旅行に行こう!! ~幸せがいっぱいでした~ | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。

アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。

細やかながら、自分お祝い祭りです。


ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。

申し訳ありません。


注!! このお話は単独ではわかりません!!

スタートは、ココ になります。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


濃密な時間を過ごした、初めての旅行。

たった4日だけれど、とても濃厚な時間を送った離れを後にしなければならないその日。

蓮とキョーコは朝早くに起きて、旅館の傍を流れる小川に来ていた。


「やっぱり濁ってますね…」


台風の余波を色濃く残した小川は、茶色く濁っていた。

写真で見せてもらったら涼やかな小川なのに、今はどうどうとうねり流れている。


「そうだね…」


こうなっている事は想像できた。

行けるところまで行ってみたが、道も緩くなっており水量がどんどん上がっていて…。

最奥にあるという滝にも近づけない。

緩く手を繋いで、のんびりと歩いたけれど…。

余り長い時間散歩は出来なかった。


「…残念だけど、引き返そうか?」


「はい…」


空から零れる日差しも、木々を渡る風も…。

とても涼やかで、二人が初めてであったあの森を思い出すことができるのに…。


「またこようね」


所ぼんっと肩を落すキョーコの気持ちを、綺麗に掬い上げてくれる蓮。

その事が嬉しくて、柔らかく握っていた手をきゅっと握った。


「はい!!」


来た道を戻り、特に会話もなくのんびりと歩く。

その道すがら、小さな花が咲いていることに気が付いた。

小さいけれど、伸びやかに咲き誇る花。


(あ、そうだ…)


ふっと、思い付き蓮と繋いでいた手を解いた。


「キョーコ?」


温もりが解けて、蓮も立ち度まる。

キョーコは道端にしゃがみ込み、小さな花を一輪だけ摘み取った。


「ごめんね…」


野にあるのが一番だとは分かっているが、どうしてもしたいことがあったのだ。

急に花を摘みだしたキョーコに、蓮も目を丸くしている。


「どうしたの?」


「んんっ…。なんでもないんです」


思い付きを知られたくなくて、蓮に曖昧な笑みを返した。


「さ、行きましょう?」


蓮に手を差し伸べて、旅館へ戻ろうと引っ張る。

蓮も怪訝そうな顔をしながら、キョーコの手を握り歩き出す。


「可愛い花だね」


「ですよね」


名前も知らない、野の花。

真っ白な花弁の真ん中に、ぽつんっと赤いにじみがある。


(なんとなく蓮さんみたいよね)


涼やかで力強さが目立つのに、中身は情熱的で意外に繊細だ。


「帰ったら、どうしようか?」


キョーコはまだ休みの真っただ中。

蓮もあと数日休みがある。

その残りの日を、どう過ごそうかと贅沢な悩みを解決すべく頭を動かせた。


「…ん…。のんびりしましょうか?」


「この旅行と同じに?」


「そう、ですね。とっても贅沢だと思いませんか?」


何にもせず、のんびりと過ごす。

二人で昼食を作り、映画をみる。

時々酒を飲んで、夕食を食べる。

この上も無く贅沢だと思うのは、普段すれ違う時間が多いからかもしれない。


「そう、だね…。じゃ、こうしよう」


「はい」


「キョーコ先生の、料理教室だ」


「料理に目覚めたんですか?」


「そうじゃないけど、並んで台所に立ちたい気分?」


きゅっと指をきつく握られた。


「じゃ、オムレツから始めましょうか?」


クーも料理上手だったし、蓮は目もいい。

コピーする能力が高いのだから、本気を出せばとても美味しい料理が作れると思うのだ。


「とっびっきりのを作れるようになるから、待ってて」


「ビシビシ、教えてあげます」


キョーコも蓮の指をきゅうっと握った。


「じゃ、美味しいものを食べさせてねって願いを込めて…」


小川の入口。

まるで今と昔のつなぎ目の様な其処で、キョーコは立ち止まった。

ぴんっと伸びた蓮とキョーコの腕。

今度は手を解くことなく、先ほど摘んだ花を蓮の薬指に巻き付けた。

キョーコの手の中にあった、左手のそれに…。


「あら…。思ったよりうまくいかない…」


シロツメクサのように、綺麗に巻くことは出来なかった。

なんとなくだれて、蓮の指に絡まるそれ。

意味深な指に取り付けられたそれに、蓮の目は釘付けになった。


「これ…」


「ふふっ…。今は、これで我慢しましょうね。次、旅行に行く時は…」


ふわふわと笑うキョーコ。

慈愛に満ちたそれに、蓮は二人の距離を一気に縮めた。

何度抱きしめられても、癒されてしまう蓮の腕の中。

それに閉じ込められながら、キョーコは静かに目を閉じた。


「次の旅行の時は、俺がプレゼントさせてもらうよ」


「楽しみにしてますね」


彼の背中に腕を回し、何時でも安心をもたらしてくれる胸に額を擦りつけた。


「だいすき…」


「俺もだ。愛してる」


爛れた様な時間と、甘い愛の言葉を胸に刻み二人の初めての旅行は終わった。

次の旅行は、もっと甘いことになる事を誓って…




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

終わった~~~!!

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!!



スキビ☆ランキング  & 拍手ぽちww  

↑お気に召しましたら、ぽちっとww