旅行に行こう!! ~逃避行の行く末~ | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。

アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。

細やかながら、自分お祝い祭りです。


ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。

申し訳ありません。


注!! このお話は単独ではわかりません!!

スタートは、ココ になります。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


がたがたと鳴る雨戸。

びゅうびゅうふく風。

そんな嵐は、翌日も続いた。

睦みあう間に、ぶつっと切れた電気。

真の闇の中で、蓮とキョーコはただの獣になった。


『敦賀蓮』でも『久遠・ヒズリ』でも、『京子』でも『最上キョーコ』でもなく…。

この世に、『男』と『女』という生き物がいるとしたら、その時の蓮とキョーコがまさにその物だった。


(あんな味なんだ…)


初めて味わった、蓮の味。

固さも苦さも、喉に引っかかる感じも…。

彼の肌がどんな風なのかを、感じて…。

彼の鼓動がどんなふうに踊るのかを感じて…。


キョーコも踊った。


初めて、薄い壁を介さずにむき身で受け入れた。

初めて、肌の上に彼を浴びた。


(……だいすき…)


互いに動かない体を、ぐしゃぐしゃになった布団に包んでいる。

タフな蓮もさすがに疲れたのか、すうすうとあどけない寝息を披露していた。


(わたしのぜんぶ、しられちゃったな…)


その事がくすぐったい。

ずっと睦みあい、ずっと繋がっていたその日。

何かから逃げるように、何かに囚われるように、繋がっていたのだ。

食事も、折詰から適当に食べた。

キョーコにしてはありえない位、ずさんな食事。


(…あんな行儀の悪いこと…)


手づかみで食事をとり、互いに食べさせ合った。

キョーコの全ては蓮に支配され、管理された。


「……もう、ぜったいにしないんだから…」


狂おしい嵐に支配された夜だからこそ、あんな事を許したのだと思う。

今思い出すと、憤死してしまいそうだ。

日常生活の全てを、蓮に見られるという羞恥とわずかに交る快感。

それを思い出しただけで、ぞくりと体が震えた。


「…おふろはいりたい…」


けれど、体が動かない。

外からは、もう嵐の音は聞こえない。

雨戸をあけて確認したくても、それは叶えられない。


「ん…」


愛され過ぎて、感覚が鋭くなったキョーコは上手く眠れないのだ。

蓮の寝顔をじっと見つめ、時折彼の髪をすく。

嵐が過ぎ去ったのは、外だけではないのだ。


「起きたら、お風呂一緒に入りましょうね?」


結局かなえられていない。

お互いに疲れすぎている今なら、のんびりと愛おしい気持ちだけで入れそうな気がするのだ。


「ほんとうに、ほんとうに、だいすき…」


キョーコの声は、小さく小さく…。

世間から隔絶された部屋に、満ちた。


「今日、帰らなきゃいけないのか…」


残念…