5月21日は、二十四節気の小満(しょうまん)です。
万物が次第に満ちることにちなんだ節気名です。
日々暑くなり夏が近づく最近。これも夏が満ちてくると感じられます。
身近な自然が次第に満ちてくる「小満」を探してみてくださいね。
そして、七十二候の第22候【蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)】でもあります。
蚕(かいこ)が桑の葉を盛んに食べて成長する時候にあたります。
蚕に桑の葉を与えることを給桑(きゅうそう)といいますが、蚕が餌を食べる音は猛烈で、
大雨が屋根を打つような音をたてます。
蚕を飼う方たちがいます。
蚕に桑を食べさせるのは過酷な労働です。
朝6時、昼11~12時の間、夕方の6時の3回食べさせますが、その分、蚕の数に応じた量の桑の収穫を必要とします。
蚕の食欲が盛んになると、昼だけでは間に合わず、提灯をつけて夜も摘まれ、雨の日には合羽を着て摘むのです。
長さ1ミリの稚蚕が、1ヶ月くらいで60ミリになります。
体積にすると何千倍の成長です。
この間、人間は食べなくても蚕に桑の葉をやらなければなりません。
桑を食べた蚕は、幾度もの「眠」に入りながら、ようやく繭作りに入ります。
「眠りに入る」とは、脱皮する前にいったん桑を食べ終わって、蚕がじっとしているときのことをいいます。
蚕は孵化して桑を食べ始めてから、7~8日目ぐらいに桑を食べるのをやめます。
色が白くなって頭部が大きくなり、やがて脱皮します。
このプロセスは、4回繰り返され、そして、カラダが透き通ったころに、糸を吐き、二昼夜かけて繭を完成させるのです。
現在は、養蚕業が衰退し、なかなか蚕が桑を食べる音を聞くことができなくなりました。
七十二候に表わされる伝統が消えていくことをしみじみとさみしく思います。