旅行に行こう!! ~置いていくなんてひどいです~ | 妄想★village跡地

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アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。

細やかながら、自分お祝い祭りです。


ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。

申し訳ありません。


注!! このお話は単独ではわかりません!!

スタートは、ココ になります。


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目が覚めた時、彼が居なかった。

寂しくて、待っていられなくて…。


「出て来ちゃった…」


船内でどんな服を着ればいいのか分からなくて、リゾートっぽい白のワンピースをチョイスした。

肩にはブルーのストールを巻きつけて、蓮の嫉妬対策もばっちり。


「…無謀だったかな?」


きょろきょろと視線を動かして、蓮を探すものの…。

その影はちっとも見えない。

大きな大きなこの船。

広大なこの船の中で、愛しい人を見つけるのは思ったより至難の業になりそうだった。


「どこかしら…」


それでも、どこか楽しいのは…。

宝探しをしているような、そんな気分だからかもしれない。

ぐっすりと眠れた夕べ。

愛しい人の温もりに包まれて、眠ったその時間はとても満ち足りていて…。


「ふふっ…」


今思い出いだしても、ふわふわと足取りが軽くなる。

幾つもあるプールを覗き、朝食会場として開かれているレストランを覗く。


「いないなぁ…」


キョーコの宝探しは、まだまだ続きそうだ。


「…意外と、普通なのね…」


船内を歩く人々は、カジュアルな格好をした人が多い。

ラフなシャツに、ジーンズ。

中には水着で闊歩する人もいる。


「あんなに沢山のドレス、必要なのかしら…?」


日中は着る機会がなさそうだと、ほっと肩の力が抜ける。

ドレスは綺麗で大好きだが、やっぱりずっと着ていると窮屈だ。


「バカンスだもん。のびのびとしたいよね…」


ふふっとほほ笑みながら、ふわふわと歩くキョーコ。

そのどこか浮世離れした姿に、人々の視線が集まるのだけれど…。

キョーコ本人だけが気付かない。


「蓮さん、何処かなぁ…」


見慣れている『蓮』の姿ではないから、見落としたのかもしれないと…。

思って、今まで歩いて来た道を戻ろうかと、歩みを止めた時…。

視界に過った金髪。


「あ!!」


金髪の人とは沢山すれ違った。

けれど、その金色だけは輝きが違った。

人目で、分かる。


「蓮さん!!」


和食レストランから出てきたらしいその姿に、思わず大きな声を出してしまった。

蓮もキョーコの声が聞こえたらしく、立ち止まってきょろきょろと視線を動かした。


「蓮さん!!」


やっと見つけたキョーコの宝物。

サンダルを鳴らして、愛しいその腕の中に飛び込んだ。

彼の大きな腕は、キョーコをしっかりと抱きとめてくれた。


「おはよう。起きたの?」


「はい!! 一声かけてくれればよかったのに…」


起きて寂しかったのだと言えば、蓮は深く抱きしめてくれた。


「ごめん…」


走ったことで乱れたストールを直してくれた。


「朝ごはんですか?」


蓮の手にはビニール袋が二つ。

手を繋ぎたいからと、一つを受け取って指を絡めて歩き出す。

日本にいた頃のキョーコなら、恥ずかしがってできないだろうが…。

この船の中にいるのは、外国人が多い。

彼らのナチュラルにいちゃつく姿を自然に見ていると、影響されてしまったようだ。


(嬉しい影響だな…)


指の先までしっかりと絡めて、歩幅を合わせて歩く。


「そう。レストランだと忙しないかなと思って…。買ってみた。和食、食べたいだろう?」


「なんでもお見通しですね…」


「食べながら、今日の行動を決めようよ」


時間は沢山あるし、部屋に籠っても平気な食べ物も仕入れてきた。


「島につくのって、何時でしたっけ?」


「昼には着くって」


「楽しみですね!!」


初めて寄港する港。

キョーコには、初めての観光だ。

ワクワクすると、笑う顔に書かれていた。

その顔を見ると、蓮まで楽しくなってしまう。


「上陸して、一杯思い出を作ろうね」


「はい!!」


たまらなくなって、降らせてしまったキス。

キョーコもおずおずと返してくれたのは、嬉しい誤算だった。


部屋の辿り着いて、広げた弁当。見た目も美味しそうで、
「ステキ…」
キョーコの顔も輝いた。
「じゃ、どうしようか?」