江國香織の「間宮兄弟」を読んだ! | とんとん・にっき

江國香織の「間宮兄弟」を読んだ!


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江國香織の文庫本「ぬるい眠り」を買って読みましたが、そう言えば江國香織の本でブックオフで買っておいた本があったと、思い出しました。実はブックオフへ寄るたびに2~3冊買ってしまい、積んでおくだけでなかなか読まれない本がたくさんあります。そう言う本が、今、本棚を見てみたら、40~50冊はあるんじゃないのかな?買ったときは、すぐにでも読もうと思って買うのですが、新刊が出るとそちらの方が優先されて、ブックオフで買った本が後回しになってしまいます。ま、それはそれとして・・・。


江國香織の「間宮兄弟」、ブックオフで買った単行本ですが、半年ぶりに読む機会がやっと回ってきました。2004年10月20日初版第1刷発行とあるので、約2年半前のものです。「ぬるい眠り」を読んだときも書きましたが、江國香織の作品は、最近はまったくと言っていいほど読んでいませんでした。ほとんどが2004年12月に僕がブログを始めた以前にしか読んでいませんでした。でも、江國香織の作品、僕はそこそこには読んでいる読者であったことはたしかです。で、「間宮兄弟」、読んでみるとこれがなかなか面白い。つっかえる個所もまったくなく、一気に読んでしまいました。


兄・明信、35歳、酒造メーカー勤務。弟・徹信、32歳、学校職員。2人暮らし。読書家、母親思いで、マイペースで人生を楽しむ兄弟だが、おたくっぽいと女性にはもてない。一念発起で恋人をつくろうと、徹信の同僚・依子と、ビデオ屋の店員・直美を誘って家でカレー・パーティーを開く。不倫の恋に悩む依子は兄弟には興味なし。明信は直美をデートに誘うが断られる。その後徹信は、明信の同僚・賢太の妻・沙織に心惹かれるが冷たくふられる。しかし、直美の妹・夕美は徹信に興味を持つ。そして、兄弟の純粋な感性は次第に女性たちの心を動かすことになる……。“そもそも範疇外、ありえない、いい人だけど、恋愛関係には絶対ならない”男たちをめぐる、江國氏の最新恋愛小説。(出版社 / 著者からの内容紹介)



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初出誌が「女性セブン」という女性週刊誌、2003年7月10日号から2004年1月1日号まで連載されたもの、さもありなんと思いました。主人公は男の兄弟、兄が背が高くて痩せている、弟が背が低くて太っています。しかも、二人とも趣味はオタクっぽくて、世間ずれしていない純粋人間、女性にはもてない典型の人物像がパターン化されて、対比的に描かれています。だいたい30過ぎの男兄弟のむさ苦しい二人暮らし、どう考えても気持ち悪いです。好みの飲み物は、兄は缶ビールか缶チューハイ、弟はコーヒー牛乳。しかし、二人とも定職に就いています。兄は酒造メーカー、弟は学校職員、勤めは決しておろそかにはしていません。女性からみれば、いい人かも知れないけど、恋愛関係には絶対にならない男たちなのです。「いるいる、こんな兄弟」と思わせるように、 江國香織はそういう二人を愛情を持って見事に描いています。


兄はふられるとやけ酒を飲みます。弟はふられると新幹線を見に行きます。悔恨と諦念は兄弟個々のものですが、二人とも自分の幸せのためにも、兄弟が幸せになってもらいたいと考えています。二人のお母さん、間宮純子はそう言う息子たちを誇りに思っています。息子たちは母の誕生日にはなにはさておき、3人で食事をすることを欠かしません。正月には母親のいる静岡で過ごします。紅白歌合戦を3人で採点しながら過ごします。世間の男女のいざこざは、二人とも耐え難いが、家族といると繭のように居心地がいい。テレビを見ながらミカンを食べているとき、「新幹線見てきた」と弟が言います。兄は「お前のよさがわからない女ならいらない」と言います。「季節の推移や日々の食事を、分け合える人間がいるのはいいことだ」と、弟は嬉しくなります。「間宮兄弟」、出てくる人はみんな「いい人」ばかりです。こういう江國香織の小説も悪くない。


小学館:江國香織「間宮兄弟」


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