アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。
細やかながら、自分お祝い祭りです。
ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。
申し訳ありません。
注!! このお話は単独ではわかりません!!
スタートは、ココ になります。
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「こっちに…行ってみたいです…」
白亜の城…、ではなく女王の名を冠した美しい船。
それが大きく映ってるパンフレットを、おずおずと蓮の前に差し出した。
凄く贅沢だと思う。
でもその分濃密で素晴らしい時間が過ごせる気がする。
「気に入ってくれてよかった…」
蓮はキョーコの首に手を回すと、こめかみにキスを一つ。
蓮が手続きの全てをしてくれることになり、キョーコは身一つで出発地であるギリシアへ向かえばいい。
「アルマンディの撮影で、前日までフランスなんだ。現地で落ち合おう」
「はい…」
出発のドキドキが分かち合えなくて、少しさみしいが…。
その分のわくわくも、増す。
「必要なものは、俺が用意しておくから。キョーコは、俺の家に泊まりに来る気分で…。遊びに来てください」
また触れた蓮の唇。
今度はキョーコの唇が、それを受け止めた。
旅立つのは、約一か月後。
それまでにキョーコがすることは、寄港する土地の観光名所を探すこと。
沢山のガイドブックを手に、附箋とマーカーと格闘しながら…。
旅行に向けての準備をしたのだった。
一人で乗った飛行機。
隣に乗った人は知らない人で、少しだけ心細い。
「でも、待っててくれるはずだもん…」
綺麗なあの人が、あの綺麗な船で…。
それを思い浮かべながら、キョーコの心はすでにギリシャの船の上だった。
「いらっしゃい!!」
「蓮さん!!」
大きな海に浮かぶ大きな船。
その前には、沢山の人たちであふれていた。
船に入るための手続きをする人々。
彼らに物を売ろうとする人々。
豪華客船の写真を取ろうとする人々。
その中でも、キョーコの恋人は目立っていた。
さらさらの金髪を海風に遊ばせて、ボストンバック一つを持って駆けてくるキョーコを抱きしめてくれた。
「会いたかった!!」
「おれもだ…」
たった3日ほどの別れだったが、寂しい気持ちは募るばかりだったのだ。
一足先にきて、チェックインを済ませた蓮はキョーコの荷物を持つと、15日間を過ごす部屋へと案内してくれた。
「……ちょっと、豪華すぎません…?」
案内されたのは、この船一番の部屋。
大きく切り取られた窓からは、凪いでいる海が見える。
部屋の真ん中には、ソファセット。
その向こうには開け放たれた扉があって、蓮の部屋と同じようなベッドが置かれているのが見える。
「そうかな? 記念だから、張り込んだんだけど…。これに、引かれたんだ」
蓮が案内したのは、バスルーム。
猫足のバスが置かれたそこからも、綺麗な海が見える。
「ステキですけど…」
超庶民であるキョーコには、ちょっと贅沢すぎて引いてしまうぐらいの代物だったが…。
根っからのセレブである蓮は、こういうのが気に入ったらしい。
「今晩は、出航記念のパーティがある。楽しもうね」
「え!?」
キョーコはフェリーに乗る位の気分で、本当に身軽な格好で来てしまった。
パーティに参加できるような、服なんて何一つ持ってきていない。
さぁぁっと青ざめたキョーコの顔を見て、正確に心境を理解した蓮がくすりと笑った。
「大丈夫。準備は俺がするって言ったろ?」
優雅にエスコートしてくれた先は、寝室。
ベッドの上に、ウエルカムと書かれた花束が飾られているのがなんとなく、意味深に感じてしまうのは…。
キョーコの深読みのし過ぎだろうか?
「ほら、用意してあるだろ?」
寝室の隅にあるクローゼットを開くと、ドレスドレスドレスドレス…。
淡い色合いのものが多いのは、キョーコの好みを図ってなのだろう。
それに合わせたように、沢山の靴が並べられている。
「カジノに行くにも、バーに入るにも、ドレスは必要だからさ。多めに用意したんだ。観光に行く時は、この持ってきた服で回ればいいよ」
『準備』って、そう言う意味だったんだ…。
と、遅まきながら気付いたキョーコ。
この場所に来たいと言ったのは、キョーコなのだからあまり強くは出られない。
「…家にあるの、持ってきたのに…」
ドレスは何枚か、持っている。
それを持ってくれば、新しく買う必要がない気もするが…。
(あぁ、でも駄目ね。この人の事だから、何だかんだと理由を付けて買うに決まってるもの…)
言いくるめられる自分、というのが容易に想像できてしまう。
そういう先読みが出来るくらいには、深く互いを知り合えたのだろう。
「部屋に籠ってばっかりでもいいけど、キョーコ。疲れるだろう?」
綺麗に笑う顔に、
「どうせ疲れさせるくせに…」
そう愚痴をこぼしてしまったのは、仕方のないことだ。
「…試してみる?」
それを逆手に取られて、艶やかに笑う男。
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