イリノイ州のキッカプークリークでスティールカラーシャイナーを無事に釣り終えた私は、さらに2時間半かけて同州南部のカスカスキアリバーにあるカーライルダムのダム下へ向かった。ターゲットはアジアンカープ、すなわちビッグヘッドカープ (コクレン) とシルバーカープ (ハクレン) だった。

ここは釣り場としてはとても有名らしく、平日だと言うのにたくさんの釣り人がいた。ただしほとんどの人は産卵遡上中のホワイトバスを狙っていた。

なんとか空いているスポットに入り、日没まで二時間はあるので、できれば日本では釣れる確率が非常に低いコクレンの方が釣れてくれることを祈りながらタックルの準備を始めた。

タックルはミディアムヘビーの 1.95 メートルのベイトタックル (シマノ EXAGE 66MHACC にシマノシティカ 201G6)。ラインは 20 ポンドのPEライン (パワープロ)。その先に 1.8 メートルの 10 ポンドモノラインを結び、ロッド側末端と中央にエダスを設け、サイズ 1/0 のストレートワームフックをループノットで取り付け、これにチャートリュースカラーのカーリーテールグラブの2~3インチをつけた。末端にはスナップスイベルを介して1オンスのベルシンカーを2個つけた。

このいわゆるトップ&ボトムリグと呼ばれる仕掛けでチャートリュースのカーリーテールグラブを使ってハクレンやコクレンが釣れることは、ウィスコンシン州在住の魚の剥製師である Joshua Knuth さんという人がまさにこのカーライルダムで数年前に偶然発見したものだった。

1.8 メートルの枝バリ仕掛けを 1.95 メートルのロッドでキャストするのはなかなか難しかったが、慣れればほぼ思い通りの場所へ投入できるようになった。本当ならもっと長いロッドを使いたいところだが、4ピースのトラベルロッドなので仕方なかった。

春の増水期の全開のダムからの流れはかなり強く、計2オンスのベルシンカーでは流されるので結果的にボトムバウンシングをすることとなったが、その方がかえって広範囲に探れるのでよかった。ただしその分頻繁に根掛かりしたが。

日本でも利根川などでハクレンが何かに驚いていっせいに跳躍するのが有名だが、このダムではほぼ常時小振りながらハクレンの群がダム直下ではジャンプしていて壮観だった。相当数のハクレンがいることがそれでわかった。

これだけいるのならすぐに釣れるだろうと高をくくって釣り始めたが、なかなかヒットしない。そして1時間後に巻いて来る時に何かが掛かったので期待したが、それは胸にスレ掛かりしたハクレンだった。

20 分後、今度は腹にスレ掛かりしたハクレンが来た。さらに 20 分後には背中にスレ掛かりしたハクレンが釣れ、その 15 分後には尾びれにスレ掛かりのハクレンと、スレばっかりで一尾もバイトしないままこの日は終わってしまった。またコクレンが一尾もスレで掛からないことから、ハクレンよりもかなり少ないこともわかった。

簡単に釣れると思っていたのとは正反対の現実にかなりうろたえたが、とにかく翌日の午前中一杯釣ってダメならあきらめることにした。

次の日の朝は驚いたことに前日の夕方よりも人が多かった。平日でも仕事前の朝マヅメだけ釣りをする人が多いようだ。

だがダム直下のキャストしにくい木の下は空いていたので陣取り、キャストの時だけ木から離れるようにして釣り続けた。

そして前日とは違ってすぐにコツンといったヒットがあり、向こうアワセで掛かって来たのは、ハクレンだった! 口の中の下あごに確かにフッキングしており、血管がある場所なので結構出血していた。

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初めて釣ったシルバーカープ (ハクレン)。38 センチ。これがここカーライルダムでのアベレージサイズだ。


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ハクレンの腹部。キールと呼ばれる硬い張り出しがあり、これが鰓蓋まで伸びているのがハクレンで、腹びれまでしかないのがコクレン。小型の場合両者を体色や頭部の形で判別するのは誤同定を伴うので、キールで見分けるのが無難だ。


どうやら前日よりもダムに近い場所で始めたので魚影がさらに濃かったことがよかったようだ。幸先のいいスタートに期待が膨らんだ。

だがその後は期待に反してスレでハクレンが一尾釣れただけで、10 時前には用意した5セットのエダス仕掛けが全部根掛かりでなくなったので、バークレーの3インチのパールホワイトのリボンテールグラブのジグヘッドに替えたところ、立て続けにホワイトバスが3尾釣れた。

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地面に散乱しているのは、打ち上げられたかスレで釣られて捨てられたギザードシャッド。地元の人はこれの腸を使ってホワイトバスを釣っていた。


結局コクレンは一尾も釣れなかったが、数の多いハクレンですら二日かけて一尾では致し方ないと考え、あきらめた。テネシー州で近い将来にエサ釣りででも狙おう。

コイ目コイ科ハクレン属。最大全長 1.2 メートル。アメリカには 1970 年代に養魚場や排水処理場の藻類対策のために導入されたが、すぐに洪水を利用して逃げ出し、ミシシッピー川では流程が長いので繁殖が可能なため、支流も含めて大繁殖して社会問題化している。植物プランクトン食性。カーリーテールグラブにバイトするのは流れ藻と間違えて喰い付くというよりはむしろリアクションバイトと思われるが、ゴマンといる中で一日ゼロ尾から数尾しかバイトしないので、流れの緩い場所なら吸い込みの宙釣り(このPDF内の、1. ウキ釣り 1-ボタン付き発泡吸い込み1本針仕掛け)やへら釣りに準じた釣り方の方がいいだろう (ただし、産卵遡上期だったことと、大増水して流れがとても強かったことを考えると、他の時期ならカーリーテールグラブでもおそらくもっとよく釣れるだろう)。


2014 年 10 月にカーライルダム下でチャートリュースのスクリューテールグラブのジグで釣れたハクレン2尾



ハクレンのハビタット


シルバーカープは白のカーリーテールグラブにもよくヒットするようだ。また、少なくとも小さな個体はミミズでも釣れるようだ。