旅行に行こう!! ~深緑は昔を思い出します~ | 妄想★village跡地

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アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。

細やかながら、自分お祝い祭りです。


ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。

申し訳ありません。


注!! このお話は単独ではわかりません!!

スタートは、ココ になります。


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お風呂はご飯が終わってからにしましょうと、キョーコが言うのに合わせて散歩に出るころにした。

食事の時間をフロントに告げて、帰ってきたらすぐに食事を取れる様に手配を頼む。


「この先に滝があるんだって」


「どんな滝でしょうね?」


仲良く手を繋ぎ、散歩コースとして整備されている道を歩く。

ゆっくり歩く道には、小さな灯篭。

少し日が傾くだけで、緑が濃いこの地は暗闇が訪れる。

ほろほろと零れる明かりに誘われて、歩いていくと小さな小川にぶつかった。

さわさわと流れるそれ。


「…軽井沢のときみたいですね…」


「うん…」


その川に沿って、散歩コースは伸びている。

小川の上流に向かって歩きながら、ぴったりと腕を触れ合せて歩く。

キョーコは軽井沢の時の様だと言ったが、蓮にはもっとふさわしい場所があるような気がする。


「そこよりさ、初めての場所に似てない?」


「初めて?」


「うん。キョーコと初めて会った、京都の森。澄んだ空気が、似てる…」


「あ、そう。ですね…」


絡まった腕が、今の幸せを教えてくれる。

一度離れて、すれ違った二人。

けれど今は、昔のように…。いや、昔以上に仲良くなった。


「この上に滝があるみたいだ」


「楽しみですね…」


さわさわと穏やかに流れる小川。

滝もそう大きいものではないだろう。


「夜も素敵ですけど、昼間も来てみませんか?」


その方が、『コーンの森』っぽさが伝わるだろう。


「うん。こんなに綺麗な所だったら、何度でも来たいもんね」


「昼間だったら、足浸けられるかもしれませんし…」


「そうだね。俺が上手に飛べるようになった所、見てくれる?」


「はい!!」


滝は想像していたよりは大きかった。

幾つもの棚が重なって、静かに悠々と流れている。

派手ではないが、壮麗な滝だった。

暫しの間堪能して、元来た道を戻る。

益々深くなった闇の合間に、灯篭が咲いている。

それに導かれる様に旅館に戻ると、食事の用意が出来ていますよと告げられた。

確かに部屋には、美味しそうな料理が並んだ膳が二つと…。

寝室には、ぴっちりと付けられた状態で敷かれている蒲団。

意味深なそれに、何となく気まずい沈黙が落ちる。


「…食べよっか」


「はい…」


互いに初めてではないのに、気恥ずかしいのは場所が違うから。

もじもじと爪先を動かして、それとなく体を離す。

向かい合って膳につき、この辺りでは有名だという日本酒で乾杯した。

川魚に肉、野菜に山菜。

贅を尽くした食事に舌鼓を打ち…。

他愛のない会話を重ねながら、ゆっくりと箸を重ねる。

何時もよりゆっくりと時間をかけて、摂った食事。

量は多かったが、何とか腹に収めた。

蓮は残った酒を、これまたゆっくりと噛み締めて…。

キョーコは風呂に入ると湯殿に消えた。

その間に膳を下げてもらおうと、仲居を呼ぶ。


「では、お休みなさいませ」


細々とした物も補給してくれた仲居は、綺麗に頭を下げて本館に消えていった。

それと入れ違いに風呂から上がってきた、キョーコ。

その姿を見て、蓮は固まってしまった。


「きょーこ…?」