暴力的な攻撃を加え、バリケードを築いて入れなくしていた要所を抗議者側が奪還しました。
無言で橋に向かう無数の退役軍人たちの様子です。
特殊な軍事訓練を受け、実際に戦場に行った経験があり、仕事の任務ではなく自分で決めた大義のために動いている退役軍人が相手では、警察官、雇われ警備員にできることは限られています。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
9月と少し前の情報から。
★関心がダコタに集まっている中、オバマがひそかに二つの新しいパイプラインの建設を許可していた
With Attention on Dakota, Obama Quietly Approves Two New Pipelines
Trans-Pecos と Comanche Trailの二つのパイプラインの建設許可が5月に出され、その計画が行われているということです。ダコタ・アクセス・パイプラインの建設と同じ企業はアメリカとメキシコ両政府からの許可を得ており、決定を覆すためには市民不服従しかないとのこと。
先日の「ダコタのパイプラインの地役権を認められなかった」というニュースはマスコミでも報道され、まるでオバマ政権が「環境に対して良心的な大統領」であるかのような印象さえ与えそうな勢いでしたが、その陰ではこんなことをしています。
それも悲しいですが「よくある話」ですよね・・・
12月5日
★パイプライン建設企業がアーミー・コープス社に対し、どのような手段を取ってもスタンディング・ロックに違法なパイプラインを建設し続けると伝える
一部では、オバマ政権はこの不法企業に建設停止を強制はしておらず、パイプライン建設の地役権が認められなかったというのは純粋な「政治的策略」にすぎないと考えられています。
またこの建設企業はこれまでも法に準拠せずに建設を進めてきたことが説明されています。
一般市民が少しでも法を破れば収監されるなりしますが、民間企業が公に違法行為を行ってもなぜか報道もされず、なんのお咎めもないというのも・・・・残念ながらどこにでもある話ですね。なぜそんな無法が許されるのかまったく理解できませんが。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
スタンディングロックで抗議活動が大きな転換期を迎えていた12月5日には、こんなことも起きていました。
★スタンディングロックから200マイル(320㎞)離れたところで原油が漏洩し、パイプラインが閉鎖される
Oil Pipeline Shut Down After Spill, Just 200 Miles From Standing Rock
「Belle Fourcheパイプラインが運営するノースダコタ西部にある原油のパイプラインが漏洩していたことが月曜に明らかになり、閉鎖されました。
ビリングス・カウンティのアッシュ・コーリー川に漏洩した原油の総量は明らかになっていないません」
今回の漏洩はノースダコタの歴史上でも最大の規模で、サッカー場7つ分の面積に広がっているとのことです。
先住民の方たちはこれまでも何度も深刻な水の汚染に直面し、安全な生活を脅かされ、健康被害に遭ってきましたし、これが最後になるという保証はまったくありません。立ち上がるのも当然でしょう。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
そしてまもなく大統領になるドナルド・トランプ次期大統領の動向を現地の抗議者の人たちは心配しています。
★ダコタ・アクセス・パイプラインの親企業の株式をトランプ氏が所有
Possible conflict of interest: Trump owns shares in Dakota Access pipeline parent company
トランプ次期大統領はテキサスを基盤にするEnergy Transfer Partners という企業の株式を$15,000 ~ $50,000 程度(今年の早い段階では $500,000 ~ $1,00,000だったが売却済み )、ダコタアクセス社の株式25%を所有する Phillips 66 という企業の株式を $500,000 ~ $1,00,000程度保有しており、選挙中の政治資金も Energy Transfer Partners から受け取っていたと言われています。そのため、大統領に就任してから彼がこの問題に対してどのような動向を見せるか、厳しい目が向けられています。
またトランプ氏は Harold Hamm という石油・ガス企業の創始者を自らの政権の閣僚にと計画しているようです。さらに気になるのがこちらのニュース。
★トランプの相談役:原油を豊富に埋蔵する先住民の居留地を私有化させることを計画
Trump advisors aim to privatize oil-rich Indian reservations
先住民の居留地はアメリカ全土で面積の2%に過ぎません。しかし石油やガスなどはアメリカ全土の20%近く埋蔵されているのではないかと言われています。そしてトランプ次期大統領の相談役が、同政権は先住民の居留地の私有化を検討している、とロイターのインタビューに対して答えています。
この件に対する、先住民側の代表の答え:
「私たちの精神的な指導者は、私たちの土地の私有化に反対しています。つまり私たちは自然や水、空気を神聖なものとみなし、 コモディティ化に反対しているのです」
私も土地の所有制度や大企業が利益のために貯水を私有化していることに、とても違和感を感じていますが、根っからのビジネスマンのトランプ氏に彼らの考えは理解できるのでしょうか。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
海を越えたオーストラリアでも。
★オーストラリアにもダコタのパイプラインと同じ問題を抱えていて、現在進行中
Australia has it’s own Dakota pipeline story, and it’s happening right now
