リトル・チルドレン(2006米) | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

リトルチルドレン

「主婦の欲求不満爆発」というワードが私の心を掴みました。まぁ話はドロドロとか爆発ほどではないのですが、Kウィンスレットは遠慮なく見せていて、その部分は爆発的でした。

郊外の住宅地で夫と娘と暮らすサラ(ケイト・ウィンスレット)は、その生活にうんざりしていた。ある日、彼女は主婦たちの憧れの的であるトッド(パトリック・ウィルソン)と話をする機会を得る。主夫である彼とサラは意気投合し、お互いの子どもを連れて会うようになり……。 (シネマトゥデイ)

この映画のテーマは「大人になれない大人たち」らしいんだけど…。じゃあ何が大人なのかしら。自分が幸せと信じ込んでいればいいのか、子供の面倒を見ていれば大人なのか。

こんな大人ごろごろいるんじゃないかな。窮屈な現実があって、隣人やパートナーの態度にムカッときたり、自分の位置に疑問をもったり。この映画に出てくる大人はみんな不安定で、社会や人間関係の圧迫で精神に少し歪みを生じている人たちだけど、人生の等身大の悩みだからこそ、共感できてしまう。私は「みんなこんなもんよね」とホッとしてました。最初は笑ってみていたけど、段々胸に痛く刺さるんですよね…。特に変態男とされるジャッキー・アール・ヘイリーには…「フランケンシュタイン」を重ねてみてしまうほど、怪演でした。

でも面白いのは、この映画の監督さんはナレーションや映像によって、彼らを俯瞰する姿勢を取っているところ。ある時はユーモラスに、ある時は皮肉的に描いています。また映像が欲望に遠慮なく、例えばKウィンスレットの身体をなめるように眺める男の目線そのままでした。いくつかの人物を同時進行で描き、それぞれの心を映し重ねていくところが、映画的に美しく、なかなか。

ただ前半の不倫話に花が咲いてしまったせいか、ラストは駆け足で終わり残念でした。軽く笑い飛ばすのもシニカルでよいし、最後のメッセージも嫌いではないのですが、何となくお粗末な感が…(特にあの男には全て納得いかない)。まさに「なぜ、満たされないの?」でした。

みんな、色々考えちゃう映画だと思います。

7月28日(土)よりシャンテシネにて公開予定
満足度:★★★★★★★☆☆☆