■The Dying Gaul ダイイング・ゴール | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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■The Dying Gaul 原題:ダイイング・ゴール

●「The Dying Gaul」。美術に興味の深い方にはすぐにお分かりの事とだろう。映画の題名は、ローマのカピトリーニ美術館にある「瀕死のガリア人」の彫像を指す。これ、紀元前1世紀の作品。ローマ人が視覚化したケルトといわれる代表的な彫像で、ギリシャ・ローマ古典美術の中でも優れた人間主義的な人像彫刻だといわれている。この瀕死の戦士の表情に、やがて迎える死に対する無情も非情も悲嘆も全てを見て取れる傑作だという。
しかし、ケルト自身はこの人間主義的な美術表現の対極にあった、とも言われているところが面白い。「ケルト」という名称は、ギリシャ人が「ケルトイ」(よそ者)と呼んだことに由来するようだが、ローマ人は「ガリ」と呼んでいたという。つまり彼らの住む地「ガリア」に因んでいる。そこで一般的な呼び名としてこの彫像を日本では「瀕死のガリア人」としている。英題は「Gaul」=ガリア、 ゴール:現在の北イタリア・フランスなどを含むヨーロッパ西部の古代名であり、ガリア(ゴール)の住人を指す。ふむふむ・・・こーゆーのあんまり詳しくないデスから悪しからず。






さ、この映画「The Dying Gaul」は、のっけから精神の渦巻き、か。それもこの物語の舞台は、映画界だから困った。物語の主人公は、映画の脚本家であるロバート。彼は、新作「The Dying Gaul」を映画会社に持ち込む。紀元前の彫像である「The Dying Gaul」に、亡くなった彼のゲイの恋人の無念さ、己の悲嘆を込めて、書いたものだった。しかし、映画会社の代表はゲイの物語の映画は、収益が上がらない、と言い放つ。脚本に手直しをして、シンプルでストレート、恋人を男性から女性に変えれば、商業映画の物語として成立する、と言う。





話は、ハリウッドの虚飾に塗れたエリート社会を舞台に繰り広げられる模様。豪邸、モダンなインテリア、洒落たファッション、男女の欲深きいさかい、背徳、権力、裏切り、腐敗、そして復讐、毒づく会話…。脚本のギャランティ100万ドルがまだ駆け出しの若い映画脚本作家に渡されるとすれば、取引を保証するために、エイズで死んだ恋人の個人的な話の主人公を男から女に変え、さらに成功の第一歩に近づくために、ロバートは自らを提供することになるのだろうか。





この映画の中で、シンボライズに見て取れる彫像「The Dying Gaul」は、虚飾に塗れながら、死を迎える前の無言の儀式を執り行う飾りにすぎないのだろうか。美しいままで現代を生き抜いていくための玩具になるのか、象徴になってしまうのか。携帯電話。インターネット。チャット・ルーム。欺瞞に満ちた得体の知れない同士がもつれあうウェブが動き出す。ロバートはどこにいる。ジェフリーの豪邸に眠っている。傍らにいるのは、ジェフリーなのか、その妻なのか…3人が絡み合い、欲深き人間模様を見せてくれそうだ。



キャンベル・スコットは、映画会社代表重役ジェフリーをなめらかで無情なまでに演じる。どうよ、このセレブの様子。なんといっても顔、デス。リッチな男もこう磨いて貰わねばならんデス。そこ、スコットはメイクに任せた模様。ある場面では年齢が匂い、ある瞬間には我侭な青年模様が浮き出るマスク、シワも伸ばしてあっぱれだと思う。ピーター・サースガードは、嘆き哀しんでいる映画脚本作家ロバート。ロバートは過去を葬り、忌み嫌い惹かれる世界に足を踏み入れるのか。サースガードの目が泳ぐ。ニヤリと不敵な笑みを見せる。そして、ジェフリーの妻にパトリシア・クラークソン。彼女は生まれ持った好奇心の強い女。強欲なまでに自我を全うする。あとは監督次第、なんだ。

脚本家であり、本作で監督デビューを飾るルーカスは、書き手としての切れ味をどう生かしてくるかが楽しみな一作。この脚本は舞台で演じられたものであるというが、内容そのままに映画の中の映画界を背景に主要3人の駆け引きでサスペンス仕立ては成功して欲しいもの。ハリウッド方面ではヒッチコック仕立ての正統派ミステリーという評価も聴こえてきたが…。(2005年/製作国アメリカ/アメリカ公開2005年11月4日NY, LA公開/日本公開未定)



▲Trailer


▲Clip1


▲Clip2


▲Clip3


▲Clip4


▲Clip5


▲Clip6


▲Clip7


▲Clip8


▲Clip9


▲Official site
オフィシャル準備中


●Directer & Screenwriter:Craig Lucas クレイグ・ルーカス
●Cast:Peter Sarsgaard ピーター・サースガード Campbell Scott キャンベル・スコット Patricia Clarkson パトリシア・クラークソン Linda Emond リンダ・エモンド Robin Bartlett ロビン・バートレット Ryan Miller ライアン・ミラー Jason-Shane Scott ジェイソン=シェーン・スコット