三菱一号館美術館で開催された「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」の、ブロガー特別鑑賞会に参加してきました。
「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」ブロガー特別鑑賞会
開催日時:2016年7月27日(水)18:00~20:00
場所:三菱一号館美術館
スケジュール:
18:00~ 受付開始
18:30~19:00 東京都写真美術館学芸員・三井圭司氏による解説
ナビゲーター・「青い日記帳」Takこと中村剛士さん
19:00~20:00 三菱一号館美術館 特別鑑賞会
20:00 終了
中村さんのナビゲート、三井さんによる解説:文責tonton3
1819年、写真が発明された。みんながカメラを持てる時代になった。
その中で、女性であるキャメロンがなぜ写真を撮り始めたのか?
上流階級の女性で、結婚もしていた。夫も理解があった。
妹も上流階級の人と結婚していた。恵まれていた。
日本でいえば江戸時代、坂本竜馬と同時代。
写真のほとんどは、たぶん室外で撮られた。
このサイズが原版のサイズ。引き伸ばしはできない。
このサイズが入る大きさ、蛇腹を入れると大きく、三脚で固定。
手持ちやスナップショットはできない。
ガラスの原版にネガ像をつける。
撮影が終わったらすぐに現像する。定着処理をする。
けっこうな重労働でした。薬品が乾くと駄目になる。
カメラも大きく、現像には暗い空間が必要だった。
キャメロンの写真は、上流階級のお遊びではなかった。
キャメロンは今の日本人と同じように小柄だった。
写真は、お金持ちだからできたこと。
当時のカメラにはシャッターがない。
長時間露光、キャップをあけて、カンでやる。
被写体の側の協力も必要。コラボレーション。
焼き増しはできるけど、縮小や拡大はできない。
光源は太陽光のみ。手に持って取ることは考えられない時代。
今見ると当たり前に見えるけど、この時代にあっては最先端だった。
表現としての写真はキャメロンが最初でした。
写真がぶれたり、ボケたりする。ふつうは失敗だ。
キャメロンはそれを150年前に、作品にした。
9点セットの連作について。
キャメロンはカトリックだった。子どもを育てていた。
母と子供、「聖母子像」になぞらえて。
キャメロンは、写真で「聖母子像」を新しく考えた。
当時は、写真に写っているのは本当のことだという考えがある。
それはいまも私たちにある。
これが創られた時代、そういう状態のなかで、そこの距離感は、
気持ち悪いものがあったかも?
三菱一号館が最初にやった展覧会「モネ展」と同じ時代でもある。
なお、9月3日、写真美術館がリニューアルオープンします。
展覧会場風景:
キャメロン作品の一部:(作品の詳細は次回のブログに載せます)
「聖霊の実」
自身のカを手にしてから数カ月のうちに、キャメロンは、キリストの9つの美徳を写真で表現するという、野心的な連作に着手した。その構図の多くはルネサンス絵画の構図と類似している。キャメロンは、善良や節度といった抽象的な概念を描写し、それぞれの美徳を他と区別することに苦心した。その後、1874年にテニスンの「詩集・国王牧歌」の挿図写真を手がけるまで、別の連作を試みることはなかった。1865年1月には「聖霊の実」全9点を―ひとつの額に収めて―大英博物館に寄贈している。
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」
1863年末にはじめてカメラを手にしたジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-79)は、記録媒体にすぎなかった写真を、芸術の次元にまで引き上げようと試みた、写真史上重要な人物です。インドのカルカッタに生まれ、英国の上層中流階級で社交生活を謳歌していた彼女は、48歳にして独学で写真術を身につけ、精力的に制作活動を展開します。そして、生気あふれる人物表現や巨匠画家にならった構図を追求するなかで辿りついたのは、意図的に焦点をぼかし、ネガに傷をつけ、手作業の痕跡をあえて残す、といった革新的な手法でした。本展は、キャメロンの生誕200年を記念し、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が企画した世界6カ国を回る国際巡回展であり、日本初の回顧展です。キャメロン絶頂期の極めて貴重な限定オリジナルプリント(ヴィンテージプリント)をはじめ、約150点の写真作品や書簡などの関連資料を通じて、キャメロンの制作意図を鮮やかに際立たせつつ、彼女が切り開いた新たな芸術表現の地平を展観します。
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