オーストラリアのクイーンズランドとノーザンテリトリーの間にパイプラインが建設予定で、2017年の初め頃に建設が開始予定だとか。
しかも汚い(環境を深刻に破壊する)エネルギーとして悪名の高いシェールガスのパイプラインで、すでに反対活動が始まっているとのこと。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
★スタンディングロックの退役軍人:「次はフリントで抗議活動」
Veterans at Standing Rock Just Announced They’re Heading To Flint Next
メディアではほとんど報道されていないため、日本でも認知度はかなり低いかと思いますが、ミシガン州のフリントという都市では水道水が高レベルで汚染されており、飲料目的はもちろんお風呂などに使うことすらできない状態になっています。近くのデトロイト市ではこの問題はないのですが。この都市は元は自動車産業で栄えていましたが、最近は衰退の一途で貧困家庭が多く、財源不足のために水源を変えざるをえなかったということです。
水道水ですが適切な処置がされておらず、バクテリアや健康に深刻で有害なレベルの鉛が検出されています。
ウェス・クラーク・ジュニア退役陸軍兵士:
「時期はわかりませんが、次はフリントに向かう予定です」
「同じ問題が国全体にあります。これは退役軍人だけで対応できる問題ではありません。
この国では人々があまりにも長い間、間違って扱われてきました」
*-*-*-*-*-*-*-*-*
何度も繰り返していますが、この問題は終わったわけではありません。
一つの転換期を迎え、警察官と退役軍人の正面衝突は一時的には避けられたものの、スタンディングロックの問題も油断はできませんし、世界中で同様の問題は起きています。
むしろマスコミにも騒がれていた「勝利宣言と祝賀」のニュースから、抗議活動参加者や関心が減り、退役軍人も減った今こそ注意深さが必要です。
「ダコタアクセスパイプラインの一時的な建設停止措置は、特別な利権で満たされている世界における精神的な作戦の始まりに過ぎないと言ったら、どうお考えになりますか?
38億ドルが投資された計画を石油企業が本気で諦めるとでも?」
このノースダコタのパイプライン阻止に関し、私たちができることもまだあります。
こちらは英語ですが募金活動や署名活動などの一覧があり、一部は今でも実行が可能です。
http://thefreethoughtproject.com/10-protest-dakota-access-pipeline/
その他にも私たちが水を守るためにできることはたくさんあります。
1.情報の収集・拡散
ノースダコタだけでなく、日本国内でも同じような問題がたくさんあります。
環境にも広げて考えると沖縄の高江や福島からの汚染水放出、リニアモーターカーによる河川の枯渇、一部の自治体での水道の民営化の検討など、日本国民や自然の安全性を脅かす問題はあまりにも多くあります。
そういった情報に目を光らせ、可能な時に拡散することで認識を広げることが大事ですね。
2.お金による投票:銀行口座を移動
以前の記事にもまとめていましたが、一部の大銀行はノースダコタのパイプラインだけでなく、例えば東電などにとっても大きな融資を行っています。ここでは次の3行が挙げられていました。
*三井住友銀行
*東京三菱銀行UFJ
*みずほ銀行
様々な分野に投資を行っている可能性の高い大銀行の口座を解約し、地元の地方銀行や信用組合に切り替える人が今も続いているようです。
http://www.commondreams.org/news
英語のニュースですが、日本での銀行口座解約の運動の写真が掲載されていました❤ありがとうございます♪
パイプラインだけでなく、上記三行はたとえば東電への高額融資元上位3位でもあります。
3.水を大事に使う
毎日の生活では、水道を使った後の排水はパイプに流され、私たちはそこから先のことはあまり考えません。しかし水はその後、処理されて自然に返されます。
しかし一部の化学物質などは完全に処理されることもなく、生態系に影響を与えています(「魚+プロザック=殺人魚に 」)。農業で使われている大量の農薬も、一部は水に入り込んで汚染しています。
毎日の生活の中で、少しでも生態系にダメージの少ない生き方を選択することが地味ですが、直接的な変化を出すことができます。
4.石油製品の使用に意識的になる
私たちの生活の中は無意識に大量の石油から派生した製品で溢れています。
完全に避けるのは難しいことですが、可能な範囲でもその使用・消費に慎重になることで石油併存した経済社会に影響を与えることが可能です。欧州ではかなりその方向に向かっているようです。
また石油製品による二次的な環境破壊や動植物への深刻な悪影響の問題もありますし、人体にとっても相当有害な物質が多くて実際に多くの被害も出ています。
5.電力などエネルギー源について真剣に考える
パイプラインが「必要」なのは需要があるためです。
電気や車のガソリンなどにも石油が使われていますが、フリーエネルギーや代替エネルギーがより普及することで石油(や原子力)に依存する必要も減少します。
従来のような大規模な発電所で作られた電気を各家庭に送電する送電線はまた、周辺のっ住民に健康被害ももたらしています。
従来のような利権が絡みすぎたエネルギー源の問題が解消されると、同時に多くの問題も解決されます。私自身は人類が生き残るためにはこの問題は非常に重大だと思います。
・・・と私が思いついたのはこれくらいですが、他にももっといろんな方法があるかもしれません。
また退役軍人のクラーク・ジュニア氏も言っているように、これは一部の人間だけで解決できる問題では決してありません。
「今のうちにその水を楽しんでおいた方がよいでしょう。
誰かがやってきて汚染し、使い物にならなくし、水へのアクセスを制限し、
利益のために販売し始めてそれを「発展」だと言い始めるまでの間に」