「黒田記念館」リニューアルオープン! | とんとん・にっき

とんとん・にっき

来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。



日本美術の近代化に尽くした洋画家黒田清輝。その遺言をもとに建てられた黒田記念館は、耐震工事のため2012年4月から休館していましたが、2015年1月2日(金)にリニューアルオープンされました。僕が観に行ったのはまさにリニューアルオープンの当日、1月2日でした。たくさんの人で展示室は混雑していました。1月5日にパソコンが壊れて、保存してあった画像が飛んでしまい、観に行ったことすら忘れてしまいました。ふと思いだして、「黒田記念館」のリーフレットをもとに、この記事を書いています。


「黒田記念館」は「東京国立博物館」の関連でもあるため、今まで東京国立博物館の1階で数点ずつが公開されていました。平成館との通り道にあるため、何度か観ることができましたが、天井高の高いだだっ広い展示室のため、黒田の作品を観るには適していないと言わざるを得ませんでした。もちろん、黒田記念館は、黒田の作品のために作られたものです。以前は週2日だけの限定公開でしたが、リニューアルオープン後は公開日が格段に増えました。黒田記念館の展示室は「特別室」と「黒田記念室」があります。


黒田清輝の作品といえば、なんといっても「湖畔」と「智・感・情」、そして「読書」と「舞妓」でしょう。黒田清輝の代表作である4作品が、作品に合わせた内装と照明を施した「特別室」で公開されていました。「特別室」の公開は年3回、2週間ずつです。また「黒田記念室」は、いつでも黒田の作品を観ることができます。6週間ごとに展示替えがあり、黒田記念館の所蔵作品を観ることができます。


黒田記念館は、東京美術学校教授であった建築家岡田信一郎(1883-1932)の設計により、昭和3(1928)年に竣工しました。正面外観はイオニア式列柱を用い、茶褐色のスクラッチタイルを貼った外観です。天窓からの自然採光も特徴のひとつです。






「黒田清輝について」

kuro9

黒田清輝(1866~1924)は、近代日本の美術に大きな足跡を残した画家であり、教育者であり、美術行政家であったといえます。ことに明治中期の洋画界を革新していった功績は大きく、その影響は、ひろく文芸界全般におよびました。現在の鹿児島県鹿児島市に生まれた黒田は、幼少時に上京、伯父黒田清綱きよつなの養嫡子となりました。17歳で、法律の勉学を目的にフランスに留学しましたが、二年後には絵画に転向し、フランス人画家ラファエル・コラン(Louis-Joseph-Raphael Collin)に師事しました。九年間にわたる留学中、アカデミックな教育を基礎に、明るい外光をとりいれた印象派的な視覚を学びました。明治26(1893)年に帰国し、日本にそれまで知られていなかった外光表現をもたらし、その背後のリベラルな精神と思想とともに大きな影響を与えました。明治29(1896)年には、美術団体白馬会(はくばかい)を結成、またこの年創設された東京美術学校(The Tokyo Art School)の西洋画科の指導者となりました。以後、黒田は、この白馬会と東京美術学校において、多くの新しい才能を育てるとともに、やがて美術界の中枢となりました。また、画家としても、外光表現だけではなく、「智・感・情」(Wisdom,Impression,Sentiment)、「昔語り」(Talk on Ancient Romance)など、アカデミズムとしての「構想画」(grand composition)の制作をこころみるなど、本格的な西洋絵画の移植につとめました。後年には、絵画制作のかたわら、貴族院議員や帝国美術院長を歴任し、美術行政家として活躍しました。


「黒田記念館について 沿革」

日本近代洋画の父ともいわれる黒田清輝は、大正13(1924)年に没する際、遺産の一部を美術の奨励事業に役立てるよう遺言しました。これをうけて昭和3(1928)年に竣工したのが黒田記念館です。館内には、遺族の方々から寄贈された遺作を展示して画家を顕彰するために黒田記念室が設けられました。昭和5(1930)年には、同館に美術に関する学術的調査研究と研究資料の収集を目的として、現在の東京文化財研究所の前身である美術研究所が設置され、日本・東洋美術に関する調査研究業務が行われてきました。 平成12(2000)年の新庁舎の竣工により、東京文化財研究所の全ての業務が新庁舎に移ったのに伴い、黒田記念館が昭和初期における美術館建築(岡田信一郎設計)として貴重なものであることから、創建当初の姿に復することとなりました。そこで、2階部分を中心に改修が行われ、平成13(2001)年9月に開館、平成14(2002)年には国の登録有形文化財となっています。 平成19(2007)年4月1日には独立行政法人文化財研究所と独立行政法人国立博物館が統合し、新たに独立行政法人国立文化財機構が設置されました。これにともなう組織改編により、黒田記念館は東京国立博物館に移管されました。 平成24(2012)年4月からは、耐震補強を中心とした改修工事のため閉館していましたが、平成27(2015)年1月2日にリニューアルオープンいたしました。


「黒田記念館」ホームページ


過去の関連記事:

東京国立博物館本館18室で「黒田清輝のフランス留学」展を観た!
黒田記念館と朝倉彫塑館
東京文化財研究所黒田記念館